酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第98回「四国3県巡りで美味いもの三昧~徳島編+おまけ」
「一人酒」、それは孤独な酒飲みのように聞こえるだろうが、実はそうでもない。私は一人酒という言葉を酒場で飲み歩く時に使っている。にぎやかな雰囲気に包まれれば、その店に居る人は全員、飲み仲間だ。
withコロナでようやく一人酒が再開した。が、まだまだ心置きなく飲めるようになるまでの道のりは遠い。ならば、体験談エッセイでも書くとするか。酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第98回「四国3県巡りで美味いもの三昧~徳島編+おまけ」である。
はじめに
第97回のつづき。四国3県巡りの2日目は、丸亀から土讃線に乗って徳島県に入り、祖谷渓を目指す。ここには観光名所のかずら橋がある。ツルを編み上げただけの橋は、谷底がまる見えのうえにユラユラと揺れてコワい。
高所恐怖症なのに、わざわざ橋を渡ろうとした私が悪かった・・・が、何とか対岸へ。実は下流に頑丈なコンクリート橋がある。その橋から見ても川底はかなり深い。たっぷりと冷や汗をかいたので、さぞかし今宵のビールは美味いだろうな(笑)
では、県庁所在地の徳島へと向かおう。
徳島「花盛り」~話し好きの女将さんとアナゴの刺身
徳島には「毎日見られる阿波おどり」というイベントがある。場所は阿波踊りミュージアム。踊り連が交代で出演し、観光客にお披露目してくれるそうだ。ここは外せない。
阿波踊りの前に、まずは夜の飲み歩きからだ。口開けに訪れたのは居酒屋「花盛り」。店内にはいけすがあり、海の幸が楽しめる。ならば本家松浦酒造場(鳴門市)の地酒・鳴門鯛をいただこう。明日、鳴門の渦潮を見に行く予定なのでちょうどいい。
肴に選んだのは活アナゴの刺身。アナゴを刺身で食べるのか?とちょっと驚いた。アナゴは天ぷらやかば焼きが定番だと思っていたのだが、今さっきまで生け簀に泳いでいたのだから新鮮さは抜群。ご丁寧に捌いた頭も添えている・・・
時々、口がパクパクしているぞ(#°Д°)
新鮮の証明とはいえ、ちょっとグロイ。肝心の刺身の方は、白身で予想以上にさっぱりと食べやすい。活け造りなので肝と心臓も添えられている。女将さんは「これは精がつきますから」とニッコリ。旅の疲れを解消してもらおうという心配りなのかな。
女将さんは話し好きのようで、折に触れて私に話しかけてくる。手が空くと大将も話に加わる。大将は新選組びいきのようで、ちょっとした歴史談議に花が咲いた。
居心地のいい酒場ではゆっくりしたい。サザエのつぼ焼きを追加し、酒も三好市脇町の芳水を頂戴する。海の幸と地酒、言うことなしだな。
徳島「びんずる」~一杯ひっかけて、阿波踊りへGo
阿波踊りまでもう少し時間がある。ここはもう一軒寄るとしよう。やってきたのは、地元の方が集う居酒屋「びんずる」。店内はほぼ満席で、カウンターの隅に辛うじて陣取れた。見渡しても観光客らしき人は私だけしかいない。
この店は焼き鳥がメインなので、皮、ボンジリ、背肝、ピーマンを焼いてもらい、生ビールと合わせる。これぞ大衆酒場という雰囲気らしく、ワイワイと賑やかなのが楽しい。会話に加わることはなくても、耳を傾けているだけでもいい。
まかない用のカレーが、なぜかメニューに載っていたので注文。
酒を飲んだ時には、濃い味付けの料理が無性に食べたくなる。シメのラーメンはその典型だが、カレーだって美味い。思わず生ビールを追加注文してしまったぞ。
これだけしっかり酔ってしまえば、即興で阿波踊りだって踊れちゃう。そろそろ時間が近づいてきた。踊る阿呆になるために、阿波踊りミュージアムへレッツゴー!
徳島「に志もと」~踊り疲れてヘロヘロでも飲む男
踊る阿呆になり切れなかった・・・意外と体力を使う踊りだということが分かったからだ。アルコールの勢いを借り、最初は派手なパフォーマンスを見せようとしたのだが、日頃の運動不足が災いし、最後はヘロヘロ。締まりのない踊りだった・・・まっ、気を取り直して飲み歩き再開するぞ。
今宵3軒目は居酒屋「に志もと」。居ずまいは割烹っぽかったが、中に入ると庶民的な居酒屋でチョット安心。カウンターに座り、阿波市の太閤酒造場が醸す瓢太閤(ひさごたいこう)を注文し、刺身の盛り合わせを切ってもらおう。
この店は女性の板前さん。粋でいいなあ。
板前が男だろうが、女だろうが、腕次第なのだから関係ないのだが、ついつい、そんな印象を持ってしまう。男のサガなので許してほしい(苦笑)。
盛り合わせはカツオ、イカ、タイ、ヨコワなど。さすがに海の幸は新鮮で美味い。これは酒も進んでしまうぞ。追加で今小町(三好市)をいただく。女性板前なので小町というわけじゃないぞ・・・何を言っているのか・・・今宵はだいぶ飲み過ぎてしまったようだ。
踊り疲れのダメージもあるので、徳島の夜飲みは、これにてお開き。
三宮「ごん太本店」からの「茶々」~神戸でチョイ昼酒
旅の最終日は鳴門の渦潮を見学したあと、鳴門海峡大橋―淡路島―明石海峡大橋を経由して神戸市の三宮に到着。帰途に着く前に、三宮駅近くで軽く昼酒をいただこう。
一軒目は居酒屋「ごん太本店」。
ここは大衆酒場の王道とも言うべき、昼間からワイワイと賑やかで楽しそうな雰囲気がいい。まずは生ビール。肴は鯨ベーコンとピーマンの和え物、そしてオリジナルメニューのなかから「ごん太揚げ」をいただこう。
ごん太揚げとは、インゲンをミンチの肉に挟んで海苔で巻いた天ぷら。これは珍しい・・・というより、他では食べたことがない。だからオリジナルなんだろうな。ビールにもぴったり合う。ほかにもユニークなメニューがある。いつか腰を据えて飲みに来るか。
二軒目は居酒屋「茶々」。
ここも昼間から大勢の酔客で埋まっている。カウンターの一角を何とか確保し、姫路市の地酒・奥播磨をいただく。日本酒ならば肴は海鮮が鉄板。新鮮小箱と銘打ったミニ盛り合わせは、お一人さまサイズの刺し盛りで500円と超リーズナブル。
小箱にはサーモン、ブリ、カンパチ、タイが入っていて美味い。ついつい、サザエのつぼ焼やソウダガツオ節を後乗せする冷奴も頼んじゃう。酒だって追加しよう。伏見の酒・英勲を熱燗でいただき、時間ギリギリまで腰を据えて飲ませてもらうとするか。(おわり)
〇〇〇
今回はここまでとします。読んでいただきありがとうございました。なお、このエッセイは2019年11月の忘備録なので、店の情報など現在とは異なる場合があります。
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