Mr.Children miss you arena tour @Kアリーナ初日超個人的まとめ
【序章〜ここに至るまで〜】
先ずは、ホールツアーを簡単に振り返る。
(『先ずは』て字面で弁護士チラつくのやめたい)
【セットリスト】
Birthday→青いリンゴ→名もなき詩→Fifty's map→口がすべって→常套句→Are you sleeping〜 →LOST→アート=神の見えざる手
→雨の日のパレード→Party is over→We have no time→ケモノミチ→pieces→放たれる→幻聴→声
→Your Song→おはよう
優しい歌→The song of praise→祈り ~涙の軌道
『優しい驚き』に包まれた実に暖かいライブ。 小規模会場で名盤『miss you』の深みを知らしめ、声出しの感覚を呼び起こさせる機会だった。 また新旧名バラード達を異なるアプローチ、
表現力で歌い分ける桜井和寿の進化の片鱗を
見せたツアーだった。
そして発表されるarena tour。
小規模会場から中規模会場であるアリーナに
場を移すことでアルバム曲達をどう活かすのか。『静』と『動』この対比を如何に創り出すのか。そんな点に注目して、僕は埼玉公演に臨んだ。
(中略)
結果、僕は打ちのめされ、これ以上Mr.Childrenに何を捧げれば良いのか分からなくなった。 一生彼らについていきたい。そんな人生も良いもんだ と心に決めた瞬間である。
ここまでが序章。
今回の本編は、そんな僕が幸運にも目にした
追加公演『Kアリーナ横浜』でのお話。
※埼玉での初見の衝撃を交えた内容にしています
【本編】
10月26日。追加公演初日。
よって事前情報は何もない。 果たして『何が変わるのか』『何が不動なのか』きっと変わる部分がMr.Childrenが僕らに見せたい、見せつけたい新しい姿。 そして不動の部分が【本当に伝えたいこと】。
そんな点に注目して会場に向かった。
Kアリーナ。着席後ステージセットを確認。
輝く金管楽器のエリアが新設されていて、
心が躍ったのは自分だけでは無いはず。
Bridge Over Troubled Water(Simon & Garfunkel) →Hallelujah(Leonard Cohen :covered by Silvia Perez Cruz)で暗転。開演へ。
01.叫び祈り
本公演で一番衝撃を受けた曲。
楽器隊のJAMを密かに待ち望んでいた自分に
とって、意味は違えど待望の瞬間だった。
それだけではない。
山本拓夫の音が入り、原曲とは違った怪物に進化していた。ホール公演の最終曲(祈り)と呼応し、ホールとアリーナを繋げる布石となる重要な曲。
02.I MISS YOU ホールで披露が無かったmiss you表題曲。
牢獄の如し演出と、静かな怒りのような熱を
帯びた桜井和寿の歌声がたまらない。
♪I miss you, I miss you, I miss you
繰り返したフレーズ 庇って叱って
『祈って』歯向かって
檻が開く演出を経てギターソロの裏で桜井和寿が小さく叫び声を上げる。『静』をモチーフにした
ホールとは違う、『動』への号砲が聴こえた。
♪それが僕らしくて『殺したいくらい嫌いです』
03.REM 印象的なイントロが鳴り響く。
突然のフルスロットルに頭がついてこない。
これはmiss youツアーなのか?と疑問符が
付くが、歌詞にメッセージ性がある。
♪こんな『自由を奪う』ような
夢のない夢なら見たくはない
檻から出た先の世界の渾沌にもがき苦しむ様な、全力の『叫び』が演奏に集約されていた。
♪こんな理想と違うような
『愛のない世界なら
居たくもない 要らない要らない』
04.アンダーシャツ (半音下げ)
興奮醒めやらぬまま特徴的イントロが続く。
あぁ、それね、2回目っす…と余裕を醸そうと
試みたが、冒頭でSAXが暴れ出し無事思考停止。
回顧すれば『宗教』も今公演のキーワード。
そして歌詞変更。【戦争の無い国→お花畑の国】荒れ狂う心情と諦観を表す構成が印象的だった。
『殺したいくらい嫌いです』後の心情変化を
示す歌詞としてはこれが最適解か?天才か?
