わたしの部屋ができるまで #3 夜の光
調度品を美しく見せる光。目の前にあるお気に入りのもの、それを自分自身が見て感じ、また仲間と共に見て弾む会話。写真に撮りSNSにアップ。そこから広がるコミュニケーション。ものをどのように見て、どのように表現するか。それらを媒介として得られる様々な楽しみは広い。よってものの見え方について慎重に検証したい。光の取り入れ方については大きくふたつ。日中の自然の光と夜のライティング。「わたしの部屋」ではその両方を大切にしたいと考えます。まずは夜のライティングについて検証しました。
美術館に学ぶ
ものを最も美しく見せる。プロフェッショナルは美術館ですよね。美術館へ出かけいつもとはちょっと違う角度、ライティングとものとの関係に焦点をあて見学してみました。幸い東京都写真美術館については写真撮影が許可されていましたので皆さまと撮った写真を元に気づきを共有したいと思います。
実は大切にしたいベースの照明
ものを美しく見せる、その前に、どのようなムードをつくるか。見せたいもの、好きなものによって変わってくるようです。下の写真右側は展示された写真がカラフルで元気な印象の展示。左側はシックな印象の展示。部屋全体の明るさも違います。右側の展示は天井のスポットライトから床や壁面を照らし部屋全体を明るくしています。左側の展示は床を照らさずにものをフォーカスして照らすことでシックなムードになります。「わたしの部屋」が目指すのはシックなムードです。ものを照らす照明の前に大切なベースの照明について方向性を確認することができました。
また、撮影は叶わなかったのですが、新国立美術館へも行きました。ベースの照明については間接照明が仕込まれてあります。コーブ照明と言われる天井面に光をあてて、その反射光で空間を間接的に照明するタイプです。光の広がりが柔らかく、展示物を照らすスポットライトとの対比で相性がいいように感じました。
ものを照らす光。その、光の「色」と「広がり」の組み合わせ
次にものを照らすのに最適な電球は何か、パナソニック株式会社様ご協力のもと、ショールームをお借りし実験させて頂きました。確かめたのは光の「色」と「広がり」の組み合わせです。目指すのは実際に目で見てものが美しく見え、インスタ映えする写真を撮ることができるあかりです。
■光の色
電球色:電球に似た暖かみのある光色 (色温度2700K)
温白色:落ち着いたあかるい光色 (色温度3500K)
昼白色:いきいきとした自然な光色 (色温度5000K)
■光の広がり
拡散:光を広く部屋全体にいきわたらせる(約100度の角度)
集光:光をピンポイントに集めて当てる(約24度の角度)
組み合わせの中で対比にある「昼白色×拡散」と「電球色×集光」の写真を以下の通り掲載しますので見比べてみて下さい。
▼昼白色×拡散
▼電球色×集光
比較すると電球の違いによってこんなにも見え方に違いがあるのですね!どうでしょうか?明らかに電球色で撮影したものは美しく、食事は美味しそうに見えますよね。また、拡散よりも集光の方が陰翳が出て良いようです。
「わたしの部屋」ではものを照らすあかりについては「電球色×集光」の電球が最適であると結論付けました。
間接照明+電球色×集光の光でメリハリのあるライティング
「わたしの部屋」の夜の光、ベースの照明は間接照明で柔らかく包み込みながら、「電球色×集光」の電球で調度品を際立たせるメリハリのある照明計画とし、空間全体のムードをつくりながら集光の絞られた光でものを照らしコントラストを際立たせていきたいと思います。
器具についてはスポットライトなのか光の角度を変えることができるダウンライトなのかもう少し検討して行きますので完成を楽しみにしていて下さい。
次回は、日中の自然の光とものの見え方の関係についてのレポートです。
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