Joshua Treeでの二日間
久々にしっかりと本降りの雨が朝から降っている。ぼちぼち洗濯物も溜まっきており、部屋の掃除などもしたかったので、今日はアパートでゆっくりと過ごすことにした。一昨日からはMarianoのいとこだというRaffineがメキシコからロスへ数日間このアパートに滞在しにきており(Billy Joelのコンサートに行くみたい。羨ましい)、思わぬ新たな出会いと話し相手の登場を嬉しく思っている次第だ。昨日挨拶がてら少し話をしたのだが、とても気さくで話しやすい印象だった。個人的には今週末あたりからまたぼちぼちと友人達と会う予定があるのでそれも楽しみにしている(さて、どこに行こうか)。というわけで今回はJoshua Tree編と銘打って、つらつらと書き始めていくことにしよう。
初日、出発の日は向こうがどうやら雨予報だったので、昼頃まではこっちで少しゆっくりと過ごすことにした。朝は近くのスーパーで朝食と、宿で料理するために必要な材料達を買い集めた。わざわざ買うほどは必要なかった調味料などはアパートから持って行くことにし、行きがけにLavetaで道中に飲むコーヒーを買って、12時頃だっただろうか?いよいよ市内を出発した。片道は約3時間ほど、決して短くはない距離だが、ナビの残り時間や道筋を示す長く続くラインがなかなか減っていかないのを見るたびにいよいよ長旅の真っ只中という実感が湧いた。市内を出るか出ないかのうちにすでに雨は降り出しており、目的地に近づくうちにそれはだんだん雪に変わっていった。濡れた路面で頻繁に車線を見失いそうになることや、前を走るトラックが巻き上げる水飛沫で途端に悪くなる視界にも慣れ出した頃、ようやく車はJoshua Treeへと入っていった。
基本的に初日は宿で過ごすだけの予定だったので、ひとまず足りない食材などを買いに近くにあったWhole Foodsへ。日本のコストコばりの規模感と圧倒的な品揃えはこの国ならではの光景だろう。そういえば、ビールを買おうとしたらパスポートを車内に忘れていたので、苦し紛れに日本の運転免許を出すと、レジを担当してくれた年齢的にはおじいちゃんと言っても良いくらいの男性は、やはり慣れない日本語表記に混乱していた。生年月日を指差し「1990年生まれって書いてあるんだけど」と説明すると、しばしの間を置いた後、なんとかIDチェックをクリアした(手間を取らせて申し訳ない。そしてありがとう)。買い物を終えた後は、食事をするには中途半端な時間帯で少し迷ったが、道中で偶然に発見したPopyesへ(前回の滞在で食べれなかったチキンサンドイッチがどうしても食べたくて行ける機会を探していたのだ)。がしかし店の前に車を停めて、せっかくだからと店内で注文しようとしたら、店のドアが開いていない。まさか何らか理由で今日は閉まってしまったのか?と思っていたら、近くに停まっていた車のおばちゃんが窓を開けて「この時間はドライブスルーしかやってないの」と教えてくれた。そしてほとんどそのおばちゃんの一声のおかげで、ようやくお目当てを手に入れることができた。ちなみに肝心のそれは、間違いなく、ただただ感動ものだった(普段あまりそういった類いを食べないまきちゃんも絶賛していた)。ああ、いつか是非日本にもチェーン展開してほしいものだ。
お腹も満たされ、いよいよ宿に向かおうかというところで少し天気も回復して晴れ間が見え始めた。こりゃあ幸先良いなと思いながら車をさらに走らせた。宿に着くには大通りから一本中に入っていくのだが、その道に入ってすぐに景色が一変した。そこは、いわゆる砂漠というには草木は多く茂っていたが、乾いた砂や岩肌、今まで見たことない植物達が、もはや無限に広がっているのではないかと錯覚するほどの広い荒野に広がっていた。ちなみにまだ少し雪も残っていたのだが、翌日は晴れ予報で気温も上がりそうだったので、予定しているナショナルパークの中でさらなる絶景が見られるであろうことにワクワクした。舗装された道を外れ、今度はほとんど舗装されていない道を数分走ると、ようやく小高い丘の上にその日の宿を見つけた。