♪『いつかは誰もがやがては誰もが
死にゆく自分を愛せるだろう』
♪泣いて笑って『叫んで』 きりがないエゴ
05.Everything (It's you)
♪心ある人の支えの中で
『何とか生きてる現在の僕で』
ここで内向的な流れから明るい展開へ。
ムードチェンジャーとして優秀な人気曲。
歌唱難易度高くとも桜井さんは好調で、
田原さんと交互に弾くギターソロも美しい。
最後『して〜』の部分だけ歌を振られても
バッチリついていく辺り皆スゴイ。
♪愛すべき人よ『君に会いたい』
例えばこれが恋とは違くても
06.靴ひも (半音下げ)
モニターの演出も素晴らしく、
好きな曲来た!とテンションが思わず上がった。
(靴好きは100%この曲が好きです:独自調べ)
『君の色』の他にも世界観に合った歌詞を
持っていたんだなぁと感心。。
♪『愛しくて苦しくてそして自分を見失って』
ウザッたくて終わらしてでももっと苦しくて
『あぁ一瞬でも早く君の待つ場所へ』
07.Fifty's map ~おとなの地図
今のMr.Children4人を象徴する新たな代表曲。
4人を画面全面に映し出す演出が印象的だった。
♪『自由』ってやつは
ティーンエイジャーにだけ
かかる魔法じゃないはずだろう?
♪似てる『仲間』がここにもいるよ
08.青いリンゴ
山本拓夫さん参加の真骨頂。
歌詞には50周年への想いが詰まっており、
前曲と連続することに大きな意味がある。
アルバム曲順に戻した事により見えてくる、
miss youに隠されたメッセージ。
♪『「生まれ変わったら見たい世界があるよ」と
仲間と笑って話した後
いやまだ間に合う気もすんだ』
♪『強い風が吹いて 今僕の背中を押した
背伸びをして応える また季節は巡る
そう何度でも 何度も季節は巡る』
09.つよがり
ホールで披露した各曲のような美しいバラード。
『六弦』『ポケット』『叫んで』などが登場。
今回のセットリストに入るべきして入った曲。
♪着かず離れずが恋の術でも 傍にいたいのよ
♪あせらなくていいさ一歩ずつ僕の傍においで
曲後に暗転。次の章へ移る。
10.Are you sleeping well without me?
sunnyさんの美しいピアノからイントロへ。
学が無いから確証が無いけど、これがショパン
のエチュード(練習曲)オマージュなのだろう。
ちなみにホール公演前に流れていたショパン
『別れの曲』もエチュードの仲間。
終始椅子に座して歌唱する桜井さん。
部屋の演出に欧州の雰囲気が感じ取れて、
これもキリスト教意識かと思うのは深読みか?
♪Ah 新しい日々も 君が恋しくて
11.LOST
余計な装飾を削ぎ落として、桜井和寿の歌唱力と演技力で勝負するミディアムロックバラード。
♪掴んだ光さえ 歪んで闇に消えてった
取り返せもしないで
「掴んだ光」というのは過去の栄光のことか。
この曲には過去と今を繋ぐ意図が有るだろうか。
事実アルバムでも今セトリでも中央に位置する。
最後『立ち尽くしている』で空に手を伸ばす。
その光(電球)には届いているのか、いないのか。
12.アート=神の見えざる手
Kアリーナ公演僕のNo.1。
ホール→アリーナを経て洗練された演奏と歌唱を山本拓夫の音と驚異の音響が加速させる。
バンドサウンドが途中で飛び込んでくる
構成は『静と動』を最も感じられ最高だった。
新しいものを作るためには、やはり創造的破壊
が必要なんだなと強く感じた芸術作品。
♪『倫理道徳に波風を立てて
普遍的なものを嘲笑って
僕のアートは完成に近付く』
(Rain)※只の雨音じゃなくAtomic Heartに収録曲
13.雨の日のパレード(1音下げ)
アートを浄化させる作用を持って起用される曲。
一貫して桜井さんは下のパートを歌っていた。
いつかmemories sessionの時みたいに上を歌うアレンジも聴いてみたい。
♪『不安ひとつない そんな人いない
どんな完全に思えても』
見上げれば Rainbow
♪素敵な笑い話 『僕らが一緒なら』
(Rain)※只の雨音じゃなくAtomic Heartに収録曲
14.血の管
イントロで耳を疑った。この曲が持つ底の深さ
と内向的な雰囲気こそmiss youの世界観に馴染む
要素だったのだ。短いながら実に美しい曲。
♪そっと目を閉じてみる あなたを感じる
♪あの夜を想いだす 独りを感じる
(Rain)※只の雨音じゃなくAtomic Heart収録曲。
15.Party is over
前曲と繋げて聴くと、この曲の持つ意味がより
加速する。2人で向かいあって弾くギターの
音色もどこか淋しく聴こえてくる。
♪『何もしたくなくて ただ目を瞑ってたって
眩しいくらいに君だけ映るの』
いつもの僕に帰ろう 気紛れを装って
♪過去に拘って 現在を怠って
死んでいくなんて愚か者の愚行
さぁ前を向いて歩こう
でも何処へ向かえばいい?
