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BOOK:横溝正史

前の記事で、「江戸川乱歩の作品があれば人生退屈しない」というようなことを言いましたが、横溝正史の作品もまたしかり、です。
「本陣殺人事件」「獄門島」「犬神家の一族」「八つ墓村」・・・
名探偵  金田一耕助が難事件を解決する物語はどれも有名ですし、度々映像化もされているので、触れる機会は多いと思います。

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横溝正史作品の特徴は、「複雑な血の繋がりによって生み出される愛憎劇」と「奇妙奇怪な殺され方の妙」だと思います。「なんでそんな恐ろしい殺され方するの!?」という驚きと、その裏にある理由が繋がった時、運命に翻弄された犯人の哀しい人生が浮かび上がる・・・そんな後味を残す推理小説です。

金田一シリーズの中で個人的に好きな作品が、「悪魔の手毬唄」です。
この夏、角川文庫の「角フェス2020」でスペシャルカバーになっているのを見つけたときは、テンションが上がりました。佇まいが綺麗ですね。

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数ある金田一シリーズの中で、なぜ「悪魔の手毬唄」が好きなのか。
それは、「ザ・見立て殺人」な作品だからです。
見立て殺人ってバツグンに不気味だからこそ、惹かれるものがあります。
世界的には、ヴァン・ダインの「僧正殺人事件」や、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」が有名ですね。金田一シリーズでは、「獄門島」や「犬神家の一族」でも見立て殺人が扱われています。ではなぜ、あえてこの作品を選ぶのか。その理由は、「鬼首村(おにこべむら)手毬唄」という「唄の内容に沿って見立て殺人が起こるから」です。

唄って、楽しいもののはずなのに、その歌詞のとおりに人が殺されていくって、トンデモなく不気味です。何かこう、無邪気だけど残酷に人が殺されていくところに、底知れない恐ろしさを感じます。そこが魅力的な作品です。

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