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神のフレーズは不完全
こんにちは。Miyagawaです。
8/13開催の『コミックマーケット100』と、9/19開催の若木民喜先生作品オンリーイベント『落とし神 Fall in love FLAG 11.0』にて、初のサークル参加をし、同人誌を頒布しました。
頒布したのは、『God Only Knows 攻略超特急 神のフレーズ』 という本です。
TVアニメ『神のみぞ知るセカイ』シリーズの英単語帳
TOEIC対策でお馴染みの『TOEIC® L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』のパロディ本
これら2つの側面を持った本です。
![](https://assets.st-note.com/img/1668244623210-MIXXipW1DX.png?width=1200)
↓『神のフレーズ』について詳しくはこちら
早速ですが、この『神のフレーズ』という本、不完全な本です。
「不完全な本を頒布したのか! 不届き者め!」とお叱りの声が聞こえてきそうですが、ご安心ください。
決して不良品ではありません。
自信を持ってお届けした本です。
神のみファンにとって、これ以上ない最高の単語帳であると保証します。
不完全というのは『神のフレーズ』には諦めたことがいくつかある、という意味です。
諦めた原因は、制作スケジュールの都合、能力不足、予算の都合などなど。どうにかできたはずのことから、どうにもできないことまで。
どうにかできたはずのことは、反省しつつ、改訂版を出す機会があれば改善して刷りたいので、noteにまとめておきます。
諦めたこと① 発音記号の記載
『神のフレーズ』のパロディ元である『金のフレーズ』には、各単語の発音記号が記載されています。
一方で『神のフレーズ』には発音記号の記載が一切ありません。
載せようと思いつつ、載せられませんでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1668438336092-wOKf9Sy1sl.png?width=1200)
原因は、時間的余裕がなかったことと技術力不足です。
まず、発音記号とはこういうやつです。
![](https://assets.st-note.com/img/1668319991416-kB8fkKt1yt.png?width=1200)
英語は同じアルファベットでも、単語によって発音が変わるので、どう発音するかを表した文字です。
見慣れない文字がいっぱいありますね。
これが厄介なのです。
aとeが合体してたり、cやeが逆立ちしていたり、3みたいだけど3ではない文字があったり……
こんな文字、入力できません!
正確には入力する手段があって、Macであれば、こんなパネルを出してきて、ここから文字を探して、ダブルクリックで入力することになります。
![](https://assets.st-note.com/img/1668328132789-aXICN8mEtX.png?width=1200)
入力できるものの、『神のフレーズ』は300単語を収録しているので、気が遠くなりそうです。
より現実的な手段として、コピペがあります。
自分で文字を探して入力するのは手間なので、辞書サイトなどで各単語を検索して、発音記号を単語ごとにコピペする方法です。
ただ、この方法でも300単語あるとかなりの時間がかかります。
[検索 → コピー → ペースト]を300回繰り返すことになります。
GASやInDesignのデータ結合を活用して、大量のコピペを自動化してきたのに、ここに来てコピペ300回という泥臭い作業はナンセンスです。
↓InDesignのデータ結合による自動化についてはこちら
発音記号のコピペ300回を効率化するために、webスクレイピングを利用する手があります。
webスクレイピングとは、webサイトにある特定の情報を自動で抽出する方法です。
「webスクレイピングで解決するじゃないか!」となりそうですが、webスクレイピングの経験がないので、プログラミング言語の環境構築から初めて、勉強していかねばなりません。
ここまでまとめると、
自力で入力する → 時間がかかりすぎる
手作業でのコピペ → これも時間がかかりすぎる
webスクレイピング → そんな技術力はない。学習には時間がかかる。
という状況です。
覚悟を決めてコピペを300回繰り返すにせよ、webスクレイピングを習得するにせよ、結局のところ時間が必要になります。
ですが、『神のフレーズ』は徹夜入稿の末に完成しているので、もし発音記号の作業にじっくり時間を割いていたら、徹夜しても入稿できなかったかもしれません。
(2ヶ月ほどほとんど進捗しない期間があったりなど、徹夜の原因は色々ありますが、詳しくはこちら↓)
webスクレイピングをすぐに実行できる技術力を備えていれば、この状況を打破できたでしょうが……そう都合よくはいかないですね。
↓こちらの記事では、数学が同人誌制作に役立ったことを書きましたが、どんな技術が同人誌制作に必要になるか、分からないものです。。
思いも寄らない技術が活躍する、それが同人誌制作なのでしょう。
諦めたこと② カバーを付ける
本家『金のフレーズ』には本にカバーが付けられています。
ですが、『神のフレーズ』にはカバーがありません。
カバー付きにしたかったのですが、諦めました。
![](https://assets.st-note.com/img/1668440298707-H0Pw7FmzFv.jpg?width=1200)
原因は、時間的余裕がなかったことと予算不足です。
改めて言うまでもありませんが、カバーを付けるということは、カバー用の入稿データを作らなければなりません。
そしてすでに書いたように、『神のフレーズ』は徹夜入稿の末に完成しているので、カバー用の入稿データを作る時間が取れませんでした。
いや、カバー1枚くらいなら、根性でなんとかなったかもしれません。
ただ、ここで予算の問題にぶつかります。
今回『神のフレーズ』の印刷をホープツーワンさんお願いしました。
ホープツーワンさんでは、カバーを付けようとすると、本のオプションではなく、全くの別商品になるようです。
それの影響か、カバー付きだと印刷費が1.5倍くらいになる見積もりでした。
無料でカバー付きの印刷ができる印刷所もありますが、入稿締め切りが早まります。
印刷点数が多くなるのだから印刷に時間がかかり、そのため締め切りは早くなるという、当たり前すぎる話です。
諦めたこと③ 特色印刷