16.We have no time
早口詰込み系曲の緩急が大好物な自分にとって、
間の取り方が堪らない曲。
トランペット・山本拓夫の存在感が凄まじい。
♪また始めるには We have no time
焦る気持ちも 沸き起こっちゃう
だけどスキルは 尚も健在
まだまだいけんじゃない?
とか思っちゃう
『でも何処へ向かえばいい?』からの繋がりが
しっかりある。50周年に立ち向かう決意が
生まれ、ケモノミチへ飛び込むのだろう。
17.ケモノミチ
『叫ぶ』というキーワードが2度登場する曲。
曲冒頭でOP映像が流れ【あの時】を思い出す。
ノンタイアップのmiss youというアルバムで
僕らが最初に見た場面。結局ここに立ち返る。
♪君にLove Song を送ろう
月に爪弾いた孤独のメロディ
その耳にだけ残るように 声もなく歌う
賛否両論だったけど、僕らはずっと聴き続ける。
そんな僕らの耳にだけ残るLove Song。
もう最上級ではないか。そして次の曲に繋がる。
18.365日 半音下げ
この流れを数多どのLove Songに繋げるのか?
♪聞こえてくる流れてくる
君を巡る抑えようのない 想いがここにあんだ
耳を塞いでも鳴り響いてる
『その耳にだけ残るように声もなく歌う』の後に
『耳を塞いでも鳴り響いてる』のだから完璧。
そして、この歌詞を桜井和寿が独唱した後に、
大画面に『miss you』の文字が現れるのである。
miss youを総括する為にこの曲があったのか?
事実、これ以降アルバム曲は演奏されない。
『自由』『夢』『キャンドルに明かりを灯す』
もう後の曲のテーマや演出と繋がってきた。
(なお、場面が重要過ぎたのか、
残念ながら桜井和寿の新技再披露は無かった)
19.記憶の旅人
映画の話に触れ、美しいピアノイントロへ。
『僕はここにいるよ』静かに歌い出す。
miss you→and you?への回答に聴こえてくる。
映画の情景と画面に投影される無数のランタン
が重なり、感動が押し寄せる。
世界最高のVocalist桜井和寿がここにいた。
♪その景色の中に見つけたんだ
君が僕に残した希望のサイン
♪『暗闇に浮かぶ光』のような想いを追って
MCが入り雰囲気が変わる。物語は最終章へ。
20.The song of praise
アルバム外でホールに続きセトリ入りした曲
は2曲。そして皆ずっとやりたかった声出し曲。
サントラツアーがあったらどんな構成になった
のだろう。モニターに映し出された4人の楽しげな映像はその頃に作ったのかな?
そんな事を想いながら全力で声を送った。
♪『僕に残されている
未来の可能性や時間があっても』
♪『積み上げて また叩き壊して』
今僕が立ってる居場所を
『嫌いながら 愛していく』
21.End of the day
桜井さんが最近良さを再確認したという曲。
僕の中では生で聴きたい曲上位ランカーだった
からイントロが鳴った瞬間嬉しかった。
End of the day 〜とOh No! Oh Yes!を桜井さんが
振ってくれる。ここも皆バッチリ。
♪『本当はもう掴んでて届いてて』
気付いてないだけ
♪もっともっと 『羽ばたける日は来る
きっと来る』
とりあえずそう信じて あと少しそう信じて
ここからの3曲の繋ぎは過去最強じゃないか?
夢のような時間が続く。
22.未完
鳥肌が立った。ずっと聴きたかったイントロ。
ジェットコースターのようなセトリを桜井和寿が遂行していく。捻じ伏せるような歌唱力。
すでに常識という壁は越えている。
♪自分が誰より ちゃんと分かってる
『胸の中の約束の場所を』
MC突入。『約束の場所』50周年のことだよね。
僕も確かに翼を貰いました。大きくて強いやつ。
いつかまたMr.Childrenに会いたいなぁ。
静かにギター1本で歌い出す。
♪「いっそ飛べない鳥の羽なんか
もがれちまえばいい」
そうほざいてみたって
試練は手を緩めちゃくれない
そして叫ぶ。
♪だからもうユニフォームを 脱いで脱いで
自由自由自由!!自由自由自由!!
自由自由自由!!自由自由自由!!
