田舎の少年はいかにして沼にハマったか vol.12
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田舎の少年はいかにして沼にハマったか(まとめ)
【前回までのあらすじ】
新宿駅東南口の「パチスロ グリンピース」でアルバイトをする事になった貴志少年。ギャンブルが身近になった環境から自身もギャンブルにハマってしまう。アルバイト終わりでバイト仲間と飲みに行きそこからキャバクラをハシゴする毎日を過ごし、あっという間に借金まみれになってしまう。働いたところで到底返せはしない借金のためにまたギャンブルをする日々。身も心も腐りかけたその時、少年の元にある男が訪ねてくる。その男の言葉に従って、少年は港に停泊している船に乗り込むのだった…
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NAPALM DEATH。
俺たちのバイブル「BURRN!!」によると、どうやらとにかく早くてブルータルなようだ。
田舎のにわかスラッシャーとしては聴かざるを得ない。
オレの聖地、沼津駅北口にあるCDレンタル「タイムストーン」に行くと、やはりそれは当たり前のように置いてあった。
いやマジでどうなんだって話ですよ。
さてもいつもの如く無事にレンタルし、早速家に帰ってメンバーの小泉と視聴。
鼻水を吹き出した。
比喩じゃなく本当に。
なんだこりゃ。
何やってるか全然わかんねえ!
こんなの音楽じゃねえ!
そう当時は批判していたが、その後徐々にこの闇にハマっていく事をまだその時のオレは知らなかった。
さてその頃にもなるとちょいちょい自主企画でイベントをやり始めたりしていた。
当時沼津には「ライブハウス」なるものはなく、レンタルホールがあって自分たちで仲間を集めて自分たちでチケットを作って自分たちで受付をやってという作業をしないと発表の場がなかった。
それ以外だと長い休みに一回あるぐらいの地元の楽器屋さんが主催するホールのコンサート的なものやYAMAHA主催のコンテスト的なものぐらいしかなかった。
時代はバンドブームの熱の余韻を残し、まだまだバンド文化は盛んだった。
先輩のバンドや後輩のバンドと入り混じりつつ自分たちの企画に呼んだり呼ばれたり。
そうして学校を越えた繋がりはどんどん広がって行った。
イケメンがいるラフィンノーズやコブラのコピーバンド、進学校のセクシー女子高生オンリーのXのコピーバンド、隣町の陽気なユニコーンのコピーバンド、メタル好きなギタリストが在籍するTHE BLUE HEARTSのコピーバンドなどなど。
田舎なりの華やかなラインナップの中で、オレは主にBURRN!!いいとこ取りのバンドでシンバルをミュートしていた。
イケメンが「ヘーイカモンパンクス」と歌うと女の子たちが「オイオイオイ!」と応える華やかな時間の後にマスターオブパペッツがプリングユアストリングスをしていたのだ。
そりゃモテるワケないわ。
そんなとある日、何がきっかけだったか覚えていないがとある地元の先輩バンドに出会った。
それは「BOOTS WALKER」と「STONE COLD FEVER」いうバンドで、オレがパラダイスシティにテイクミーダウンして欲しいなと思っていた頃に全員長髪でベルボトムだったのだ。
ここで初めて身近にリアルな「ライブハウスシーン」らしきものの匂いを感じたオレはすぐになついた。
メンバーの皆さんも可愛がってくれて(と勝手に思っている)、ライブに遊びに行って手伝って一緒にあんなことやこんなことをしてもらって家に遊びに行かせてもらって、と本当に本当に良くしてもらった。
長髪ベルボトムからもわかるようにブルージーだったりカントリーライクだったりでLYNARD SKYNARDやTHE ALLMAN BROTHERS BAND、JANIS JOPLINなどに触れ出したのはこの先輩方の影響だった。
さてこの頃やはり時代が変わったのはこれだ。
ハードロックの退廃的な雰囲気とパンクの衝動性かつキャッチー。
全部入ってる。
そんなNIRVANAを入り口にシアトルのシーンは盛り上がっていったが、それを横目に見つつその頃のオレはと言えば
順調に道を踏み外していった。
またこれらと同時に
こっちの方にも道を踏み外していった。
そんな中、とあるアルバムが発売される。
SEPULTURA。
ブラジリアンハードコアスラッシュ。
あれ?
これ、もはや聴きやすくなったNAPALM DEATHじゃね?
さあいよいよこの物語も次のフェーズに行こうとしている。
CULTURE CLUBに胸をドキドキさせていた少年の瞳がディストーションギターによって濁って行く物語だ。
高校三年生。
僕らのBURRN!!のレビューを読んでいると、とあるバンドが目に止まった。
「ぱ、PANTERA…?」
続く
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