その丸さにハッとする

【2024.3.23】

前日は明け方4時近くまで仕事をしていたため、ゆっくりの目覚め。

簡単な朝ごはんを用意してソファに腰掛け、もそもそと口を動かしていると、ねこが背中を丸めて窓側の肘掛けから外を眺めている。ふわふわの身体の輪郭が逆光でぼんやりと照らされていて、こんなに愛しい命がすぐそばにあることがおよそ信じられない。愛しさが一瞬にしてビッグバンを起こす。この光景を記録しておこうと気づかれないように静かにスマホのカメラを向けた。

うちのねこはカメラがあまり好きでなく、撮られていることに気付くとそっけなくなってしまう。水平がうまく取れずにもたついているうちに「撮ってるでしょう?」と不満げな顔をこちらに向けて、お外ウォッチングをやめてしまった。大失態。

そのままひざに乗っかってきて、わたしの腕をやんわりつかみアゴを乗せてキャットナップをはじめたりなんかするものだから、もうますますやっていられない。ねこと過ごす時間は驚くほどなめらかに溶けていく。ねこを乗せたまま朝ごはんを終え、食器もそのままに昨日読みはじめた本の続きを開いてこの甘やかな時間に身をまかせる。

しばらくすると、ねこもわたしも座っていることに飽きて一時解散。この隙にと食べ終わった食器を下げにキッチンへ行くと、起きてすぐに洗って乾かしておいたねこの水飲み機に水を入れてやらねばならなかったのだと思いだす。じゃぶじゃぶとたっぷり注いでいつもの場所に置いてやるとすぐに、リズミカルに音を立てて飲んだ。ねこの給水を見届けてふと窓の外を見ると、このあたりを1時間に1本ペースで走っている唯一の路線バスが住宅街の中を走り抜けていくところだった。家の中と外とで流れている時間の速さが違うのではないかと思えて不思議な気持ちになる。

夕方までに少し仕事をし、外出していた夫を迎えにいった足でそのまま外で晩ご飯を食べる。姫路発祥の豚骨ラーメン屋でうまいうまいと胃にラーメンと小チャーハンと餃子を流し込みながらなお、半替え玉しちゃおうかとメニューをにらんだがギリギリのところで踏みとどまった。次はこの一線を越えるかもしれない。

腹をぽんぽこにして帰った飼い主を、出かけた時とまったく変わらない場所にいるねこが視線だけで出迎える。手洗いうがいをしてから頭をなでてやると、また膝に乗ってきてドーナツのようにまん丸になって眠りはじめた。

その丸があまりにも美しいので、ハッとする。

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