経営手帳に、社長の言葉翻訳まで!? 社員全員にビジョンが徹底共有される社長のいない会社の中身とは?‐ファーストトレード株式会社‐
社員のライフキャリア構築、自分らしいライフキャリアを応援している会社にインタビューさせていただく新企画がスタートします!
今回は福井県あわら市に本社を置く、ファーストトレード株式会社へお邪魔しました。
■ファーストトレード株式会社
ファーストトレード株式会社では自分が学ぶ際に会社がその費用を負担してくれる「自己投資手当」やブログを活用した社員間のコミュニケーションなど、とてもユニークな制度や取り組みを行っていらっしゃいます。
そのユニークな制度設計やチーム運営についてなどを、この3名の方に伺いました。
【1】パートがリーダー職へ、マネージャー職へ!社長のびっくり人事とそれを断らないポジティブな組織運営の秘訣は?
● 西端さんも八代さんもパート勤務から正社員、そしてリーダー、マネージャーへと一気に昇進されていますが、そういった人事異動はよくあるんですか?
(西端さん)
結構よくあります。社長の思い付きというか・・・笑
社長が管理部の部長も兼ねているので人事異動は社長が決めていますが、正直いつも人事異動の決定には驚かされます。抜擢人事というよりも、もはや「びっくり人事」と言えるくらい。
私も八代さんの人事も「びっくり人事」の1つです。
(八代さん)
びっくり人事ですが、基本的に「断る」という風潮はあまりありません。それもネガティブな意味ではなく、「私たちにできないことはない」という、行動指針があったり、まずは「やってみる」そんな意識がチームの中にあって。
それにポジションが上がれば上がるほどみんな真剣になるし、活き活きと仕事をしている姿を間近で見ているので、管理職になると大変そうとか、板挟みになって辛そう、というネガティブなイメージもありませんでした。
●びっくり人事はどう考えて決められているんですか?
(三上社長)
思いつきですかね笑
「この人にこれをやってもらったら、面白いんじゃないか」って思って異動を決めたりします。
一度やってみてもらって、ダメなら別の仕事やポジションのことをやってもらえばいいというくらいの気持ちです。それに、自分が苦手なことは別の人に任せようという思いもあって、人事を決めています。
【2】経営計画手帳で全ての社員へ徹底したミッションの浸透。社長の言葉翻訳までも共有されるチーム!?
●これだけ社内の意思統一や前向きさがある組織はなかなか無いと思うのですが、具体的な施策は何かありますか?
(八代さん)
社員全員が「経営計画手帳」を持っていて、そこに全部書いてあるというのも社員へ会社のミッションが浸透している1つだと思います。毎年社長が経営方針を作成し、それを手帳化。これをもとに毎月社員への勉強会も行っています。
この手帳には会社のミッションや、経営方針などの大きな目標が記載してありますし、それ以外にも会社のロゴのレギュレーションや社内の会議室の使い方のルールなど社員として理解しておくべきことは全部ここに書いてあります。
この手帳はパート社員も全員持っていて、マネージャー陣がスタッフに伝えるときにもここに書いてあることを、マネージャーとして伝える形になるのでブレることがないですね。
(西端さん)
今年は載せませんでしたが、「社長の言葉翻訳表」という項目も昨年まで私が作成して掲載していました。
例えば社長が「あれやろうと思うんだけれど」と急にぽそっと発言した時、
雰囲気は穏やかでも「いいこと思いついた!」って思ってるってことで。突発的だったり、予想外な内容のことが多いので聞いた方はちょっとびっくりするかもしれませんが、まずは「なるほど」って返して、落ち着いてその後の話を聞こうなど、本当に具体的な内容で、私が翻訳を作成し、一覧化しました。
実は私と社長が中学校の同級生という関係性もあるので、社長の言葉の翻訳ができたり、何でも言いたいことが言えたりするのもあるのでこれが出来るというのもあります。
でも、私が管理部のマネージャーとしてやってかなきゃいけない、会社のことを色々決めていかないといけない、社長の言葉をそれを下に伝えていかないといけないときに、スタッフに伝わるように翻訳して伝えるのも私の仕事だと思って作成していました。
(八代さん)
この翻訳が私の中でかなり染みついていて、インストールされているような感じです。
【3】やらなきゃ自分が損!それくらいな制度を作ってチームを動かしていく
●様々なユニークな取り組みや制度はどうやって出来ていくんですか?
