タロットを愛する者たちの異常な行動
雑誌「マイカレンダー」2020年秋号
「今号の4人~タロット狂リターンズ」(P122)のスピンオフ!
タロットで遊ぶ名人&甘党占い師・桜田ケイ、蜘蛛とオカルトをこよなく愛する占い師・LUA、そしてカード会社「ヴィジョナリー・カンパニー」のイケメン広報・山室景志郎、そしてタロット沼に導かれた元マイカレ編集部員・馬場(+司会・マイカレ編集長)。この4名が集まって、ただただタロットの話をする会をオンラインで催した記録です。
※番外編① タロットで「連想ゲーム」をしてみよう! はこちら
※番外編② 2階建て「タロット荘」、あなたならどこに住む? はこちら
タロット沼は超常現象にもつながっていた!?
編集長:ちなみにタロットにまつわる、皆さんの逸話ってありますか? 「まさかこんな当たり方をするとは!」でもいいですし、タロットに関する自らの異常行動などあれば……。
馬場:桜田先生に教えていただいた「玄関タロット」(外出前に1枚カードを引き、伏せて置いておく)をして、帰ってめくったら〈カップの6〉。ちょうど上司にジュースを買ってもらった日だったので、絵柄そのまんまで笑いました。
編集長:いいですよね、玄関タロット! これは私も日課になっています。「残業してる場合じゃない! 早くあのカードをめくりたい!」と思うことで、サービス残業を減らすことに貢献していることにも注目ですね。タロットは日本の労働環境を変える可能性を秘めているかもしれません。
LUA:そうですね(笑)。タロットにまつわる逸話……。私の場合、イベントの占いで、すごい疲れ果てている時に、カードをテーブルでシャッフルしていたら、真ん中から人の顔が飛び出してきたことがありますね。
編集長:一気に何の話ですか!? 急にオカルトになりましたが……。
LUA:ビックリして「え!?」と。お客さんに「どうしたんですか?」と聞かれたので「いや、今ちょっと顔が飛び出てきて。彫りの深い、ターバンを被った濃い顔の……」と言ったら「えっ、彼氏インド人なんです!」って。
馬場:すごいですね、ほんとに!
LUA:ビックリしたんですよ。相当ラブラブな2人のようで、自分のことを占ってもらって、うれしくて彼が出てきたのかなと。占った結果もすごくいいカードばかり並ぶので「ラブラブだし、このままご結婚すると思いますよ」って言ったら「本当ですか! 実はプロポーズされているんです!」って。真剣に思っていて、それに応えようと思う時って、こういう不思議なことが起こるのかなと。冷やかしだとこういうことは起きない気がしますね。
編集長:なるほど。真剣さが重要ということですね。
LUA:「占う人」と「占ってもらう人」の気持ちが同じところにいった時に、何か起きるのかもしれません。この時は、お客さんもちゃんと心を開いてくれていた、というか……。
桜田:イベントとか、長時間ずっとカードを読んで疲れてくると、おかしなことが起こる、というのはあるかもしれないです。だんだん、何を読んでいるかわからなくなってくるというか……。
LUA:カードを開く前から、何が出るかわかっちゃう、みたいなこともあります。「どうせ〈法王〉だよね」みたいな。
編集長:えっ!? そういうこと、ありますか?
LUA:カードをめくりながら「あー、やっぱり、やっぱり、そうなんだね……」みたいな感じで展開していく時ってありますよね。
桜田:僕もありますね。普段はできる限り、フラットにやっているんですが、5分鑑定を何十件とひたすら続けていたりすると、次の人が来てから終わるまで、相談がもう終わってる感がある時ありますね。「こうなるだろう」っていう時系列が、先にわかっちゃってるような時が。
あらゆる紙がすべてタロットに見える現象
LUA:あと、カードを引かなくても、メモ用紙とかをめくったりすると、それがカードになっている時期があったんですよ。「え、なんでこれカードになっているの?」みたいな。カードをめくる動作をすると、本でも名刺でも何でも、タロットになっちゃう。「株式会社ヴィジョナリー・カンパニー」の名刺の裏が〈魔術師〉になっている、みたいなことです。
山室:……すごい!(笑)
LUA:それで「カード、いらなくない?」と思った時期があって。今はまったくそんなこと起きないんですけどね。
馬場:たくさん引いていると、そういった能力が磨かれてくるものなんでしょうか?