思えば檻の中から始まり、夢や愛のない世界に絶望した冒頭。完璧な構成の本編をありがとう。
こうして最高の音楽劇が幕を閉じ…ない。驚愕。
23.終わりなき旅
もはや説明不要。畳み掛けるように例の青い花が究極のイントロを掻き鳴らす。
♪息を切らしてさ駆け抜けた道を
振り返りはしないのさ
♪ただ未来だけを見据えながら放つ願い
『未完』までなら潔いが只の謙遜。
『終わりなき旅』を重ねる事で自己研鑽を最後まで追求し続ける、怖いくらいの信念が伝わる。
【果たして、50周年が終わったらどうなる…】
そこを考え出したら眠れなくなったし、
この文言を頭から削除しようか随分悩んだ。
♪まだ限界だなんて認めちゃいないさ
♪生きる為のレシピなんてないないさ
♪もっと大きなはずの自分を探す終わりなき旅
終わりなき旅 終わりなき旅
桜井和寿は、Mr.Childrenは、重要な最後の1回を僕らに歌わせた。1回目は「それで良いのか?」
と感じたが、今日は『そういう事だよね』
と全てを理解出来た。僕らもずっと共に。
埼玉公演のときは充実感で満たされていたけど、
今回は気付いたら泣いていた。
en1.Hallelujah
究極のLove Song。そして究極の讃美歌。
『讃える』これは近年のMr.Childrenにとって
頻出単語。新たなテーマなのかも知れない。
『宗教』というストーリー性にもピッタリだ。
♪マイナスからプラスへ座標軸を渡って
無限の希望を 愛を夢を奪いに行こう
捕らえに行こう
そしてコーラス。
コーラス単体の時もあれば桜井さんが裏で
歌ってくれるパターンもある。
これをコーラスしてみたかったファンは
沢山居るだろう。僕もその1人。
en2.優しい歌
♪誰かが救いの手を 君に差し出している
だけど今はそれに気付けずにいるんだろう
これも不思議と宗教的な趣きを感じる曲であり、
ホール・アリーナ共にセトリ入りした人気曲。
『思わず叫ぶ』『出口の無い自問自答』
『スニーカーのヒモ』 今日の経過を振返る様で
この位置に入るに最適である。
♪群衆の中に立って『空を見れば
大切な物に気付いて』 狂おしくなる
大切な物には気付いているのか、居ないのか。
en3. Sign
優しい歌→Signの流れはズルい。
『大切』この2曲に共通するキーワード。
ストレートな響きが心に明かりを灯す。
僕らファンの反応や振舞いを見逃したくない
と言ってくれた。こちらとしても同じ想い。
♪『時間の美しさと残酷さを知る
残された時間が僕らにはあるから』
大切にしなきゃと小さく笑った
この歌詞のときに桜井さんが後ろを振り返り
小さく笑い、メンバーに手を伸ばした気がした。
残された時間を皆で大切にしなきゃなぁ。
en4.in the pocket
『最後に僕らの最新の曲をやりたいと思います』
あの鐘の音が鳴る。
冒頭から優しい歌の歌詞に共鳴する気がする。
♪見上げれば頭上に 雲が流れる
♪思ってた以上に 自分探しに戸惑って患って
足元ばっか見てた
もう上を見られる。大切な物にもう気付いてる。
そして、その大切な物こそ、
『ただ今を楽しむこと』なのかなと腑に落ちた。
こうやって楽しく季節が巡っていけばいいなぁ。
自由を得て翼も授かった。後は、各々得た
『新しい私』が永く続いていく事を祈りたい。
【終章】
Mr.Childrenが僕らに本当に伝えたかったこと。それは『このアリーナ公演の総て』。
そして50周年に立ち向かっていく強烈な決意。
新しく見せたかった姿は、山本拓夫さんを加え、ホールとの融合を果たした『完全版miss you』。
また、持論で恐縮だが、大阪城ホールを収録会場に選んだ理由は、完全版を後世に残したい+一度同ツアーで使用した感覚が残る会場で究極を追い求めた ところにあると感じる。
これがモンスターバンドと評される彼らの、 50周年に向けて走り出した彼らの『本気』。
まだまだ究極を追い求め、『未完』であり『夢の中の約束の場所』に向けた『終わりなき旅』へ『靴ひもも結ばずに駆け足で飛び出した』姿。
他のバンドに、自分らを見て音楽を止めたいと思わせるような姿を目指すと過去に語った男たち。
今回、彼らに僕らの愛は届いただろうか?
愛情ってゆう形のないもの
伝えるのはいつも困難だね
皆でずっと応援し続けることで、親愛なる
Mr.Childrenへ想いを伝え続けたいと心に誓った
〜完〜