薄いピンク色で見晴らしの良い、二人で滞在するには十分な大きさの平屋の一軒家は、予約時に見ていた写真通りの素敵な場所で、もちろん内装はや家具もJosha Treeの雰囲気に見事にマッチしていた。到着して荷物を中に運び込むと、まずは暖炉とエアコンをほぼフル稼働で暖を取ることに注力した(ここまで触れてなかったが当日はめちゃくちゃ寒かった)。しばし休憩も挟みその後は、こちらもまた素晴らしいキッチンで夜ごはんを作り始めた。まきちゃんはパエリア、僕はガーリックシュリンプを作り、朝買ってきたデリと一緒に盛り付けをすると、ささやかだが素敵な夕食となった。雰囲気にも合うかもと思い選んだBlue Moonも見事にハマり、Spotifyのメロウなプレイリストも相まって、とても良い夜が過ごせたことは言うまでもない。眠りに着いたのも少し遅かったのだが、翌朝は日の出前に起きて、外はまだまだ寒かったものの、夜明けには雨もやんでクリアになってきた広い空に、抜群の日の出(太陽が本当に大きく感じた)を拝むことができた。
少し寝過ぎた二度寝から目覚め、シャワーを浴びた後は朝食作りへ、今回のアメリカ滞在で習得したグリルドチーズと昨日買っていたヨーグルトで簡単な朝食を済ませると、少しバタバタとチェックアウトを済ませて、素晴らしい宿に名残惜しさを感じながらも、昨日とは打って変わっての快晴の中、ナショナルパークへと出発した。宿からビジターセンターまではそんなに離れていなかったが、そこに着くと一気にまた様子が変わった。うまく言葉にはできないのだが「これから冒険が始まるんだ」という高揚感をその場の雰囲気や同じく訪れている人達から感じ取り、さらに気持ちが高まるのがわかった。ビジターセンターから国立公園のゲートまではさらに10分ほどの距離だったが、まだゲートをくぐる前から、視界に入る光景が大きくそれまでと違うのを感じた。
車5〜6台分くらいの列を待ち、入場料を払った後はいよいよJoshua Tree National Parkへと足を踏み入れた。もちろん見どころはたくさんあるようだったが、約半日の滞在予定だったので今回はそれらの良いとこどりをしているという謳い文句のハイキングコースをメインに据えた。ゲートから20分ほど走ると駐車場が見つかったのだが、恐らく一番人気のコースなのだろう、それなりに車が停まっていた。いかにも入り口といった感じの細い小道から始まるそのコースは、基本的には決まった順路はなく平地もあれば岩などを登り降りしなければいけないような場所もあった。そして何よりも視界に入る全てやその場の空気や匂い、大きな岩や砂はもちろん多種多様な植物を触った時の触覚など、決して写真や動画などの媒体では伝え切ることはできないものたちを五感、もはやそれ以上の感覚で感じられた。とにかく圧倒されっぱなしの時間を過ごしたその後は、近くのベンチで朝作ったサンドイッチを頬張りながら、さっきまで感じていたものたちの余韻に浸った。
ランチを済ませ、夕方過ぎには市内に戻りたかったので、今度は夕焼けを見に来ようと心に誓い、再び長い往路へと出発した。帰り道はバッチリと渋滞にハマったが、心なしか気分良く帰ってこれた気がした。さて、そんなこんなでやはりなかなかのボリュームになってしまったが、書きながら再び思い出に浸ることができたので良い時間になった。今回はここまでにするとしよう。次回はまた恐らく数日後に。ではまたそれまで:-)