子どもの未来を広げる「E」の力~STEAM教育のエンジニアリングを遊びながら学ぼう~
「STEAM教育」は、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Arts)、数学(Mathematics)の5つの分野を組み合わせて学ぶことで、21世紀に求められる創造力や問題解決能力を育てる教育法です。
その中の「E」は、エンジニアリング(工学)を意味しますが、少し馴染みが薄いかもしれません。この記事では、エンジニアリングをわかりやすく日常生活や遊びに結び付けて説明し、実践できる学びの例をご紹介します。
エンジニアリングってなに?
エンジニアリングとは簡単に言うと、「工夫して、問題を解決したり、何かを作ること」です。たとえば、こんな経験はありませんか?
・壊れたおもちゃを見て「どうやって直そう?」と考えたこと
・段ボールで秘密基地を作ったこと
・砂場でトンネルを掘ったり川を作ったりしたこと
これらはすべてエンジニアリングです。「どうしたらうまくいくだろう?」と考えて手を動かし、試してみる。その繰り返しが、自然とエンジニアリングの力を育ててくれます。
学校で言えば「図工」や「理科」に少し似ていますが、もっと自由に試行錯誤する部分が大きいのが特徴です。たとえば、「遠くまで飛ぶ紙飛行機を作る」ことを通じて空気の流れを学んだり、「水で動くおもちゃ」を作ることでエネルギーの仕組みに気付いたりします。
小学校低学年でもできる、 エンジニアリング学びの例
1. 紙飛行機を作って遠くまで飛ばそう
やること: 紙飛行機を作り、どれくらい遠くに飛ぶか試します。翼の形や折り方を変えて、「もっと遠くまで飛ぶ方法」を工夫します。
学び: 空気の流れや形が飛び方に影響することを遊びながら感じられます。成功するまで試行錯誤することで、工夫する力が身につきます。
2. ビー玉コースを作ろう
やること: トイレットペーパーの芯や段ボールを使い、ビー玉が転がるコースを作ります。「もっと速く転がすには?」「最後にジャンプさせるには?」など、どうすればうまくいくかを考えます。
学び: 坂道の角度やコースの形がビー玉の動きにどう影響するかを知り、ものの動き方や力のバランスを体感できます。
3. 家の中に秘密基地を作ろう
やること: 布や椅子、段ボールなどを使い、自分たちだけの秘密基地を作ります。壊れにくい屋根や扉をどう作るか考えながら工夫します。
学び: 身の回りのものを使ってアイデアを形にする力が養われます。空間の使い方や、力のバランスを考える感覚を楽しく学べます。
日常生活や遊びの中のエンジニアリング
エンジニアリングは特別な道具や知識がなくても、毎日の生活や遊びの中で学べるものです。
積み木遊び: 高く積むにはどうすればいいかを考えることで、バランス感覚や構造の理解が深まります。砂場遊び: トンネルを掘ったり川を作ったりする中で、水や土がどう動くのかを自然に学べます。
壊れたおもちゃを直す: 壊れた部分を観察し、「どう直せばいいのか」を考える力がつきます。
また、日常生活の中でもエンジニアリングの力を活かせます。例えば、雨の日に靴が濡れるのを防ぐ方法を考えたり、壊れたリュックを修理するアイデアを出したりすることが、それに当たります。
なぜエンジニアリングが大事なの?
エンジニアリングを学ぶと、次のような力が身につきます。
1. 問題を解決する力
「困った!」を「どうしたらうまくいくかな?」に変える力です。
2. チャレンジする心
「やってみたらどうなるかな?」と試してみる勇気が育ちます。
3. チームで協力する力
他の人と意見を出し合い、一緒に作り上げる力が鍛えられます。
これらの力は、大人になってからも役立ちます。未来の世界は、今よりももっと新しい問題が出てくるはずです。そうしたときに、どう解決するかを考え、行動に移せる人が求められます。
遊びと学びを、積み重ねる
特別な教材を買わなくても、身近な材料でエンジニアリングの学びは始められます。
大事なのは、正解を求めるのではなく、「試してみることを楽しむ」ことです。「どうしてこうなるの?」と一緒に考えながら遊ぶことで、お子さんの目がキラキラ輝く瞬間が増えるはずです。
ぜひ身近なところから始めてみてください。お子さんの未来を広げる第一歩になるかもしれませんよ!