今まで挙げてきた諦めたことは、実現が簡単な順番になっています。
発音記号の記載は、時間があれば実現可能。
カバー付きは、時間と予算があれば実現可能。
そして最後に立ちはだかるのは、特色印刷。
原因は、圧倒的予算不足と同人誌の限界です。
ただの予算不足ではありません。圧倒的予算不足です。
どういうことか、まずは『神のフレーズ』の中身を見ていただきましょう。
単語帳として、オレンジで色分けされて、いかにも赤シートで文字が消えそうな見た目をしています。
![](https://assets.st-note.com/img/1668335620316-KDI6FxjJBX.jpg?width=1200)
ですが、この文字、赤シートで消えません。
![](https://assets.st-note.com/img/1668335625235-BECQcu3Vhn.jpg?width=1200)
言うまでもないですが、本家『金のフレーズ』はしっかり消えます。
![](https://assets.st-note.com/img/1668335669921-XkqqKWpcCX.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1668335674132-8fKDQyzwS0.jpg?width=1200)
これ以上ないガッカリポイントだと思います。
神のみオンリーでは、買った下さった1人の方から、「これ赤シートで消えるんですか?」と尋ねられました。
「ごめんなさい。赤シートで消えないんです……」と答えたとき、胸が痛かったです。
他にも、表紙の印象がかなり違います。
デザインは忠実ですが、『金のフレーズ』は金色っぽく明るく光るのに対し、『神のフレーズ』は鈍い茶色って感じです。
![](https://assets.st-note.com/img/1668333760900-1eGR3GFLvH.jpg?width=1200)
このような違いが生まれるのは、『金のフレーズ』は特色印刷がされていて、『神のフレーズ』は特色印刷をしていないからです。
一般的な印刷は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の組み合わせでフルカラーを表現します。
CMYKというやつです。
![](https://assets.st-note.com/img/1668336953471-cRFomnoFt9.png?width=1200)
しかしCMYKは万能ではなく、表現できない色があります。
CMYKでは表現できない色を出してくれるのが特色印刷で、ズバリその色を使って印刷します。
具体例を出すほうが分かりやすいと思うので、実際に見てみましょう。
『神のフレーズ』のオレンジの文字を顕微鏡で見ると、こんな風に見えます。
![](https://assets.st-note.com/img/1668337593188-G7DMLpxSOT.png?width=1200)
見た目はオレンジでも、オレンジは使われていません。
マゼンタとイエローが混ざっていることが分かります。
これが赤シートで消えない原因です。
一方、『金のフレーズ』のオレンジの文字を顕微鏡で見ると、こんな風に見えます。
![](https://assets.st-note.com/img/1668337729228-u8EFfmVDch.png?width=1200)
オレンジ一色ですね。
これが「ズバリその色を使って印刷する」ということです。
余談ですが、撮影に使った顕微鏡はこちら↓
安くて、ピントと倍率調整ができて、ライトがついていて、印刷の網点を見るのにオススメです。
次に表紙を比較します。
『神のフレーズ』の表紙を顕微鏡で見ると、こんな風に見えます。
![](https://assets.st-note.com/img/1668339078395-r0wLbi2dKb.png?width=1200)
シアン、マゼンタ、イエローが混ざっているのが分かります。
一方、『金のフレーズ』の表紙を顕微鏡で見ると、こんな風に見えます。
![](https://assets.st-note.com/img/1668339086773-g4vi7HISNz.png?width=1200)
キラッとした反射と輝きがあり、使われているインクそのものが金色だと分かります。
こういった特色印刷は、CMYKとは別に追加で印字することになるので、お金がかかります。
特色印刷は贅沢な印刷なのです。
では、特色印刷をすると、どれほどの予算が必要になるのか?
STARBOOKSさんでは、表紙に金色の特色を使うことが可能なので、見積もりをしてみました。
『神のフレーズ』と同様の20部で見積もったところ、約50000円!
ちなみに、対応している仕様に限界があったので、すでに印刷した『神のフレーズ』の仕様に、表紙に金色の特色を追加しただけでこの値段です。
オレンジの特色印刷と、カバーを追加すると、さらに金額が跳ね上がるのですが、それらの仕様に対応している印刷所が見つからないので、このあたりが同人誌の限界なのかもしれません。
不完全が・・・理想なんだ・・・
以上の3つが『神のフレーズ』で諦めたことです。
今後、増刷するときには、発音記号を記載し、カバーを付けて、発行することをここに誓っておきます。
特色印刷まで実現しようとすると、オーダーメイドな仕様で印刷してくれる印刷所を探し、相当な予算を用意しないといけないでしょう。
高給取りになる?
宝くじを当てる?
クラファンで資金調達する?
その日が来たら『神のフレーズ Premium Edition』として制作させていただきます。
幸い、諦めたことが致命的な欠陥にはなっていないので、さらなるクオリティアップの伸びしろがあるとしておきましょう。
さて、3ヶ月も擦り続けてきた『神のフレーズ』に関するnoteですが、書きたいことを書きつくしてネタが尽きてきたので、これで一区切りとします。
(なにか思いついたら、突発的に筆を取るかもしれませんが……)
『神のフレーズ』は『神のみぞ知るセカイ』の同人誌なので、『神のみ』のページを引用して締めさせていただきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1668443240424-hYwbTldHEH.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1668443240990-pdt6QoVCIF.jpg?width=1200)
『神のフレーズ』について気になったら、こちらの記事も読んでみてください!