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引越しえぐいなぁ 準備編

「いやぁ まじで服多すぎ」

2人はため息をつく。

2人の共通の趣味は古着。

他にも沢山共通する価値観は多いが、目に見えて二人を繋げたのは服というものだったし、中でも古いデザインが好きで古着にめっぽう弱い体質な二人だった。

「服売るしかないな! よし!フリーマーケットを家でやろう!」

これがその後その名を轟かせることになったか、ならなかったかは知らないが、志賀家蚤の市の始まりである。

志賀家蚤の市は引越しのために荷物を減らそう!ということでいらない服や家財をバンバン言い値で売っていこうというイベントだった。

まず手始めに自分たちにとっているもの、いらないものを分ける作業が始まった。
世代的にわかる人はわかると思うが、笑う犬の小須田部長的なやつだ。

「これはいる。」

「これはいらない。」

「わーこんな服持ってたねー。忘れてたー。かわいい。」

「これは売りたくないなぁ。」

こんな感じの会話が続く2人。

こういった断捨離システムを始めてみたはいいが、大体にして謎の愛着が顔を出して捨てられなくなったりするもので、、、

1回目の分別作業は、あまりにも甘々な査定のおかげで全く物が減る兆しがなかったため、2回目の査定はお互いにかなり厳しい心でやることを決意した。

どうにか断腸の思いで分別を終えた2人。

ヘンテコフーフの一軒家の1Fはほぼゲストルームのようなスペースで、旦那が仕事から帰って家のドアを開けると「おかえりー」と幼馴染と嫁が酒を酌み交わしていたり。

そんな1Fに商品を並べて、せっせと値つけ作業スタート!!

ほぼタダ同然の値段に設定してあったし、中にはtake freeのものもあった。

イベントが開催されたのは暖かな季節だったので、11時くらいから引き戸の玄関を開けきって開店!といったカンジで。

玄関には大きなベニヤ板に「志賀家 蚤の市」と書かれた看板がバーンっと引っ掛けてあったので、通行人は店でもできたのかなぁと怪しげに店内を覗き見ていた。

伝説の三日間「志賀家蚤の市」

かなりの方が来場してくれて、3日間飲んだり食べたり服を売ったりとどんちゃん騒ぎの末、ありがたいことにほぼいらないものはハケた。
(2日目は夫婦の二日酔いがすごすぎて全く使い物にならず、すぐ閉店の知らせをインスタにあげる羽目になったことは記憶に新しい。)

それでも荷物の多い夫婦は、家の近くにドラッグストアがあったことをのちに深く感謝している。

というのもトイレットペーパーなどが入っている良質な段ボールが、簡単に手に入ったからである。

ありがたやぁ〜ありがたやぁ〜

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