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①MM号の事を考えている時の脳のCT写真

予兆

今思えば4月の頭

ふとした時に眼が霞んでピントが合わない日が2日間ほどあった。
右手の中指がじんわり痺れてちょっとした時に気にはなっていた。
春の不安定な気圧のせいか最近やたらと頭痛も多い。
そんな自覚症状はあったけど、どうせ加齢かストレスか…と特に気にもかけていなかった。

耳の不調

その10日後。4月12日の金曜日の朝。
起きると左耳の聞こえがぼんやりと遠い。水の中に潜っている時のように音が曇る。

ちょうど1週間後の木曜日に「祭GALA」の観劇を控えていた私は
「仕事してる場合じゃねぇ!
深澤くんの涼やかで優しい声を、ちゃははと笑う晴れ風の様な笑い声をよぉ!
犬猫レベルの聴力で一語一句拾いに行かなきゃなんねぇんだよ!!」

と仕事を休み、朝イチで耳鼻科の診察を受けた。

診断結果は極めて軽症の突発性難聴。
血行促進剤を1週間程度飲めば治るだろうとの事。

やっぱりストレスかぁ…良かった。すぐ治る。勤労は糞!
と耳鼻科を出たのがまだ朝10時前。
せっかく仕事も休んだし気になる不調は全部解決しておくか。
という軽い気持ちで病院を梯子する事にした。

そういえば右手の中指だけだった痺れが、ここ数日で人差し指と親指にもじんわりと広がってきていた。
普段は全く気にならないけれどペンを持つ時にちょっと調子が狂う。

せっかくだからこの症状も解決しとこう!
あくまで自分が健康である前提の軽い思いつきだった。

なんとなく脳神経内科へ

ネットで「片手 痺れ」で検索すると、原因はおそらく以下のいずれか。
1.首や腰の損傷からくる神経性の痺れ
2.脳内出血など脳の損傷によるもの、もしくはその予兆
さて、行くべきは整形外科か脳神経内科か。

私はちょうど1年前に腰の小骨の骨折を経験していた。(腰椎横突起骨折/3本)
小骨なので脊髄など神経に触る損傷もなく1の原因に心当たりは無い。

とは言え2の原因も心当たりは全く無い。
頭痛の頻度が若干増えた気もするけど、痛みは普段の偏頭痛となんら変わらず頭痛薬を飲めばすぐに治る程度のものだった。

2択で脳神経内科を選んだのは、1年前の骨折当時通っていた整形外科の先生がちょっと適当で、私と波長が合わないタイプの先生だったから。あと受付のお姉様方がいつも高圧的だったから。
あの病院に行っても私の納得いく答えは出なさそうだな。という消去法で脳神経内科を受ける事にした。

比較的大きな出血があるね…

歩いていけるほどの近所にあるけど、私には一生縁が無いだろうと思っていた脳神経内科。

のんびり話すおじいちゃん先生に耳の聞こえが悪く、つい先ほど耳鼻科で一時的な難聴状態と診察された事。
右手の痺れが10日間ほどで中指から人差し指と親指にも広がっていることを伝えた。

「うーん…痺れが広がる速度がちょっと早いねぇ?念のためCT撮っとこう。」

正直脳は関係ないとアッサリ帰される事を予想していたのでCT撮影とは驚いた。

驚きはしたけれどこの時点ではまだ、あくまでこれは念のためであって初めてCTを撮るのも良い経験だ!くらいの気持ちだった。

初めて乗ったCTで
「天井の壁紙、マジックミラー号の壁紙と一緒だ…」
そう思う程度には心に余裕もあった。

※天井イメージ

「ここ、脳幹っていう脳の幹ね。ここに白い丸が写ってるでしょ?CTって血が白く写るからね。出血してますね。
結構大きくね。15ミリ以上あるかな?うーん、大きいね。
ウチじゃMRIは撮れないから、今すぐ救急の総合病院に紹介状出すから。何とか空き作ってもらって、今日のうちにすぐMRIを撮ってもらいましょう。」

写真には確かに脳のど真ん中に白くはっきりとした丸が写っていた。
何を見せられ、何を言われているのか。
何となく他人事の様なぼんやりとした気持ちで話を聞いた。

「脳動脈瘤かな?この位置だと開頭手術はなかなか難しいでしょう。」

目の前にいる先生がベロベロ喋るヤギに見えた。

※イメージ

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