田舎の少年はいかにして沼にハマったか vol.8
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田舎の少年はいかにして沼にハマったか(まとめ)
【前回までのあらすじ】
寿司職人として新たな道を歩み出し、「小手返し」の男との勝負を終えた貴志少年は無事に銀座に自分の店舗を出店する。
しかし疲れから刺身包丁を落としてしまい足に大怪我を負ってしまう。大きな血管を損傷した少年は失血死の可能性もあると救急車で運ばれる。救急病院で多くの医者に囲まれるも相当難しい手術らしくみんなお手上げの状態。そこに現れた「K」と名乗る大男は自分に手術をさせろという。しかしKは無免許でモグリの医師、手術料で三千万円かかるという。
しかし少年の味に惚れた社長は「お金ならいくらでも払います!どうか助けてあげて下さい!」とすがりつく。
Kは「その言葉が聞きたかった…」と呟くと黙って手術室へと入って行った…。
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「ハーレム野郎」と書かれたそのアルバムのジャケットにはピエロ、肉体労働者、ハードロッカーなど様々なお兄さん方が映っていた。
(…イロモノか?)
恐る恐るレンタルして家に帰って聴いてみる。
ぶっ飛んだ。
激速のビートにポップな歌詞、絶妙なコント。
軽薄なのに硬派、激しいのにメロディアス。
NEW ROTEeKA、出会ってしまった。
しかしどうにもこうにも驚いたのが、ここまで出会った日本の数々のバンド達はみんな横の繋がりがありそうな事だった。
それは今まで知っていた(大して知らなかったけど)日本の芸能とは明らかに異なった「ライブハウス」の文化の匂いがした。
話が前後してしまうが、小学校6年生の頃に父が突然
「お前も大きくなって狭くなって来たから家を出て行け」 と言われた。
へ?オレまだ小学生だけど?
よくよく父の話を聞くと
「アパートの上の部屋が空いたからそこで暮らすと良い。メシと風呂だけ食いに降りて来い」
との事だった。
かくしてまさかの小学校6年生にして半一人暮らしする事になった。
当然勉強なんかはするわけもなく、テレビもない中で娯楽と言えば音楽を聴く事のみ。
楽器を始めてからは音楽と楽器のみ。
かくして80〜90年代のJ-POPヒットチューンから全く隔絶された純粋なるモンスターとして培養され続けたのだ。
この頃から部屋のポスターはマラドーナやプラティニ、ルンメニゲなどに代わり筋肉少女帯、J(S)W、NEW ROTEeKAなどに変わり、中学も終わりに近付くとピストルズのロンTなどが現れ始めるのである。
話はかなり戻り。
THE BLUE HEARTSのおかげでパンクロックに目覚め、不登校のN君のおかげでギターに目覚め、タイムストーンで曲がった教育を施され、住環境で純粋培養され、いよいよ先行きが怪しくなって来た。
ちなみにNくんは脱不登校した。
おめでとう。
中学も3年生になると周りで楽器をやる人間も増え始め、学祭でバンド演奏をやる事になった。
同級生で同じくロック好きのSくんと意気投合したオレは学祭に向けてバンドを結成、吹奏楽のコントラバス担当をベーシストに、ドラムに興味を持っていた友人がドラマーに。そしてボーカルはヤンキーだけど目立ちたがり屋の明るい女の子に決まった。
やる曲は女子チームの希望でPRINCES PRINCESS。
そして男子チームの希望でTHE BLUE HEARTS。
*公式の映像がないので割愛
今思えば演奏と言えるようなシロモノではなかっただろうけど、わからないなりにあれこれ工夫して教えたり教えられたり立候補して来たメンバーの数より多いマネージャーの子たちと青春の時間を過ごした。
さていよいよ学祭まであと数日。
バンドのメンバーと話しているとドラマー君が突然の告白をした。
「オレやんないよ。だって出来ないもん。」
えぇ…
続く
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