QUARS閉店に向けて
先日の台風7号の影響で建物が壊滅的な被害を受け、私のお店「MUSIC&BAR QUARS」は閉店となりました。
奇しくも私の誕生日、8/16を最後に。
閉店となりました。
そりゃもう驚くぐらいあっさりと。
「どうにかこのパンデミックを乗り切ったのかもな」と思える状態になってから半年を待たずして。
いやー。
まさか雨漏りにやられるとは。
もちろんこれ以降のスケジュールも全てキャンセルさせて頂きました。
だって会場がないからね。
やりたかったなー。無念。
2012年に転がるように始まったQUARSの最後に残されたものは、コロナ禍の多額の借金とびしょ濡れの機材のみでした。
が。
それ以上に店がもたらしてくれた喜びや苦悩、さまざまな出会いや経験は自分にとって本当に大きなものでした。
過ぎ去った日々に店で関わったダメだったヤツや迷惑かけて逃げ出したヤツですら結局みんな人間だよ。もう過去はおしまい。みんな愛せるよなって。
少子高齢化は歯止めが効かず、地方都市は驚く様に子供が減っていく中で時代が変わり続ける所にコロナの大打撃。
早々にやめた方がよっぽど楽だったけど、意地でもやめなかった。
なぜなら、QUARSが沼津で最後の「ライブハウス」だったから。
俺が若い頃、沼津には「ライブハウス」がありませんでした。
貸しホールはあったけど、自分たちでチケットを作って自分たちで受付をやって自分たちで仲間を集めてワリカンで会場代を払う。
「沼津にライブハウスできねーかなー」と仲間といつも話していました。
そこから26年、ついにまた沼津に「ライブハウス」がなくなってしまいました。
無念。とにかく無念。
周りに迷惑をかけながらも嫌われながらも意地でも守って来たものは、台風7号があっけなく持って行ってしまいました。
正直、もう自分にはライブハウスをやる力は残っていないのかも知れません。
疲れた。正直。
だから少しだけ肩の荷が降りた気もしています。
もう頑張らなくていいんだ。ライブハウスを守らなくていいんだ。
でもどうしても忘れられないもの。
それはいつも顔を出してくれた、最近は来れてないけどずっと来てくれていた、来たいなって言ってくれてた人たちです。
人が集まって、文化が生まれます。
もう同じような事は俺には出来ないかも知れないけど、人が集まって文化がある、そんな場所だけは最低作りたいなって気持ちはあります。
沼津はライブハウスを移転しようにもちょうどいい物件がありません。
あっても家賃が折り合いません。
出来て最初の1〜2年はどうにかなっても、その先のランニングコストを考えると今の金銭的体力では絶対に敗北してしまいます。
でも、みんなが集まれる場所は欲しい。
ん〜。
まだ確定できる事は何一つないけれど、今の気持ちはそんな感じです。
お客さんが本当に少ししかいない会場で鳴り響く、世界を変えてしまうんじゃないかって思う歌を聴いた日々。
満員の会場の熱気で体調悪くなりそうになりながらも、そのバンドが世界に羽ばたいていく瞬間を見ていた日々。
初めてのステージに打ち震えながらも持っている力を存分に発揮して、ステージを降りて泣いてたヤツがどんどんカッコ良くなっていくのを見守ってた日々。
音楽の夢は諦めたけど「元気ですか!」と顔を出して近況報告をしてくれる事が嬉しい日々。
あぁ。楽しかったな。
辛かったけど、めちゃ楽しかったな。
いつもふざけてたけど、めちゃ真剣にみんなの事考えてたつもりです。
至らない点も多々あっただろうから、それについてはこの場を借りてお詫びします。
という事で、QUARSは閉店です。
いや「封印」かな。
またいつかライブハウスが出来る時に封印を解きます。
もしも誰かがこの名前を使いたいと言ってくれるなら、それもありかもな。
まだ何も言えないけど、みんなが集まる場所だけでも作れたらいいな。
という事で、QUARSは最後まで毒を持ってふざけたいと思います。
お別れの記念グッズを作りました。
どうぞ下記からご購入いただけたら、店主の今後の悪企みの糧になります。
そんなの抜きにしても我ながらクリティカルなアイデアの、QUARSらしいグッズになったのではないかと思います。
こちらからぜひ覗いてみて下さい。
片付けが終わるまで実感しないんだろうなー。
オール片付けが終わる最後まで、皆様も油断なきように。
いや、日々に油断なきように。
俺は油断してて雨漏りにやられました。
またお便りします。
読んでくれた皆さん。ありがとうございました。