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「主体性を重んじる教育」の注意すべき点

「主体性を大切にしよう」

「自主性を重んじよう」

「自ら考えることが大切だ」

現代のこども教育におけるキーワードともいえる「主体性」という言葉。

しゅたい_せい【主体性】
行動する際、自分の意志や判断に基づいていて自覚的であること。また、そういう態度や性格をいう。
(精選板 日本国語大辞典より)

言い換えると、「自分で考え、自分で決め、自発的に行動すること」とも言えよう。
何はともあれ、自主性を重んじる教育は僕も大事だなと思う。

しかしながら最近、主体性に重きを置きすぎる現代教育について少し違和感を感じることもある。

今回は自分の専門分野であるソフトテニスの指導を例にとって考えてみようと思う。

試合中のプレーに関する主体性の育て方

子供たちに「今のプレーはどんなことを考えていたの?」と聞く。中にはきちんと答えられる子もいるが、自分の言葉で答えられない子も多い。

指導者の中には「なぜ何も考えてないんだ!!」と頭ごなしに叱責している人もいる気がする。

そもそも、まだ人生経験も競技経験も浅い子供たちに「主体性」を完璧に求めるのは無理がある。
だからこそ指導者としての役割は重要だ。

僕が教えるチームでは、常に「考えてプレーをしなさい」と指導する。僕の意図としては、教えられたことをどのように上手く使って自分のものにして、プレーに活かしていくかを自分の頭で考えて欲しいのだ。

では果たして、先ほどの問いに対して答えられない子が、自分の頭で考えることを放棄している「主体性の無い人間」であるだろうか。

そんなことはないだろう。答えられない原因は別にある可能性が高い。

まず考えられるのは、プレー中に考える余裕が無かったということ。考えてプレーをすることの大切さは理解しているけれども、考えてプレーすることは口で言うほど簡単ではない。

考えてプレーをするためには、技術的にある一定のレベルに達することができていないと難しい。例えば狙ったところにボールを飛ばすことが困難な子供に「考えてプレーをしろ!」と指導したとしても無意味であることは何となくわかるだろう。そういった子には、球を狙ったところに飛ばすにはどうしたらいいかを練習で指導することが必要だ。

試合で安定して勝つためには、狙ったところにボールを飛ばせることが第一条件である。それができて初めて「考えるプレー」が出てくる。

話を元に戻そう。では教え子が前述の一定のレベルに達している子だと仮定して、「プレー中に余裕が無くて考えることができませんでした」と言ってきた場合には何を指導すべきか。

まず、自分にもし余裕がある状態だったら、同じ展開になったときにどんな選択をすべきだったかを考えさせる。そして相手に自分の言葉で発言させる。
もし本人が考えている内容自体が間違ったものであれば、それを直してあげることが必要である。

では考えていること自体は正しいことだったとしたら、次に「なぜプレー中に考える余裕がなくなってしまったのか」を考える。

たいていの場合、「準備不足」であるか「考えてプレーすることに不慣れ」であることが原因だと僕は考えている。

試合を楽しむことが目的であるなら、考える行為は楽しむことを阻害することが多いので不要である。

だが勝利を目的にするのであれば、頭を使って考えてプレーをすることは必要不可欠である。

特に自分たちより強い相手に対してはより一層必要である。

「考えるプレー」を具体的に言うと、「(1)相手の長所,短所,癖,プレースタイルを頭に入れ、尚且つ自分たちの持っている武器,その日のコンディション,試合環境(天候やコートサーフェス等)を試合前に把握しておき、(2)試合の流れやカウントに応じた動きをすること」である。

(1)ができていなければ「準備不足」だし、(2)ができていなければ「考えてプレーすることに不慣れ」と言えるだろう(あくまで一例)。

そして「なぜプレー中に考える余裕がなくなってしまったのか」を考える時、これらをきちんと場合分けして、その子にとって何についての指導が足りていないのかをきちんと把握したうえで指導することが大切だと考える。

・「準備不足」が原因の場合
相手の長所や短所を見つけるのも、実は訓練が必要である。ソフトテニスを始めて数年しか経っていない中学生が正しく相手の長所や短所を見つけるのはかなり難しい。
けれども、それを見つけようと血眼になって相手の試合を見続けることが大切なのである。少しずつ地道にその目を養うことで、だんだんと見極められるようになる。
自分たちがどんなボールを打てるのかを把握することも重要。どのくらいのスピードで打てばボールは入るのか、またその日の調子によりどんなボールなら打てるのか、逆にどのボールが自信が無いのか、ミスを少なくするためにはどうすればいいのかを考えること。
試合環境は、風上風下や雨でのボールの吹き具合を把握することが重要である。

・「考えてプレーすることに不慣れ」
普段の練習や練習試合から考えてプレーすることを癖づけておかないと、できるようにはならない。普段からサボってはいけないのである。
本番の緊張する場面で、冷静に考えてプレーができるかどうかは勝敗に大きく関わってくる。長い目で見た時、勝率においては確実に差となって表れる。安定して勝ち続けるためには、「なぜ勝てたのか、なぜポイントを取られたのか」などを常に考えてプレーすることが大切である。

これらをきちんと伝えたうえで、それでも教え子が指導を聞き入れなかったり、自分に甘くしてしまう傾向があるのであれば、初めて叱責することも考える。

長期的に叱責し続ける指導を僕は否定するが、自分に厳しくしてくれる他人の存在はそれはそれで必要だと感じるので、必要な場合はきちんと強い言葉で指導をする。

「主体性を重んじる教育」についての僕の考えまとめ

・一人一人の足りていないところの原因をきちんと探り、原因を細分化し、何をすべきかを伝えること。
・「何をすべきか」まで考えるプロセスを教え子と共有し、主体性を持って課題解決を行うまでのプロセスを明示すること。
・中学生くらいまでの子は自分に甘いところがあるので、時には厳しく接することで、その子の主体性を支えてあげる形で教え子に寄り添うのがコーチの役目である

ぜひ皆様のご意見聞きたいです。お待ちしております。

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