暮らしレシピ #18 お抹茶でもてなす
阿佐ヶ谷ハウス「わたしの部屋」が完成し今回はお客様を招いて、実際にキッチンを使いお抹茶を点ててみました。
この部屋には2つのキッチンがあり、お抹茶を点てるのはジーマティックさんに作って頂いたオーダーキッチンです。
お菓子を出してお抹茶を差し上げる、と単純な事なのですが、細やかなデティールに拘ったこの部屋ならではの空気に仕上がっていたのかなと思います。
キッチンの背面にある食器棚の使い易さ
ミニキッチンの後ろには、前回の投稿でご紹介した食器棚があります。
かなりの収納力なのですが、その中のひと区画をお茶やコーヒー、ちょっとした軽い食事の時に使うプレートなどを収納するスペース、と決めておくと使い勝手がいいですね。
写真では左にお抹茶用、右に煎茶用の道具を仕舞っています。
特にお茶碗が積み重ならず、横並びに並んでいるとお店の様な雰囲気が出て見た目も綺麗です。
大容量だからこそ、無理に詰め込まずゆったりと収納すればうつわを割る危険度も低くなり、取り出し易くなります。
ミニキッチンでお茶を点ててみる
ミニキッチンの天板の上に、盆と茶碗、茶筅、棗、茶杓。
夜になると真上からのピンライトが道具達を照らしてくれます。
お湯はポットで沸かします。
コーヒーを淹れる時も同じものを使います。
これも、コンセントはキッチン内蔵型であり、配線などはほとんど見えません。
部屋全体に言えることですが、電源コードが見えることにストレスに感じている方も多いのではないでしょうか。
そのためには部屋の設計の段階からコンセントの配置を入念に検討する必要があります。
こういう小さな細かい事の積み重ねが、部屋の心地よさに繋がるのだなと、完成して改めて気付かされました。
部屋でお茶を振る舞う
僕自身お茶は勉強中ですが、畳の茶室ではなく、今のマンションの部屋でどの様にお出しすれば良いかを考えました。
この「わたしの部屋」では玄関を入ってすぐに目に入るニッチ部分が床の役割をしているので、実はほのかに茶室の匂いを感じて頂ける部屋になっています。
どこかに日本人らしさ、を感じて頂けるようにお茶の時間と部屋の中のその景色は拘ったものにしたかったのです。
この時の主菓子は和菓子LABOさんに、この「わたしの部屋」のイメージに合わせて作って頂いたスペシャルです。
載せているお皿はフランスの18世紀に作られたピューター(錫と鉛の合金で銀の代用として作られたもの)。
銀の磨き上げたプレートよりも、この使い込まれた鈍い色味の方が日本の侘び寂びにマッチするのではないかと今回使ってみました。
インドで50年代に作られたピエール・ジャンヌレのテーブルに対馬で作陶されている武末日臣さんの井戸茶碗でお出ししました。
良い家具というものはそれ自体の魅力もさることながら、他の道具を合わせても綺麗なものです。
お抹茶と聞くとまずお茶碗を何にしようか、と考えがちなのですが、空間からライティング、家具、お盆、最後にお茶碗、という順に考えていくと最終的にまとまるような気がします。
お互いが引き立て合い、空間全体で楽しめるペアリングにしていきたいですね。
お抹茶を楽しむ
基本的にお抹茶を出された場合、お菓子を先に食べてお抹茶を頂きます。
お茶碗は高い位置で持たず、低い位置で両手で扱います。
指輪は外します。
これだけ知っていれば大体のシーンで大丈夫ではないでしょうか。
お抹茶をお出しすると、「お作法を知らないので、すみません」と言われる事がよくあります。
作法自体はどれだけ勉強してもなかなか身につくものではないかも知れません。
習っている人たちでも作法を完璧に覚える事は難しいので、恥ずかしがらず、また同時に最低限のお茶碗の扱い、”お菓子を先にたべる””お茶碗は両手で、低い位置で””指輪は外す”さえ知っていればぐっとお抹茶が身近なものになるかと思います。
おわりに
今回は「わたしの部屋」で実際にお茶を点ててみたのですが、元々のスタジオのような部屋、というコンセプトの要素が生かされた景色が実現できたと思います。
部屋に合わせて、家具に合わせて道具を揃えていく感覚もより深くなりました。
部屋にあるもののペアリングも一緒に、お客さんに楽しんでもらう。
本来、畳のお茶室にお客様を招くという日本の伝統的な空間芸術が自然と今のマンションの生活でも生かせれるのだなと。
それはやはり日本人ならではの事で他の国にはない希少なことだと感じました。
一見難しそうに見えるお茶の世界も、まず最初は気軽にやってみるとそれから楽しさが見つかっていきます。
おうち時間も増えて、自宅で、職場でお抹茶を飲む事が増えました。
まだ知らない世界が広がっていて、今自分にとっては特別な変え難い時間になっています。
是非皆さまも特別なお抹茶の時間を楽しんでみて下さい。
(おわり)
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LAPIN ART 坂本 大
現代のうつわと古美術骨董を取り扱うLAPIN ART OFFICE ディレクター。本プロジェクトを通して、自分の大切な物との向き合い方を、自らが描く理想の暮らし方とギャラリストとしての知見を掛け合わせながら提案する。
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