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酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第26回「島酒に酔いしれ、島唄ライブで踊りまくる」
「一人酒」、それは孤独な酒飲みのように聞こえるだろうが、実はそうでもない。私は一人酒という言葉を酒場で飲み歩く時に使っている。にぎやかな雰囲気に包まれれば、その店に居る人は全員、飲み仲間だ。
一人酒ができなくなって幾歳月・・・ついに再開の日を迎えた。が、本当の一人酒はこれからだ。さあ、体験談エッセイを書こう。タイトルは、酔いどれ男のさま酔い飲み歩記。第26回「島酒に酔いしれ、島唄ライブで踊りまくる」である。
はじめに
沖縄県には2度目の来訪である。それは、日本全国47都道府県の2巡目達成を意味する。自己満足の範疇ではあるが、節目には違いない。今回は沖縄本島ではなく、八重山方面への旅。那覇空港から、さらに石垣空港へと足を伸ばす。
1日目は大自然に囲まれた西表島のリゾートホテルに宿泊。2日目に大揺れの高速船で石垣島に引き返し、夜は島酒と島唄ライブで楽しもうという趣向だ。島酒とは泡盛のこと。アルコール度数が高いが大丈夫か? 今の私から「当時の自分」に問いただす(笑)
まずは、前夜の西表島のホテルディナーから振り返ろう。
西表島「パイヌヤマリゾート」~島酒と地元食材と満天の星空
この時は想像もしなかったが、翌日夜のことを思うと、西表島での一夜は実に静かで落ち着いていた。ホテル内のレストランでのディナー。最初はオリオンビールでのどをうるおす。
前菜は「西表島産天然もずくとヒカゲヘゴの酢の物」「スーチカーと苦菜の米味噌風味」「イラブチャーの南蛮漬け」「田芋の黒糖からめ煮」。地元食材を使った創作料理がズラリ。ビールはすぐに飲み終えた。さて泡盛の古酒「いりおもて」を飲むか。
メインディッシュは「ヒージャーのグリエ」。ヒージャーとはヤギ肉である。ヤギ肉には独特の風味があり、匂いが苦手だと食べられない。でもレストランの料理は、万人受けするよう匂いを抑えてある。これも泡盛にはよく合う。
ディナーを終えたが少々物足りない。
そこで直火請福の水割りを注文。合わせる肴は八重山珍味で「シャコ貝、カツオ腹皮、イカ」のそれぞれ塩辛。シャコガイの強烈な潮の香りは癖になりそう。でも、3品ともに泡盛より日本酒が合いそう。好みの問題だが。
島酒、料理ともに大満足。さらにこの夜は、都会では見られないような満天の星空に感動しまくり。明日の一杯も楽しみになってきたな。
石垣島「琉球の爺」~島酒のダメ押しは花酒
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石垣島の夜の口開けは、ホテルのすぐ近くにある郷土料理店「琉球の爺」から。郷土料理、すなわち沖縄の料理と島酒が堪能できる人気店のようだ。早速カウンターの一角に陣取って注文開始。もちろん酒は泡盛。八重泉の水割りからいく。
肴に注文したのは「ゆしどうふ」だ。
ゆしどうふは初めてではない。初めて沖縄旅行をしたとき、那覇市にある居酒屋で出してもらった。というよりも、これが付き出しだった。琉球の爺では、豆乳の入った鍋が卓上コンロに乗って出てきて、その場でにがりを入れて作るという趣向だった。
言い方は適切ではないが「ゆるゆるの湯豆腐」。これが体にやさしくて美味い。沖縄の豆腐は味が濃いのが特徴なので、シンプルな料理ほど真価を発揮する。スクガラス豆腐や豆腐ようといった郷土料理もお勧めだ。
名物である島寿司をいただく。普通の握りずしなのだが、ネタが一味違う。チョウチンモチ、オジサン、タマン、イラブチャーと、聞いたこともない魚ばかり。これを島マースという高級塩でいただく。感想は「本土にはない味だ」の一言。
酒のおかわりは請福の古酒。せっかくの古酒なのでチェイサー付きのストレートで味わう。こういう飲み方をする客は少ないのか、大将から「お客さん、通ですね」とお褒めの言葉と特別サービスを頂戴する。
おちょこに入った与那国島の花酒だ。
度数60度という強烈な泡盛で、大将曰く「日本で一番度数の高い酒」とのこと。クイッとおちょこを傾けると、のどを突き刺すような衝撃で胃袋をカーッと熱くさせる。でも、じんわりとした余韻が残って美味い。
飲み過ぎたくても飲めない酒だな。
石垣島「島唄ライブハウス安里屋」~カチャーシーでハイテンションに
かなり酔った。でも石垣島の夜を終えるわけにはいかない。次の目的は「島唄ライブ」。すでにライブが始まっていてにぎやかな店「島唄ライブハウス安里屋」に潜り込んだ。
店内は大バコだが、お客で埋め尽くされている。どうやら、ツアーの団体客のようだ。貸し切りならムリかな。でも、店の姉さんは大丈夫とのサイン。カウンターの一角に陣取って、またもや泡盛を注文する。
三線を弾くのは店のオーナーである安里勇さん。かたわらに歌い手兼鳴り物の女性のコンビ。安里さんのライブは、古典的な八重山民謡だけでなく、夏川りみの「涙そうそう」といった曲まで幅広い。しばらくは三線と歌声に聴き入っていた。
安里さんがテンポのいい曲を弾き始めると、地元と思われる人が立ち上がって踊り始める。ツアー客の中には「いったい何が起きたんだ」という顔の方もいる。が、私は知っている。なぜなら、以前に那覇市でも同じ光景を見ていたからだ。
これが「カチャーシー」と呼ぶ即興の踊り。
カチャーシーが始まると店内は一気に活気づく。雰囲気を盛り上げようと、安里さんがおなじみの「ハイサイおじさん」を奏でる。すると、ツアー客も次々と踊りだす。注文を受けている店のねえさんたちも踊りながら厨房を出入りしている。
自席で奇声を上げていた私も、ねえさんに引っ張られてステージ中央へと送り込まれる。これはカチャーシーを踊るしかない。見よう見まねなので正しい踊り方かどうかわからない。でも、そんなことはどうでもいい。すっかりテンションが上がってしまった。
盛り上がりのピークの中でライブは終了。ツアー客が店を出ると店内は閑散としたが、残されたご常連と私はボルテージが上がったまま。さらにヘベレケになるまで泡盛を飲み、ご常連とバカ話に花を咲かせた・・・らしい。
ここまでで記憶が飛んでしまい、気がついたらホテルで服を着たまま寝ていた。転んだらしく、首筋が痛い。度数の高い泡盛ばかり飲んでいたのがまずかった。今度島唄ライブを見るときは、オリオンビールにしておこう。
〇〇〇
今回はここまでとします。読んでいただきありがとうございました。なお、このエッセイは2008年12月の備忘録なので、店の情報など現在とは異なる場合があります。
★店舗情報などを載せています→ブログ「ひとり旅で一人酒」
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「ひとり旅で全国を巡ろう!旅道楽ノススメ」→note連載中の「酔いどれ男のさま酔い飲み歩記」もヨロシク!
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![マイケルオズ@日々挑戦する還暦兄さん(フリーランスライター)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81726822/profile_fccc35a25241ef4de2d3bf385a9c3046.jpg?width=600&crop=1:1,smart)