桜田:それって特別な、霊的な能力とかではなくて、普通に友達と話していて「こいつ調子悪そうだな」と思ったり、「この子、『恋人と別れた』って言いだしそうだな」と察したりすることがあるじゃないですか。それと同じだと思うんですよね。
LUA:感化されてくる感じですか?
桜田:多分、そうです。だからカードを使わないで占いをすると、疲れるんですよ。
カード=人間にとっての触角ではないか説
LUA:私もダウジング講座とかで言うんですけど、カードって我々の“触角”なんですよ、多分。あまりに形がかけ離れているから、ピンとこないと思うんですが……。
桜田:あぁ……。
LUA:猫のひげとも言えるかもしれないです。猫はその道の幅を通れるかどうか、ひげで感知しているじゃないですか。あとは虫とか。だからカードしかり、L字ロッド然り、ペンデュラムしかり……。占いの道具は「触角」なんだと思うんですよね。
山室:なるほど……。
LUA:私たち人間はわざわざそれを使っていろいろなことを感知しようとしているけれど、何度も練習を繰り返して、それが自分の身の一部になると、その回路につながりやすくなるのかもしれませんね。疲れて朦朧としてくると、カードだか自分だかわかんなくなっちゃうような……。
馬場:すごい(笑)。
桜田:そういう、常識とか力みがとれている時のほうが、するっと読めてするっと当たってたりするんですよね。当たっているというか、真理を突けたりする。
編集長:……そんなすごい道具を我々は扱っているんですね。
桜田:そんなすごい道具が、頼めば翌日には家に届くという……日本は便利な国ですね(笑)。
LUA:私自身、占っていて自分がしゃべっている意識があまりない状態でしゃべっている時ってありますね。
山室:芸術家の人ってこう、ステージとかでお芝居とか演奏とかした後、舞台裏に引っ込んだら何も覚えてない人とかいるじゃないですか? ああいう感じに近いんじゃないかと思います。そういう時って素晴らしい演奏をしてたりするのかもしれない。
桜田:そうですね。自分は5分鑑定を1日で60件やったことがあって、その時はさすがに記憶が飛びましたね(笑)。でも鑑定デビューした生徒さんとか、イベントで1日に10人、15人とか立て続けにみると、一皮むける感じがあるかもしれないですね。友達を1日に1回見るよりも、知らない人を10人くらい立て続けに見たほうが、読解力ってグッと上がる気がするんです。学校で英語を習ったばっかりの子を、外国人だらけの中に置き去りにするような感じ(笑)。そうすれば、無理やりにでも話すじゃないですか。
LUA:無理やり“触角”を使わないといけない状態に追い込んじゃうってことですよね? そういう状況だと必死で使うでしょうし。
編集長:なるほど。量を見ることがやはり上達への近道の一つ、ということですね。
桜田:そうですね、それがすべてではないですけれど。
LUA:だからタロットは、しまっていたらダメなんですよ。カードはしまうものじゃない。使うものなんです。
編集長:まさに名言ですね!
タロット狂に占われる、日本の未来
編集長:このままだといつまでもタロットの話が尽きないので、最後に1枚引いて終わりにしたいと思います。テーマは何にしますかね。
桜田:何だろう……。
LUA:何でしょうね……。
編集長:「日本の未来」をここでタロット狂が占っちゃうのは危険すぎますかね?
馬場:壮大ですね(笑)。これで同じカードが出たりしたらすごいですね。
編集長:では「日本の未来」でいきましょう!
(各自、黙々とシャッフル)
編集長:いいですか、心の準備は……。日本の未来が決まりますよ?
それでは……いっせーの、せい!
馬場:LUA先生すごい!
LUA:何だか私だけ楽しげですね(笑)。
編集長:桜田先生、〈吊るされた男〉ですか……。
馬場:つらい自粛が続きそうですよね……。
LUA:だから私、〈恋人〉なのかもしれない。実は私、出かけない生活好きなんですよ。
編集長:この状況が続いてもLUAさんにとっては楽園ということですね。
馬場:さすが大アルカナ……強い(笑)。
LUA:あるいは共存感? ウイルスとの?(笑)
桜田:〈吊るされた男〉も、吊るされてはいても表情は穏やかなので。
編集長:何か粛々と自粛しそうな感じですよね。それ以外の3人はすべてソードということで、このソード率の高さは何を表しているんでしょう……。山室さんは〈ソードの5〉ですが、どういうイメージですか?
