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田舎の少年はいかにして沼にハマったか vol.10

【ここまでの記事はこちら】
田舎の少年はいかにして沼にハマったか(まとめ)

【前回までのあらすじ】
女性の叫び声を聞きつけた貴志少年はその声の方に向かうが途中で見かけた滝に見とれてしまう。辺りはいつの間にか暗くなってしまったのでその場で野営をする事にした。満天の星空の下で飲むコーヒーの味は漢のロマンそのものだった。焚き火を見つめながらここまでの人生をゆっくりと反芻する。山あり谷ありだったが、この人生もそんなに悪くないな。そんな事を考えているといつの間にか焚き火の周りに森の仲間達が集まって来ている。リスやウサギやクマと歌い踊っているうちに少年はいつの間にか寝てしまった。果たして女性の行く末やいかに。

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こうして我が家にやって来た初の洋楽メタルアルバムはMETALLICAだった。
切り裂くようなギターリフ。
攻撃的なボーカル。
ドラマチックな展開。
なんかパチパチいってるドラム。

そう。あのキックの音が謎だったのだ。
知っているバスドラムの音から到底遠く当時は「もしやスネアのリムを叩いているのかな?」と思っていた。
それがキックの音だと知るのはもう少し後のことだった。

メタリックでプログレッシブでアグレッシブでドラマチック。
オレは完全にMETALLICAの虜となった。
KちゃんがCD以外でダビングしてくれたのはBON JOVI一式だった。
しかし残念ながらBON JOVIはあまりハマらなかった。
キックがパチパチいってないからだったのだろうか(違う)

さて高校生活が始まり、徐々に友達も出来始めた。
何しろ入学した学校がマンモス校、オレの学年は生徒数が減ってひと学年1100人からスタートだった。
これだけの人間がいると「オレギターやってるぜ」とか「これからバンドやりたいんだよ!」という人間もたくさん現れだした。
オレは入学早々で学園祭の実行委員を押し付けられたのだが、その実行委員会仲間でメタル好きが二人いた。
二人とも「高校に入ったらバンドをやりたい!」と言っていたので当然の流れのように「やろうぜ!」となる。
一人は吉田くんといって北欧メタル好きの速弾きギタリスト、もうひとりは小泉といってジャーマンメタルやパワーメタルなど好き。
オレはメタル初心者だったので色々と教えて貰う代わりに自分の知っているPUNKを輸出した。PUNKとMETALのフェアトレードだ。
何はなくともライブをやりたい!となった俺たちはまずはバンドを組むことを目標に動き出す。
ドラムは見つからないので一旦オレ、ベースはオレの後輩のM、ボーカルは…誰だったっけ…(思い出したら書きます)
とりあえずバンドを結成した我らは手始めにANARCHY IN THE U.KのMEGADETHバージョンをやってみる。まさに折衷案。
近所にあったテンマというスタジオを借りて音を出す。

おい!バンドじゃんか!まじかよ!すげー!

あの時の感動と無敵感は、味わった人しかわからないだろう。
演奏なんかグダグダだったはずなのに、まるでプロのような気持ち。
それからも色々とあれもやりたいねこれもやりたいねなどとメンバーで盛り上がる。
バンドっぽいなぁ。まさに。

そんな日々が始まった頃、スタジオである張り紙を見つける。

「年末ライブ、出演バンド大募集!!」

続く

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