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暮らしレシピ #19 暮らしの中の照明


以前、暮らしレシピ#3 にて、ラパンアートの事務所内を撮影し照明の記事を書きました。

今回は阿佐ヶ谷ハウス 「わたしの部屋」が完成したのでそこでの照明の機能と効果をご紹介できればと思います。

照明を考える意味

暮らしの中で照明の意味、とはまず第一に夜照明を点ける事を考えますね。

当然ながら、暗くなった空間の中を明るく見えづらいものを見やすくする為の明かりです。

もちろん天井に丸いシーリングライトが一つあれば、部屋中の光の死角は無くなり明るさを取る事ができます。

ただ、機能の効率化と使いやすさを重視したシーリングライトは光の印影と奥行きを無くし、ただ明るければ事足りるというあまりにも味気ないものの様に思えます。

阿佐ヶ谷ハウス わたしの部屋では、これからの暮らしで欠かせない、部屋の中での自己実現や、リモートワーク趣味の充実化を図るという点で照明計画は大事な要素でした。

“ただ明るくなればいい”、から脱してからの照明へのアプローチはその人その人のスタイルに順ずると言えるでしょう

照明はどのようなやり方がクラシックでどれがモダンかが曖昧なジャンルなのかも知れません。

今日ご紹介していくわたしの部屋の照明スタイルも一つのサンプルとしてお読み頂ければと思います。

自然光

まずは何も照明を点けない状態。

季節によりますが、わたしの部屋では午前中から15:00ぐらいまでが自然光を楽しめます。

極力艶感を抑えたマットな質感の壁ウールのカーペット光の反射を防いでいます

令和も4年になり、SNSの広がりから部屋の中で撮影をする方も増えています。

またお仕事で部屋の中で撮影する方も多い事でしょう。

撮影する事を前提に背景、いってみればスタジオの様な部屋に仕上げる事が当初の目的であったため、光の入り方から目に入りがちなコンセントの位置壁の巾木まで気を配り、結果目へのストレスをなるべく軽減した、まさに背景と呼べるような部屋に仕上がっているのかなと思います。

昼と夜の光の対比

昼と夜、暗さを明るくするという単純な行為以上に光による贅沢な変化を楽しみたいと企画段階から思っていました。

キッチンにストンと落ちるダウンライト。

絵画へあたる絞った光。

ニッチ部分の照明。

それらの光は、照らす対象物自身を間接照明の光源へと変えて部屋全体を優しく包み込んでくれます。

夕方の照明

照明というと、夜のイメージがありますが、個人的には夕方の、少し暗くなりかけている時に照明を付ける時間帯贅沢だと考えています。

自然光と照明どちらも楽しむ事が出来る時間です。

しかしこの自然光を入れながら照明を付けるという事は調光出来ないと可能ではありません

1時間ごとに外の明るさが変わる為、自分の好きな部屋の状態に調整していく必要があります。

調光とセパレート

わたしの部屋では、壁を照らすスポット、食器棚から直線的に配置したダウンライト、展示台を照らすダウンライト、反対の壁を照らすスポット、と複数箇所の照明をスイッチでセパレートしており、また全てを調光可能にしています。

リビングには合計6個の照明スイッチがあり、住宅では珍しいタイプではないかと思います。


これは僕自身が絵画のギャラリーで働いていた経験から、展示内容に合わせライティングを細かく調整していく、という経験に基づいたものです。

椅子に座った時に眺める部屋の景色はやはりいいものでありたいと常々思っています。

そこで何かを飾ったり、食事を楽しんだり。

ドラマティックに照らされた部屋で過ごす時間は、一灯の明るいだけの照明とは全く異なり、格別なものです。

照らされたお気に入りの物たち

照明が点いて、自分のお気に入りのライティングを決めた時、部屋にある家具や絵画、気に入って収集しているものが自然光とはまた別の魅力を持って自分の眼に入ってきます。

陰影がもたらす質感のコントラストであったり、床に映る影であったり。

細かな部分まで含めて一つの空間を作る事ができます。

そこでゆったりとした時間の中で音楽を流し、お気に入りの本を読む、というのはあくまで僕の好きな過ごし方ですが、とても心の満たされるものだと思います。

わたしの部屋では照明は天井に関して内蔵型が多いため見た目もすっきりとしています。

例えばこの部屋の中にスタンドライトを配置しても素敵に映えると思います。

他の照明器具を部屋の中にプラスしていってもバランスが崩れない様、引きのデザインをベースに設計されているのがわたしの部屋の特色です。

照明も部屋の一部


照明の力が十分に発揮されるには、やはり空間を作る際いろいろな箇所を俯瞰的な目で、同時に考え設計していくことが重要です。

格好の良い照明計画が出来たとしても、鏡面や大理石の床などにしてしまうと変な反射が起き、またコンセントの位置や巾木、床材など考慮に入れないと空間が台無しになってしまいます。

逆にある程度統一感が出た空間の中にいると、この食器はこの空間に合うかな、とか、自分が着ているはこれでいいのかな、などより細かな事を考える様になります。

気付けば暮らし全体の事を意識する様になっていきます。

そこまで気が張れない、と思われる方は、上の階のベッドルームで存分にリラックスすればいいのです。

このように家の中でメリハリのある空間ができると逆に心地がよくなります。


今回はわたしの部屋内部の照明をご紹介しました。

照明の事だけを考えていると、このような照明計画にはならなかったと思います。

やはり全体を見渡しながら、大きなところから小さなところまで考慮に入れて考えていくものだなと改めて実感しました。

まだまだ奥が深い照明の世界ですが、自分のスタイルにあった照明スタイルを研究していけば、暮らしはより充実したものになっていくと思います。

おわり

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LAPIN ART 坂本 大
現代のうつわと古美術骨董を取り扱うLAPIN ART OFFICE ディレクター。本プロジェクトを通して、自分の大切な物との向き合い方を、自らが描く理想の暮らし方とギャラリストとしての知見を掛け合わせながら提案する。
⬛︎ LAPIN ART ウェブサイト

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