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おすすめの本をさらっとご紹介します。
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#読書感想文

アリストテレスの「政治学」を読む #2

アリストテレスの「政治学」を読む #2

少し間が空いてしまいましたが、アリストテレスの「政治学」の続きを読んでいきたいと思います。前回は第一巻の第一章〜第七章まで読んだので、今回は第八章〜第十三章まで読もうと思います。

引用元の本はこちらです。(光文社古典新訳文庫って素敵ですよね!)

第一巻 共同体についての緒論と家政論(つづき)第八章 家政術と財貨の獲得術はどのような関係か

人間が上位の考え方ですね。「自然が作り出すもののすべて

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アリストテレスの「政治学」を読む #1

アリストテレスの「政治学」を読む #1

2023年7月、光文社古典新訳文庫から、アリストテレスの「政治学」の新訳が出版されました!これは嬉しいです。

アリストテレスは古代ギリシアの偉大な哲学者で、その思想は後世に影響を及ぼしている…くらいのことしか知りません。が、以前何かの雑誌で、アルゼンチン生まれの政治家・革命家でもあるエルネスト・ゲバラが、戦場で読むためにリクエストした本の一冊だということを知りました。ゲバラのことが特別好きという

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BOOK:後白河法皇 平家を滅亡させた黒幕

BOOK:後白河法皇 平家を滅亡させた黒幕

河合敦さんの「後白河法皇 平家を滅亡させた黒幕」。幻冬舎新書。
昨日藤原氏に関する本をご紹介しましたが、藤原氏の強固な権力基盤を歴代の天皇は甘んじて受け入れていたわけではなく、院政という手段で対抗します。その初代が白河院で、二代目が鳥羽院、そして三代目にあたるのが後白河院になります。

後白河院の何が面白いかというと、人生の波乱万丈さです。その発端は、初代白河、鳥羽、崇徳の昼ドラ的な血縁関係にある

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BOOK:藤原氏千年

BOOK:藤原氏千年

朧谷寿さんの「藤原氏千年」。講談社現代新書。
日本の政治を動かしてきた人たちというのは、基本的に「天皇の近くにいる誰か」であって、それが貴族だったり武士だったりしたわけですが、古代から現代に至るまで一貫して絶大な影響力を持ち続けている一族がいます。それが藤原氏であり、この一族を知らずして日本の歴史は語れないみたいなところがあります。

藤原氏って奈良時代〜平安時代だけじゃないの?現代にいる?と思わ

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BOOK:神の詩 バガヴァッド・ギーター

BOOK:神の詩 バガヴァッド・ギーター

田中嫺玉さん翻訳の「神の詩 バガヴァッド・ギーター」。TAO LAB BOOKS。
インドの叙事詩「マハーバーラタ」において、最終決戦を目前にして身内同士での戦いに意味を見いだせずに戦意喪失した戦士アルジュナに対し、神の化身であるクリシュナが語る内容が「バガヴァッド・ギーター」です。インド古典の中で最も有名な聖典だそうです。

クリシュナがアルジュナに対して何を語ったかというと、結局「戦え」ってこ

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BOOK:地球のかたちを哲学する

BOOK:地球のかたちを哲学する

ギヨーム・デュプラさんの「地球のかたちを哲学する」。西村書店。
古代から現代まで、世界各地の人々が「自分たちが暮らす世界をどう認識していたか」をイラストで紹介してくれている面白い本です。仕掛け絵本のようになっていて大人も子供も楽しめます。

表紙をご覧いただくと、コマのようになっていたり、亀の上に陸地が乗っていたり、半球のカプセルで覆われていたり…世界各地の人々が独自の世界観を持っていたことに気づ

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BOOK:図説 海賊大全

BOOK:図説 海賊大全

デイヴィッド・コーディングリの「図説 海賊大全」。東洋書林。
海賊は古代から存在しますが、海賊と聞いて最初に頭に浮かぶのは、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」に代表されるカリブの海賊でしょうか。
海賊って、アウトローが勝手気ままに略奪を働いているイメージしか持っていなかったのですが、カリブの海賊だけでも大きく3種類に分類されるそうですね。

