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酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第76回「新春の巣鴨&池袋西口飲み」

「一人酒」、それは孤独な酒飲みのように聞こえるだろうが、実はそうでもない。私は一人酒という言葉を酒場で飲み歩く時に使っている。にぎやかな雰囲気に包まれれば、その店に居る人は全員、飲み仲間だ。

withコロナでようやく一人酒が再開した。が、まだまだ心置きなく飲めるようになるまでの道のりは遠い。ならば、体験談エッセイでも書くとするか。酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第76回「新春の巣鴨&池袋西口飲み」である。


はじめに

コロナ禍前まで5年続いた東京での初詣+飲み歩き。2017年には東京大神宮と日枝神社を参拝のあと、大手町の箱根駅伝ゴール地点(読売新聞本社前)を経由し、巣鴨に出向いてとげぬき地蔵(高岩寺)をお参りした。

とげぬき地蔵のある地蔵通り商店街は「おばあちゃんの銀座」と呼ばれるだけあって、高齢のご婦人の姿が目立つ。ここを歩いているご婦人はなぜか元気ハツラツとしている。これもお地蔵様のご利益なのだろうか?

負けてはいられない。そろそろ燃料補給といきますか。

巣鴨「村役場」~隠れ家のような食堂酒場で口開け

巣鴨にやって来たのには理由がある。東京都内を中心にチェーン展開している立ち飲み居酒屋が巣鴨にもあるからだ。昼飲みできるが、営業開始まで少々時間がある。とりあえず口開けと時間待ちをしておきたい。

ふと目に入ってきたのが「村役場」。

なんだかローカルっぽい屋号がいい。地下に店舗があるので階段を下りていく。居酒屋のようだが、昼間はランチ営業もやっているらしい。

ランチを食べてしまうと元も子もないので、ここは両関の冷酒とアンキモ、それからお通しの煮物だけでしのぐ。平日にもかかわらず、店内を見渡してもランチの客は見当たらず、飲んでいる人ばかりだったよ。

地下にあるので窓が無く、外の様子が見えない。そのせいか、今何時なのかという時間の感覚もなくなってくる。まるで隠れ家にでもいるような感じで、居心地がいい。

が、長居は不要である。そろそろ、外気に触れるとするか。

巣鴨「晩杯屋巣鴨北口店」~東京一安いと評判の立ち飲み

営業開始を狙ってやって来た立ち飲み「晩杯屋巣鴨北口店」。晩杯屋チェーンの存在は何年か前から知っていたのだが、なかなか来店するチャンスに恵まれなかった。SNSで大学の先輩が超おススメしていた酒場なので、どうしても行きたかったのだ。

まずはホッピーの黒を頂戴し、煮込みとシメサバを注文。煮込みは瞬時に供され、これは嬉しい。その昔、牛丼の吉野家が「早い、安い、美味い」をウリにしていたが、晩杯屋も「早い」は確かなようだ。ただし「安い」には一家言ある。

東京一安いことには間違いなかろうが、大阪の激安酒場で飲み慣れているオヤジの目からすると、酒類が少々割高かなという気もする。まあ、あくまでも大阪の激安酒場との比較である。決して「お高い」というわけじゃない。

無粋な言い草はこれくらいにしておこう。

一番乗りで飲み始めてから、店には次から次へと客がやってくる。それも、ほとんどが一人客。晩杯屋は「一軒目の店」というこだわりがあり、言うなれば口開け、下地作りに使ってほしいということのようだ。

まさに「サッと飲んでパッと出る」を体現している。素晴らしいぞ。

池袋「美そ乃」~ひとり焼き肉に舌鼓

晩杯屋で飲めた。次は、より酒場がチョイスできるまちに移動しよう。巣鴨の近くなら池袋しかなかろう。それも西口(北口)の界隈。ここなら選り取りみどり。

実は密かにチェックしておいた店がある。ひとり焼き肉「美そ乃」だ。焼き肉というと、ボリュームの関係でどうしても一人では敬遠しがち。「孤独のグルメ」の井之頭五郎のような胃袋の持ち主じゃないし(笑)

店内はほぼカウンターばかりで、さすがはひとり焼き肉をうたうだけある。一角に陣取って、まずは生ビールをいただく。肝心の肉は黒毛和牛のあらゆる部位をちょっとずつ食べられるという嬉しいシステム。

ならばタン元、シャトーブリアン(ヒレ)をもらおう。

希少部位は一皿一切れずつ。黒毛和牛なので美味いのは当たり前。物足りないといえばその通りだが、欲を張るものでもない。ここはシイタケを箸休めにいただき、追加でポピュラーなシマチョウを食べるとするか。

シマチョウを焼き始めて、ようやく焼き肉っぽくなってきた。ガスコンロで焼いているからどんどん焼きあがる。脂たっぷりなので焦げる前に食べてしまわねばならないぞ。

さらなる追加はせず、希少部位の余韻に浸りながら店を後にしよう。

池袋「帆立屋」から「大都会北口店」でシメ

晩杯屋といい、美そ乃といい「サッと飲んでパッと出る」店が続いた。ボチボチ腰を落ち着けて飲みたいところだ。美そ乃の近くに「帆立屋」という居酒屋がある。界隈の酒場を調べた時にチェックしておいた店の一つだな。

カウンターに座り、岡山の喜平濁り酒とタコぶつを注文して人心地つく。店内はカウンターのほか、小さなテーブルがひしめき合うやや狭い空間。中年世代の夫婦(と思われる)がいい雰囲気を醸し出している。

4軒目ともなると、酔いも回ってきて気分もホンワカとなる。しかもドッカと腰を据えて飲んでいるので、余計に落ち着く。慌てることはない。追加でゼンマイの五目煮、さらには緑茶ハイをいただこう。

じっくり飲めた。さあシメにもう1軒。

池袋西口では定番の角打ち「三兵酒店」は本日休業。ならば、24時間営業の大衆酒場「大都会北口店」へ出向こう。ここは食券を購入するという酒場では珍しいスタイル。ゆえにシステムがちょいとややこしい。

食券売り場の隣の席でワインとソーセージ盛り合わせを飲み食いしていると、システムに慣れない兄さんたちが食券を手に「どうすればいい?」と、面食らっているようすがうかがえた。

思わず「ここ訳分からんし、難しいね」と声を掛けそうになった、とさ。

〇〇〇
今回はここまでとします。読んでいただきありがとうございました。なお、このエッセイは2018年1月の忘備録なので、店の情報など現在とは異なる場合があります。


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