酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~掲載100本記念特別編「大相撲観戦で一人飲み」
「一人酒」、それは孤独な酒飲みのように聞こえるだろうが、実はそうでもない。私は一人酒という言葉を酒場で飲み歩く時に使っている。にぎやかな雰囲気に包まれれば、その店に居る人は全員、飲み仲間だ。
withコロナでようやく一人酒が再開した。が、まだまだ心置きなく飲めるようになるまでの道のりは遠い。ならば、体験談エッセイでも書くとするか。酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~今回は掲載100本記念特別編「大相撲観戦で一人飲み」である。
はじめに
おかげさまで酔いどれ男のさま酔い飲み歩記もnote掲載100本目となった。連載も前回の「まだまだあった!越前の冬の味覚・福井市編」で90回となり、大台の100回も見えてきたところだ。
そこで今回は掲載100本を記念し、特別編「大相撲観戦で一人飲み」を書かせていただこう。
大相撲観戦に欠かせない飲食
新型コロナ禍前の2019年まで、ひとり旅と並行して大相撲の本場所観戦を道楽の一つにしていた。このエッセイでも、大相撲観戦とセットした飲み歩きの話をいくつか紹介している。
大相撲観戦の醍醐味は、目の前で力士たちがぶつかり合う生の迫力ある相撲を見られることに尽きる。ただ、それだけではない。見に行くお客さんには「興行」の側面もあるのだ。
観戦中の飲み食いは、土俵近くのたまり席を除けば自由。私は一人で観戦に出かけるので、いつも1人用の升席もしくはいす席を確保する。升席が取れた時などは、ちょっとした宴会気分にもなれる。
地上波でテレビ中継されるのは十両と幕内だけだが、本場所は朝から取り組みが行われている。嬉しいことに売店も午前中から営業を始めており、ビールや日本酒も売っている。
飲もうと思えば朝からでも飲めるわけだ。
結びの一番のあと、弓取り式が終わるまでが大相撲の一日。その長い時間、ずっと飲み続けるというわけにはいかないので、そこはメリハリをつける。とくに観戦後に1泊する場合は、夜の飲み歩きに備えてセーブするのは当然だろうな。
逆に「観戦を終えたら自宅へ帰るだけ」という時は、予想外に飲んでしまうこともある。お恥ずかしい話だが、ここからは大失敗したエピソードを語らせてもらおう。
観戦前の錦糸町昼飲み~これがそもそもの始まり
秋場所観戦のために両国国技館にやって来た。序の口の一番から見るのがホンモノの好角家だとばかり、朝から会場入りして大相撲観戦を始めた。もちろん午前中はアルコール無し。そこまで呑んべえじゃあない。
お昼になったので、中抜けして両国の隣の錦糸町で軽く昼酒をやろうと考えた。1度だけならいったん国技館から外に出ることが可能で、これを利用しない手はない。
錦糸町南口方面にあるウインズ錦糸町(場外馬券場)の近くには、渋そうな酒場が揃っている。そのうちの一つ「後藤丸」という居酒屋に入った。
店内はおっちゃんたちでほぼ満席。しかも例外なく競馬新聞を読んでいる。
まあ、場所柄なのでしょうがないか。こちとら競馬には興味がない。ひたすら飲むだけだ。レモンサワーとサンマの刺身でも頼むか。
大衆酒場なのに、なんだか一人だけ場違いな感じがする。店員すら競馬に夢中で、もつ煮の追加注文がレース直前だったせいか、すっかり忘れられてしまったくらい。こりゃダメだ。レースが終わったタイミングでそそくさと店を出ることにしよう。
ちょっと消化不良っぽかったので、もう一軒だけ寄るか。
駅近くにある立ち飲み「丸源」がいいな。この店はうどん、そばも食べられるし、キャッシュオンデリバリーで酒も飲める。競馬のある日はやはり酒場使いをする客が多いようだ。
東洋系のねえさんにホッピーセットを頼み、肴には先ほど食いそびれたもつ煮と貝ワサビ。セットの中身(焼酎)はなみなみと入っており、ホッピーを注いでも半分以上残る。つまり、中身をおかわりしろ、と言っているようなものじゃないか。
軽く飲もうと思ったのだが、結構酔ってしまった。ただ、気分はゴキゲンだよ。
再び大相撲観戦~ウイスキー飲んでアウト!
国技館に戻ってきて、缶チューハイを手にしながら1人升席に座り、幕下上位から大相撲観戦を再スタート。相撲を見ているとなぜか喉が渇くもので、缶チューハイはすぐになくなってしまう。これは補充が必要だな。
売店に出向き、買ってきたのがウイスキーと水だった。ビールや缶チューハイだと何度も買いに行かねばならないので、面倒だなと思ったわけだ。これなら水割りを作って何杯でもイケる。
だが、これが失敗だった。
すでにしこたま飲んでいるところに、ウイスキーを飲み始めたものだから、アルコール量がどんどんと増えていってしまうのは自明の理。幕内力士の土俵入りが始まった時には相当ヘベレケになっていたのだ。
これ以降、相撲内容はおろか、誰と誰が相撲を取ったのかすら、全く記憶にない。せっかく高いチケットを買いながらもったいない話である。
酔っていてもデジカメのビデオクリップで、何番か動画を撮っていたため、撮りながら叫んでいる自分のみっともない声も入っている。周りの人にはさぞかし迷惑だっただろう。だが、覚えていないのは幸いといったところか。
記憶がはっきりし出したのは、帰りの特急列車で目が覚めてから・・・大相撲の取り組みが終わり、国技館を後にし、両国駅で総武線に乗り、乗り越すことなく新宿駅で降り、特急列車に乗り替え・・・覚えてないぞ。
よくぞ、何事もなくすんだものだなと、自分で自分に感心しきりだったとさ(笑)
〇〇〇
今回はここまでとします。読んでいただきありがとうございました。なお、このエッセイは2013年9月の忘備録なので、店の情報など現在とは異なる場合があります。
※おしらせ 次週の酔いどれ男のさま酔い飲み歩記は、都合によりお休みさせていただきます
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→note連載中の「酔いどれ男のさま酔い飲み歩記」もヨロシク!