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日本の手仕事から生まれる絨毯、「山形緞通」の上質。

鼎談

山形緞通 渡邊尚志 × LAPIN ART 坂本大/関電不動産開発 中平英莉

阿佐ヶ谷ハウス「わたしの部屋」では、カーペットを採用することで、ものの輪郭を引き立てる「どこまでも眺めのいい部屋」を実現しました。素足に直接触れる絨毯こそ、ちょっと背伸びをしても本当にいいものを選びたい。そんな想いから今回私たちは、スムースな手触りと上品な発色に定評のある絨毯ブランド「山形緞通」を手がけるオリエンタルカーペット株式会社を訪ねました。
 
1935年の創業以来、日本の生活様式や風土に根ざした絨毯を職人の感性で作り上げることにこだわり、唯一無二の心地よさを提供してきた会社のヘリテージをたどる旅。前編は、山形県東村山郡山辺町にある工房でのものづくりを、東京支店勤務の渡邊尚志さんに案内していただきました。

やわらかすぎず、適度な弾力のある心地よさ

坂本:山形緞通の絨毯の手触りに憧れて、今日は山形までうかがいました。
 
渡邊:ありがとうございます。こちらは、今年改装したばかりの工房の休憩室です。ソファの背もたれにまでウールの絨毯を敷きこんでいますので、まずは、くつろいでみてください。
 
坂本:わあ、気持ちいいですね。なんといったらいいか、立った時に足の裏に感じる感触が、柔らかさだけではない。適度な弾力といったらいいでしょうか。沈み込みすぎないこの感覚がホテルのラウンジのようで、高級感を感じます。
 
中平:絨毯を使ったソファなんて! 頭を委ねると、まるで床に寝転がっているような感覚ですね。いいなあ。
 
渡邊:この空間を設計、監修していただいた建築家の中村好文さんのディレクションで、室内の雰囲気に調和する質感の無地オリジナル色の絨毯を使用しています。毛足は12ミリ、下地を合わせても16ミリとマンションや戸建ての住宅建築にもちょうどいい絨毯です。


ウール糸の一本一本まで感じられるものづくり

坂本:16ミリという厚さが、山形緞通さんがたどり着いた最適解なんですね。
 
渡邊:スムースな手触り、足触りの良さを感じることのできる厚みにはこだわっています。立っても座っても、気持ちのいい感触を味わっていただけると思います。
 
坂本:よく見るとウール糸の密度がものすごく高いことがよくわかります。しっかりとしていながら柔らかい。この触り心地がたまらないですね。
 
渡邊:弊社では、手作業で絨毯を織り上げますが、商品のシリーズごとに異なる加工を施すことで、用途に合わせた触り心地を生み出しています。無地製品の中でも特に「MANYO」シリーズは、糸そのものにマーセライズ加工(シルケット加工)を施すことで、上品な艶と落ち着いた色合い、しなやかな織りと滑らかな肌触りを実現し全12色を展開しています。
 
坂本:グレーなどの落ち着いた色もニュアンスがあって素敵ですね。染色の技術の高さを感じます。
 
渡邊:色のお話が出たところで、次は、染色の部屋をご案内しますね。


出せない色はないほどの、染色へのこだわり

渡邊:弊社ではお客様のさまざまなご要望に合わせ、カラーやデザインのオーダーも承っています。お客様の持つ色のイメージをヒアリングし、染色工房にあるこの小さな部屋で、専任の職人が色を調合してテストピースを作っています。
 
坂本:この引き出しはまさに宝の山ですね。
 
渡邊:引き出しの中にあるのは、これまでに採用された色のテストピースです。色が決定したら本番用の羊毛を染めていきます。
 
坂本:赤や青といった鮮やかな色から、グレーやベージュという繊細な色まで幅広い。淡い色味は、ニュアンスを出すのが難しいのではないですか?
 
渡邊:そういう時は何度でも調整を重ねます。出せない色はないといえるくらい、お客様のご要望にお答えすることが私たちの本分ですから。住宅での使用では、昨今、グレーやベージュ、アイボリーの微細なニュアンスにこだわりを持つお客様が多いと感じています。その分、作りがいがあります。


伝統技術を応用し、住宅向けの上質な絨毯を開発

渡邊:染め上げた糸を使って、絨毯を織り上げる工程です。私共の原点は、職人が織架で一結び一結び織り上げる「手織」の絨毯ですが、それを応用した「手刺(てざし)」の技術を開発することで、お求めやすい価格でクオリティの高い絨毯をご提供することができるようになりました。
 
中平:「手刺」とはどういった技術ですか?
 
渡邊:染色した糸をセットしたフックガンという専用の工具を図面に合わせて動かしながら、下地にウール糸を刺していく技術です。一見、簡単そうな作業ですが、打ち込む力やバランスを常に均一に保つ高い技術と経験が必要で習得に一定の期間を要します。
 
中平:奥の部屋では、出来上がった絨毯の糸を丁寧にカットして表面を整えている職人さんがいますね。
 
渡邊:あの作業だけをする職人ではないんですよ。一人の職人がゼロから一枚の絨毯を織り上げ、表面や端をカットして整える仕上げの段階まで一貫して行います。
 
中平:なるほど。ゼロから一人で作り上げてお客様に届けるというと、仕事のモチベーションも上がりますね。


女性の職人が専業するクリーンな仕事場

坂本:工場もそうですが、お庭や休憩室も綺麗で清潔感にあふれているところに御社のものづくりの美学を感じました。
 
中平:職人の皆さんが、すべて女性というのも驚きました。仕上げの作業まで本当に丁寧で。お一人お一人が、作家のように見えたほどです。だからこそ、これほど上品な絨毯が生まれるのですね。
 
渡邊:創業者は私の曾祖父にあたるのですが、社屋も女性が働きやすい建物を意識して独学で設計し、建築したと聞いています。それを創業当時のまま大切に使い継いでいます。
 
中平:学校のようなリラックスした外観ですし、窓も多く気持ちがいい。ピンクの色彩も、風通しのいい建物も、女性にとって嬉しい空間なのではないかと思います。1930年代という時代に女性の従業員を大切にしていたというところにも、御社の先進性を感じました。 

後編

 構成・文 衣奈彩子
写真 米谷享

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