やまだしす あいにいく
「死人に口なし」とはいい言葉である。
彼が会いたくないと思っていようとなかろうと、拒否することも出来ないのだ。
幸い早々に彼の遺骨を管理している方に連絡がつき、私は大阪行きの切符を買った。
世間はコロナ禍で、その当時は県をまたいでの移動を控えるようにと毎日毎日ニュースで流れている頃だった。
普段の私ならそういったいわゆる世間のルールというものを尊重する。
コロナを理由に何度も遊びの誘いを断り、遠出も近くの外食も避けるタイプだった。
なのに、大阪。
感染大流行最中の大阪。
そこへ行くことになんのためらいもなく、ほぼ脊髄反射のように知らせを聞いた翌日の午前中に私は新幹線に乗っていた。
彼とは私の初めての恋人である。
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