酔いどれ男のさま酔い飲み歩記~第46回「ウロウロしながら池袋、赤羽飲み歩き」
「一人酒」、それは孤独な酒飲みのように聞こえるだろうが、実はそうでもない。私は一人酒という言葉を酒場で飲み歩く時に使っている。にぎやかな雰囲気に包まれれば、その店に居る人は全員、飲み仲間だ。
一人酒ができなくなって幾歳月・・・ついに再開の日を迎えた。が、本当の一人酒はこれからだ。さあ、体験談エッセイを書こう。タイトルは、酔いどれ男のさま酔い飲み歩記。第46回「ウロウロしながら池袋、赤羽飲み歩き」である。
はじめに
酔いどれ男のさま酔い飲み歩記の第21回で「初詣+飲み歩き、ハプニングもあった千葉飲み」というエッセイを書いた。東京方面への初詣と飲み歩きを初めてセットした時の千葉での夜の一人酒だった。
今回はそのつづき、すなわち初詣当日の昼酒について書こう。千葉市に泊まり、千葉神社を参拝したあと、東京都心に戻ってきて神田明神をお参り。初詣を済ませたところで、昼酒にはちょうどいい頃合いになってきた。
まずは池袋駅を目指すことにするか。
池袋西口「かめや」~隠れ家のような店からスタート
いきなり余談だが、神田明神で「IT情報安全祈願」のお守りを買った。カード型のお守りとともに、CPU型とメモリ型の祈願シールがセットされたものだ。今も大事に持っている。パソコン作業でトラブルが起きないようにお願いしたい。
さて、昼酒でやって来た池袋。お馴染みの西口に向かう。
口開けで訪れたのは居酒屋「かめや」である。若い兄さん店員のキビキビとした接客がいい。早速、フローズンビールをいただこう。肴は、店の看板メニューである焼きとりから、ピー肉とタンを頂戴する。
ピー肉はピーマンを使った料理だが、ピーマンの肉詰めではない。ピーマンが肉で巻かれているのだ。人気メニューだそうで、ピーマンと肉は相性がよく美味い。辛味噌を付ければより一層旨くなるのだ。
口開けなので軽めでお開きにさせてもらったが、狭い階段を上がった2階に店があるという立地は、隠れ家的な雰囲気で楽しい。また寄らせてもらうよ。
赤羽「丸健水産」~人気のおでん店で立ち飲み
池袋西口で飲み始めたとなれば、その周りには酒場がウジャウジャある。その気になれば、西口だけで飲み歩きが完結できる。だが、それでは面白くない。繁華街から踵を返し、池袋の駅構内へと向かう。赤羽線に乗って赤羽駅を目指すぞ。
赤羽も、池袋に負けず劣らぬ酒場だらけ。しかも昼酒ばかりか、朝酒すら楽しめる飲み歩きのメッカ。酒場は選り取りみどりだが、せっかくなら人気店を訪れるとするか。
呑んべえで知らなければモグリ、という「丸健水産」だ。
ここはアーケード街の中にあるおでん屋さんである。おでんを出す酒場ではない。あくまでも、お持ち帰り用のおでんダネを売っている店なのだ。おでんを買った客が立ち飲みスペースに陣取って一杯飲む・・・これが人気を呼んだのである。
丸健水産の名は昔から知っていたが、以前赤羽に来た時は長蛇の列ができていて断念した。本日もダメ元で寄ってみたのだが、思ったよりも待つ人は少ない。すでに一杯飲んでいるし、たまには並ぶのもいいだろう。
10数分待って注文の番が来た。どのおでんダネも美味そう。そのなかから大根、ちくわぶ、ショウガ天を見つくろってもらう。忘れてはならないワンカップ酒は、地元赤羽の地酒「丸眞正宗」。これは必須アイテムである。
立ち飲みスペースで早速飲み始める。あけっぴろげな雰囲気がたまらない。こういう店だから客同士の距離も近い。隣に立ったご常連のおっさんとしばし語らう。
おっさんによると、丸健水産はご近所さんにかなり気を遣っているらしく、近くのお茶屋さんに配慮して禁煙にしているとのことだ。「酔った方お断り」の張り紙も気配りの一つなのか聞いてみたが、「あれは昔から。酔っ払いは追い出されていたよ」と笑っていた。
そろそろ「出汁割り」をいただくか。
出汁割りとは、ワンカップ酒を少しだけ残しておき、ここにおでんの出汁を入れてもらうというもの。当時は無料サービスだったが、今は追加料金を取るそうだ。唐辛子を振りかけたオリジナルの「和風カクテル」。体が温まって美味しいぞ。
赤羽「まるよし」~名物料理のキャベ玉が美味い
丸健水産のあと、別な店に行ったがパッとせず、駅前まで戻ってきた。ふと、駅の真ん前に渋そうな酒場があることに気がついた。大衆酒場「まるよし」・・・まったくのノーマークだった。でも雰囲気は良さそうだ。
カウンターに陣取り、黒ホッピーとなめこおろし、それから店の名物の「キャベ玉」を頂戴する。店員はみんな中高年世代ということもあり、どこか落ち着いている。
まったりと飲んでいるところにキャベ玉が運ばれてきた。刻んだキャベツを溶き卵と炒めただけのシンプルな料理。が、これが美味い。なるほど、名物と言うだけのことはある。簡単そうなので自宅でも作ってみたが、まるよしの味は出せないんだよなあ。
ほかにもメニューはいろいろある。都会では珍しい「イナゴの佃煮」を隣に座っていたおっさんが注文していた。どうやら信州出身らしい。お代わりをしていたので、よほど好きなのか、食べ慣れているのか・・・本人に聞くつもりはないけど(苦笑)
池袋西口「三兵酒店」~締めくくりはやっぱりここ
赤羽で3軒はしご酒をした。このまま赤羽で完結する手もあったが、どうしても外したくない酒場が池袋西口にある。再び赤羽線に乗って池袋駅に戻ってきた。
その酒場は角打ち「三兵酒店」。
池袋で飲む時はすっかりお馴染みになった。店内にはいつも通り、一人酒の客が思い思いに飲んでいる。本日はナポリタンが置いてあったので、シークワーサーサワーと一緒に注文。シークワーサー果汁とコップ酒の焼酎が別々に出てくるのも三兵流である。
ナポリタンを食いながら、ゆるりと過ごす。相変わらずダルな雰囲気だ。だが、それが心地よい。飲み歩きで頭もフラフラしていて、何も考えられない。いや、考える必要もない。ひたすらボケーっと時を過ごしているのが、よく似合う酒場なのだから。
いやあ、すっかり酔っ払っちまったなあ!
今回はここまでとします。読んでいただきありがとうございました。なお、このエッセイは2016年1月の備忘録なので、店の情報など現在とは異なる場合があります。
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「ひとり旅で全国を巡ろう!旅道楽ノススメ」→note連載中の「酔いどれ男のさま酔い飲み歩記」もヨロシク!