山室:ソードって注射っぽいですよね。しかも逆位置だから、「ワクチンを奪い合う」みたいな? 「うち、少ないよね?」「こっちによこせ」みたいにやいやい言う感じ。
LUA:注射、打たれ漏れてる人がいそうな雰囲気ですね、〈ソードの5〉だと。
編集長:そう考えると馬場さんの〈ソードのキング〉は何ですか?
馬場:男性のリーダーがこの問題に切り込んでくる、という風にも見えますし、お医者さんっぽくも見えますよね。
桜田:この記事の公開時期にはアメリカ大統領選は終わっているんですよね。
馬場:また何か、動きがあるんですかね……。
桜田:そう言ってる自分が〈吊るされた男〉なので何とも言えないんですけど(笑)。
山室:全体に、かなりじっとしてる感じがしますね。
編集長:最後なので私も引かせていただきました。〈ソードの4〉……でも逆位置なので、何かが動き始めそうですか?
LUA:自粛が解除されるんですかね?
桜田:でも結局、逆位置とはいえ〈ソードの4〉〈ソードの5〉っていう辺りが……。
編集長:なかなか身動きは自由に取れなさそうな感じですかね? ……でもこれ、普通に当たりそうですよね。
桜田:想像の範囲内というか、「当たる」とかそういうレベルの話ではないような気も (笑)。
2019年末に見ていた未来と、リアルな今
桜田:ちなみに、2019年に「マイカレンダー」冬号で「2020年を表すカード」として〈塔〉を出していたんですけど「ああ……だよな…」ってずっと思ってました。
編集長:あれ、すごかったですね! 本当に〈塔〉に象徴される1年でした。家から出られないという意味でも。しかも〈塔〉の前のカードは〈悪魔〉で、「利権に群がる政治家や官僚」と、桜田先生が説明をされていて。まさにマスクをはじめとした今年の騒動を表していましたよね。「欲望がバブルのように肥大化して、〈塔〉で崩壊・刷新。その先に、〈星〉が待ってるから進めばいいんですけど、みんな〈悪魔〉の誘惑にしがみつくんです」という桜田先生の解説は、まさにこの状況を言い当てているような気がしますね。
桜田:あの段階では、まだオリンピック利権だと思っていたんですけどね。まさか、なくなるとは思いもしないから……。
編集長:取材は2019年の10月の段階ですからね。
桜田:取材終わった後で「〈塔〉かあ……もっと明るいカードにすればよかった……」って思ってたので (笑)。
編集長:この日、同じ座談会に参加いただいた、一樹さん(西洋占星術担当)からも、雨宮 零さん(東洋占術担当)からも、まったく明るい話題が出なかったんですよね。インタビューに苦労したのを覚えています。
桜田:オリンピックを前にしている、その年末の段階で「なぜこんなに暗い結果しか出ないんだろ……」って。
編集長:それがまさか、こんな形になるとは……。でも「崩れ去った〈塔〉の向こうに見えるのは希望の〈星〉」と桜田先生がおっしゃっていましたので、この先に〈星〉が待っていると信じてもう少し頑張って生きましょう。
こうした大変な最中でも、よすがとなり、遊び道具となり、こうして離れている者同士のコミュニケーションのツールにもなってくれるタロット。
とにかく「一家に1タロット」の時代が早く来ることを願ってやみません……!
PROFILE
桜田ケイ
さくらだけい●乙女座。タロット占い師、風船大道芸人、イベント屋など多岐にわたる活動を展開。ポーカー、カルタ、神経衰弱などタロットで遊ぶ名人。甘党。ブログでニッチな週末占いを更新中。https://uranaiyasan.sakurada-ke.com
LUA
るあ●水瓶座。タロット本のベストセラー『78枚シリーズ』(日本文芸社)の著者。蜘蛛とホラーをこよなく愛している。ワンド・カップ・ソードの「神の手」コスプレを実演。
https://twitter.com/lua_de_suga
山室景志郎
やまむろけいしろう●射手座。本誌P79 にも登場した「ヴィジョナリー・カンパニー」のイケメン広報。仕事でカードに接していたらいつの間にかタロット沼にどっぷりハマり、自ら占うまでに。
https://www.visionary-c.com/
馬場
ばば●牡牛座。〈ペンタクルのA〉や〈ソードの 2〉を演じ、休日には〈運命の輪〉や〈ペンタクル〉のパンケーキを焼く体験型タロット愛好家。マイカレ WEB 連載「反復横跳び」
元担当。イラスト/海老原
https://mycale.jp/articleDetail.php?aKey=121
司会/マイカレンダー編集長・山田