(三上社長)
自分が「いい!」と思ったものはまずやってみるようにしています。
関係が近い知人の会社をベンチマークしていて、ここがこうなるなら、うちもこうなっていくだろうと考えて動いたり、飲み会で新しいアイディアを聞いてきてそれをうちの会社流にアレンジして制度にしたり。それに、これやりたいって西端さんに言うとやってくれるんで。
(西端さん)
笑
(三上社長)
自己投資手当は他ではやっていなくて、「どうやったらみんなが勉強するのか」を考えて作った制度です。
自発的に勉強するってなかなか言ってもできないし、ルールや制度を作るだけでもダメ。「自分でそれをやらなきゃいけない」っていう環境に身を置くと人は動くし、さらにやらなきゃ自分が困る、損だって思えるくらいになったら、どんどん動けるし、勉強もしていくと思っていて。それを思って作った制度です。
それに、ただ制度をつくる、やるってのだけではだめで、「なぜこれをやるのか」その意味やなぜ導入したいのかの意図が伝わらないと社員に理解してもらえない。なので、そのコミュニケーションにも力を入れています。いきなり導入したって付いてくる人はいないですからね。
【4】社長がいないのは当たり前。できないから徹底的に任せる。それを時間をかけて作っていく。
●こうした取り組みや雰囲気を他社でもやろうとした場合、どうしていったらいいと思われますか?
(三上社長)
正直、時間をかけるしかないですね。いきなり変わることはない。
私たちも前はこんな形ではなく、色々な試行錯誤があって、10年かけて今があります。いきなりはそうならないですよね。
私は自分が仕事ができないと思っているんです。それに会社にいない人。普段は関東にいるのでずっと福井の本社にいない。社長がいる時だけやる人なんてダメじゃないですか。それもあって普段いないことを選んでいるのもあります。
その判断は怖い部分もあったけれど、今は社員のみんなが仕事を自分事のようにやってくれるから全部任せちゃっています。社長に言っても無駄っていう雰囲気を作る感じです。
(西端さん)
本当に私たちマネージャー陣は社長のいるいないは関係ない。
今日も全力。ただそれだけ。な感じです。
(三上社長)
トップダウンで物事を決めてやることももちろんありますが、それを作り上げるのは社員。
だから任せる。どんな働き方しようが任せてます。
・・・・・・
お話を伺っている間も、みなさんとても自然に今の取り組みや社内の雰囲気を「当たり前」のようにお話されているのがとても印象的でした。ユニークな取り組みも、ここまで社内にミッションやビジョンの共有ができていることも、なかなか難しいこともありますがそれをこれだけ自然に取り組まれている雰囲気まで作られていることにとても驚きました。
「小さな組織だからできるんです」と何度かお話いただきましたが、決してそうではなく制度の工夫や社員1人1人のライフキャリアを尊重したコミュニケーションの賜物だと感じました。
(インタビュー:MYコンパス代表 岩橋ひかり)
(記事:MYコンパス広報 佐々木真紀子)
◆ファーストトレード株式会社
https://fast-trade.co.jp/
ファーストトレードは、2011年の創業以来、EC事業者向けのシステム・サービスを開発・提供。
自社ECサイトをゼロから月商3,000万円にまで成長させた運営経験と、全国の会員企業の悩み相談によって得られた知見を元に、業務効率化と経営相談による売上・利益向上を支援。仕入れ・ロジ・販促まで一貫して支援を受けられるEC事業サポートシステム「CiLEL」を自社開発し、これまでに5,000社以上のEC事業者支援を手がけ、企業間取引のDX支援を推進。
本社は福井県あわら市。
第二回「福井ふるさと企業表彰」優秀賞受賞(2017年)、経済産業省より「地域未来牽引企業」に選定(2018年)、ふくいグッドジョブ女性表彰受賞(2019年・2020年)。