私だけの特捜最前線→28「再会・容疑者は刑事の妹!~昭和ならではの時代背景が垣間見れる」
※このコラムはネタバレがあります。出演者は敬称略
今回紹介する「再会・容疑者は刑事の妹!」に登場するのは、殉職した津上刑事(荒木しげる)の妹・トモ子(立枝歩)で、ある事件に巻き込まれ、容疑者として逮捕されてしまうという衝撃のストーリーです。
事件の容疑そのものは、特命課の捜査によって潔白が証明されましたが、ホステスの仕事をしていたトモ子は心を閉ざし続けます。そこには、最愛の兄を亡くした悲しみと喪失感があったのです。
昭和という時代背景ならではの演出が、トモ子の「夜中に一人で天気予報を聞いたことがあるの?」というセリフ。電話番号177をかけると、自動音声で天気予報が流れる・・・忘れかけていましたね(苦笑)
トモ子の孤独な姿を印象付けるようなシーンだと思いました。インターネットからSNSと、コミュニケーションツールが身近に増えてきた昨今を思うと、固定電話しかなかった時代が懐かしく感じます。
この作品では、トモ子の身をあれこれ心配する吉野刑事(誠直也)の思いが描かれています。吉野は後輩の津上と親しい仲間でしたし、ひょっとするとトモ子に特別な感情を持っていたのかもしれません。
ただ、これも昭和という古い時代の価値観なのでしょうが、吉野はホステスという仕事を蔑み、辞めるよう説得しています。カタギの仕事をして、いずれ結婚し家庭に入るのが女の幸せだと信じていたのでしょう。
ホステスという仕事の是非はさておき、吉野の個人的な価値観、ひいては古い男の価値観を押し付けるのはどうかなと思います。トモ子が自らの意思で働いているのを尊重することが、今の時代の価値観だと感じました。
ちなみにラストシーンでは、トモ子と吉野が非常にいい雰囲気を作り出しており、このままラブストーリーに発展するかもと期待したのですが、その後トモ子は特捜の準レギュラーにならず、霧散してしまったのです。
※コラム「私だけの特捜最前線」は、次回から毎週木曜掲載に変更します
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