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酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第93回「GWに大阪で遊んだろ~昭和のまち編」

「一人酒」、それは孤独な酒飲みのように聞こえるだろうが、実はそうでもない。私は一人酒という言葉を酒場で飲み歩く時に使っている。にぎやかな雰囲気に包まれれば、その店に居る人は全員、飲み仲間だ。

withコロナでようやく一人酒が再開した。が、まだまだ心置きなく飲めるようになるまでの道のりは遠い。ならば、体験談エッセイでも書くとするか。酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第93回「GWに大阪で遊んだろ~昭和のまち編」である。


はじめに

ゴールデンウイークに休暇を取って、大阪へ遊びに行こうと計画した。一番の目的は、吉本新喜劇を見に行くこと。でも、そればかりでは面白くない。せっかく大阪へ行くのだから、何か面白いイベントはないだろうか?

いろいろ調べていたら、4月29日の「昭和の日」にちなんだイベントの存在を知った。しかも地元密着型のイベントらしい。観光地巡りも悪くはないが、それよりも面白いに違いない。ならば、プランに組み込んでみるか。

「GWに大阪で遊んだろ」の初日スタートや。

京橋「岡室酒店販売所」~いつもながらの愉快な店内

「昭和の日」のイベントに出向く前に、少し時間があるので昼酒を軽くいただこう。やって来たのは勝手知ったる京橋の立ち飲みゾーン。飲み歩きをするわけではないので、ここはお馴染みの「岡室酒店販売所」で一本勝負だ。

外から見ると、立錐の余地もない満席状態・・・だが、大丈夫。

開き戸をガラリと空けると、ママさんが店内をギョロリと見渡し、ほんのわずかな空きスペースを見つけて手招き。するとお客さんが少しずつ立ち位置を変え、一人入れる場所を作ってくれる。これが岡室なのだよ。

まずは小ビールからスタートし、豆もやし、串盛り合わせセットを注文。相変わらず笑いが絶えない賑やかさ。ビールを一口飲めば、すぐに雰囲気に慣れてくる。今日はマスターの姿が見えないが、ママさんはじめ店員さんはみんな元気がいいぞ。

隣のおばちゃん、長年のご常連らしい。お客が帰るたびに食器類を片付け、テーブルを布巾で拭いている。曰く「店が混んどるから、これくらいせなあかん」。さらにおばちゃんは金色のがま口から小銭を出し、つり銭用にと両替までしていた。さすがだ。

本日ははしご酒無しなので、腰を据えて飲める。追加は日本酒生しぼり、サバのきずし、ホタルイカの酢味噌。「きずしはサバしか無いですが」と申し訳なさそうな店員の兄さん。サバで十分ですよ。かえって気を遣ってもらって恐縮する。

日本酒でますますテンションが上がり、さらににごり酒、あらびきソーセージを追加。隣にいた年配夫婦のご主人は「ずいぶん食べますねえ」と感心しきり。そうだな、岡室1軒ではしご酒3軒分は飲み食いしている。軽く昼酒じゃ、すまなくなっているぞ。

昭和の日イベント「どっぷり。昭和町」の会場へ

さあ、いよいよ昭和の日のイベント会場へ向かおう。場所は天王寺から地下鉄で1駅の昭和町。この界隈で開催している「どっぷり。昭和町」こそが、そのイベントなのだ。

昭和の日にちなんだ昭和町のイベントという、とても分かりやすいコンセプト。商店街や周辺に複数の会場を設け、独自企画を持ち寄ったイベント集合体スタイルが特徴。出店コーナーや子供広場、さらに商店街各店舗はそれぞれサービスを用意している。

全然土地勘が無いところだが、地下鉄駅出口付近でイベントマップを配っていたのでありがたい。早速、マップを手にして気になるスポットへと足を向けた。そこは、蕎麦屋さんの店先でやっている出店コーナー。

その目的はワンコインの日本酒&おつまみだ!

日本酒は何種類か選べ、そのなかで伊根満開という銘柄を頂戴する。この酒はまるでワインのような赤い色をしている変わった酒。これをおつまみのヤリイカとともにいただく。色もそうだが、味もワインっぽい甘さがあって美味い。

さらにアルコールを体に入れたところで、フラフラしながら昭和町をさまよい歩く。地元密着型イベントなので、観光客にとって物珍しいというものはない。それでも、久しくこうしたイベントに参加していなかったので、雰囲気をたっぷり楽しませてもらったよ。

新世界「酒房半田屋」~渋い酒場でチロリ酒を飲む

この日の泊まりは新世界のホテル。夜酒はもちろん新世界界隈に出向くことになる。ただ、本日は昼酒から全開で飲んでいるので、夜は少し控えめにしておこう・・・かな?

風呂上がりなのでビールと串カツでいきたいなと思ったが、人気店は長蛇の列で入れそうにない。ならば渋めの酒場にしておこう。おなじみの「酒の穴」の隣にあり、気になっていながら入ったことがなかった「酒房半田屋」を口開けとする。

まずは生ビール。これは外せない。それから手軽な冷奴。そして店の名物という「山芋ステーキ」を頼む。すった山芋を鉄板で焼き、卵を乗せたシンプルな料理だが、これが結構美味い。ついつい、濁り酒を追加注文してしまった。すると・・・

チロリに入った濁りとは、渋いじゃないか。

観光客が多いエリアだが、「酒の穴」同様、お客はほぼ地元の方ばかり。岡室のような賑やかさはないが、大衆酒場らしい酒場で落ち着いて飲める。旬のタケノコ土佐煮を追加して、腰を落ち着けて飲むとしよう。

新世界「平野屋」~ワインを頼んだら「俺も」と

新世界界隈の立ち飲み酒場は、朝から営業している代わりに夜の店じまいは早い。2軒目にやってきた立ち飲み「平野屋」も、そろそろ閉店時間というタイミング。おっちゃんたちの間に入らせてもらい、まずは立ち飲みでは珍しい赤ワインをいただこう。

すると、つられてワインを頼む客が続々・・・

ひょっとすると、ワインがあることを知らなかったのだろうか。かく言う私も事前情報を入手していたから頼めたのだが。肴は大阪定番のどて煮を頼んだが、こちらは「置いていない」との返事。う~ん、詰めが甘いぞ。

仕方なく、ガラスケースからジャコおろし、さらに6Pチーズをいただく。お客が一人、また一人と帰っていくと、店主は少しずつ店内の片付けに入る。いつまでも長っ尻で飲んでいるわけにもいくまい。ワイン一杯でちょうどいいや。

明日は吉本新喜劇が待っている。早く帰って寝るとするかな。(つづく)

〇〇〇
今回はここまでとします。読んでいただきありがとうございました。なお、このエッセイは2018年4月の忘備録なので、店の情報など現在とは異なる場合があります。


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