3種類それぞれ、成り立ちや背景が違うようです。

■プ

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BOOK:人類の進化大図鑑

BOOK:人類の進化大図鑑

アリス・ロバーツさんの「人類の進化大図鑑」。河出書房出版社。
現代において人類といえばホモ・サピエンスしか存在していません。肌の色や目の色など違っていても、みんなホモ・サピエンスという同一種族です。
でも、古代にはホモ・サピエンスとは異なる「別の人類」が複数存在していたわけで、それってとっても不思議で興味深いことだと感じます。

この本は、いつの時代にどんな「別の人類」がいて、その姿がどうだったの

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BOOK:理科系の作文技術/書き方の技術

BOOK:理科系の作文技術/書き方の技術

木下是雄さんの「理科系の作文技術」。中公新書。
篠田義明さんの「書き方の技術 “文章が苦手”な人のための実践マニュアル」。ごま書房。
今回は、文章作成に関するおすすめ本を2冊同時にご紹介します。

はじめに「理科系の作文技術」から。マニュアル作成の仕事に従事した時、上長に「10回は読み込め」と言われた本です。日本の学校教育では(少なくとも僕が学生だった頃は)「わかりやすい文章を書く」訓練をすること

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BOOK:「新日韓国人」ですが、何か?

BOOK:「新日韓国人」ですが、何か?

YouTuber  WWUK(ウォーク)さんと、呉善花(オソンファ)さんの「「新日韓国人」ですが、何か?」。悟空出版。

お二人とも韓国出身で、ウォークさんは日本国籍を取得する帰化申請中、呉善花さんは1988年に帰化されています。

この本は、韓国人&元韓国人の目から見た、日本と韓国の価値観の違いについての対談集です。ウォークさんは、中学2年生まで韓国で過ごし、その後オーストラリアに留学した後で日

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BOOK:十角館の殺人

BOOK:十角館の殺人

綾辻行人さんの「十角館の殺人」。講談社文庫。
先日ご紹介した島田荘司さんの「占星術殺人事件」については、「天才的な鳥肌もののトリックでド肝を抜かれる」と書きましたが、この作品は「最後の最後で、えっ…えぇ!?と自分を疑いたくなる」推理小説です。

夏の合宿みたいな感じで集まった(すみません、この辺り記憶はあやふやです)推理小説好きサークルのメンバーが、この十角館で犯人の魔の手にかかってしまう…という

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BOOK:占星術殺人事件

BOOK:占星術殺人事件

島田荘司さんの「占星術殺人事件」。講談社文庫。
この推理小説のトリックほど、読者のド肝を抜くものはないと思います。
天才的なトリックで鳥肌が立ちます。
わりとド胆を抜きやすいトリックとして「叙述トリック」というものがありますが、この物語はそれではなく、純然たる真正面の(?)トリックです。

この推理小説を、もっと早くに読んでいたら、本当に、心底ド肝を抜かれていたと思います。…というのも、僕が中学生

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BOOK:日本人は「やめる練習」がたりてない

BOOK:日本人は「やめる練習」がたりてない

野本響子さんの「日本人は「やめる練習」がたりてない」。集英社新書。
日本人はよく、他国の人に比べてチャレンジ精神がないとか何とか言われますが、どちらかと言うと「一度やりかけたことを途中でやめることが何となく気まずいし印象が良くない雰囲気」だから、「やめることが許容されていない→失敗するようなことに手を出したくない→新しいことにチャレンジしない」と言う構図になっているのではないかなと思います。この本

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BOOK:歴史バカの壁

BOOK:歴史バカの壁

麗澤大学国際学部准教授であるジェイソン・モーガンさんの「歴史バカの壁」。育鵬社。
日本人って、「日本が戦争に負けたのは、日本が近隣諸国を支配しようとして悪いことをしたからだ」って思っている人が多そうですが、それは占領軍の政策が「日本人が罪の意識を感じるように」設計されたもので、徹底的に叩き込まれたからだそうですね。War Guilt Information Programというやつです。
なので、

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