【未修】ロー入試その2 ステートメントを書く
どうも、みやこばです。
前回に引き続き、ロー入試の過程に沿ってやることを書いていこうと思います。
さて今回は、出願。あたりまえですけど、出願しなければ受験できませんからね。で、おそらく受験生の前に立ちはだかるやばい壁、それこそがステートメントなんじゃないかなあと思います。ここでは、みやこばが阪大にどんなステートメントを出したか、書いてみようと思います(なお、提出したステートメントの点数は、開示した成績によれば9割でした。)。
問題の分析
阪大のステートメント。正式には「法律家としての適性を明らかにする文書」というそうですが、例年同じような課題が与えられています。
ちなみに、A4の表には、「1.法曹等に求められる能力 (目指す法曹像)」を書き、裏には、「2.法曹等としての自己の適性および到達度
(現時点の自己評価)」を書いてね、という指定があります。
というわけですので、ざっくりいえば、⑴自分の目指す法曹像に触れながら、(自分の目指す)法曹に求められる能力を示したうえで、⑵自分はどれくらいできてる? ってのを書けばいいのかなと。そこで、以下、⑴⑵それぞれについて簡単にまとめてみようと思います。
設問その1 自分の目指す法曹像と求められる能力
まずは、⑴自分の目指す法曹像に触れながら、(自分の目指す)法曹に求められる能力ですね。
以前番外編で触れたように、私は刑事事件に携わる弁護士になりたいと考えていましたので、前段はこれでクリアです。もっとも、その次に述べる「法曹に求められる能力」を具体化する意味でも、なぜ刑事事件に携わりたいと考えるに至ったかについては、一定程度詳細に書いています。
※この辺の詳細は以下のリンク先をお読みください。
設問⑴の流れとしては、まず第一に、これまでの自分の学び(刑訴法ゼミに入って代用監獄について検討し、卒業研究としてまとめたこと。その学びを通じて、身体拘束中の被疑者・被告人の処遇についてどうにかするよう捜査機関と渡り合えるのは、弁護士しかいないこと。)を示したうえで、なりたい法曹像を明らかにします。
そのうえで、目指す法曹に求められる能力としてどのようなものが挙げられるかを示します。私の場合であれば、①法解釈の場面において、言葉の意味を正確に捉え、何を前提にどのような議論をしているかを考える力、②実務の場面において、強い立場の者による処分について批判的に検討する力、という二つの力を挙げました。
要素としては、①目指す法曹像、②それに求められる能力、③その能力がなぜ必要かを意味付けるための論証(どんな事件にどのように携わる法律家を目指すかを示せば、おのずと必要な能力も定まる)、といった感じでしょうか。
(余談)ステートメントに法的三段論法?
巷では、ステートメントも法的三段論法で書かないといけない、というようなお話があるようですが、個人的にはそれほど気にする必要はないかなあと思います。
阪大のステートメントは設問の指示に従えば、特に意識せずとも法的三段論法っぽい書き方になるというようにも思われます。以下に詳細を書きますが、これが分かってないといいステートメントにならないというわけでもないので、いいやって方はスルーしてください。
一般に法的三段論法とは、⑴適用したい条文を指摘したうえで、その条文の要件と効果を示す(=大前提)、⑵問題となっている事実を指摘して、その事実が上記条文の要件に該当することを示す(=小前提)、⑶問題となっている事実にその条文が適用され、法的効果が発生する(=結論)というような論証です。なお、⑴大前提の論証では、どのような事実が該当すると考えるべきか、その判断基準となるような規範が設定されることもあります。
で、上記阪大ステートメントの課題をみると、目指す法曹像を明らかにし(=大前提論証)、それに求められる能力を示したうえで(=規範設定)、自分にその能力が備わっている具体的事実を立証する(=小前提論証)。そうすることで、法律家としての適性があることを明らかにする(=結論)という流れになっている、と読むことも可能と考えられそうです。その意味で、問題そのものが法的三段論法を意識した作りになっていると考えることができると思います。
まあ何が言いたいかというと、設問の誘導にちゃんと乗れば、(執筆者が意識するとしないとにかかわらず)法的三段論法っぽい書き方になりますので、必要以上に考え込むことはないかなあと思います。
設問その2 法曹等としての自己の適性および到達度
さて、求められる能力がはっきりしたら、あとは自分にその能力が備わっていることを示す具体的事実を貼り付けて、論証完成となります。
ここで注意しておくべきなのは、目指す法曹像の設定と、求められる能力の説明は、どうしても抽象的な論じ方になってしまってもやむをえないのですが、適性を明らかにする事実は具体的に書かないといけないということです。事実の適示は具体的に!
それから、ある事実がどのような意味を持つかについて、ひとことでも説明をしてあげることも重要です。トゥールミンの論証モデルでは、ある根拠(data)から主張(claim)を引き出すためには、その主張を支える論拠(warrant)が必要とされていますね。ここでいう「ある事実」が根拠(data)だとすると、その事実がどのような意味(論拠(warrant))を持つかを明らかにしなければ、主張(claim)とどのように関連付くのかが分からないですもんね。
諸注意
こういった形で、設問の誘導にしたがって論じるべきポイントを押さえた書き方をすれば、阪大のステートメントはそれほど怖いものではないと思います。特にステートメントの配点が高いことが予想される未修の方も、論じるべきポイントを押さえた論旨明快なステートトメントを書ければ、(若干とはいえ)点数面でリードできると思います。