ただただ勝ちたい。それ以外考えもしなかった。
人間として成長したい?なんてあまり考えていなかった。
勉強?成績下がるとテニスのプレーにも影響しそうだから、テニスのためにも勉強していい成績取っておこう。
あいさつはしておかなきゃ怒られるからきちんとしていた。
練習は好きとか嫌いとかそんな気持ちは無く、自然とやっていた。
明日はこれをやらなきゃ。今週末までにこのボールを練習しておこう。
勝つことに意味があるかなんて考えたことある?
俺は無い。ただ一つでも多く勝ちたかっただけ。
あの頃、勝つことだけが全てだった自分の原動力が何だったのかは、今でも思い出せない。
応援してくれた親のため?教えてくれた先生のため?サポートしてくれたチームの仲間の保護者のため?一緒に頑張ってきた仲間のため?自分のプライドのため?
細かい理論なんて中学生の自分にはなかった。でも、無い頭を振り絞って考えて努力した。
アイツらに勝つために、俺は何を頑張ればいい?
たくさんの人に褒められたかった。自分を認めて欲しかった。
勝てるようになればなるほど表彰された。純粋に嬉しかった。だからさらに頑張った。
部活で成績を残しながら勉強の成績も良いと、「部活で忙しいのに勉強もできて凄いねぇ!」と褒められた。今度は勉強も頑張った。
「俺たちには時間が無い。ふざけるなら出ていけ。時間とコートがもったいない。」
本気ではない仲間とは距離を取った。自分にも仲間にも厳しくした。一緒に本気で頑張った仲間はいた。
目標を話し合い、共有して、お互いを励ましあった。
試合に勝つ。ただそれだけのために。
これが世にいう「青春」だったってことに気づくのは、それからずっと後のこと。
その青春は、僕らに思い出と人間的成長を与えてくれた。