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米津玄師 2019 TOUR 「脊椎がオパールになる頃」

米津玄師 2019 TOUR 「脊椎がオパールになる頃」

@北海きたえーる
2019.02.16

自分の気持ちの整理のための感想文です。米津さんに好意的な気持ちしかない方が読んだら、不快にしてしまうかもしれません。もし読む人がいるなら自己責任で読んでください。

私は『サンタマリア』が出た頃に米津さんを知って、そこから今までずっと追いかけている。CDは必ず買うし、彼がライブ活動を始めてからも、チケットが取れなかった「帰りの会」とその続編、受験で諦めた「はうる」以外のツアータイトルは全て行った。いつも美しい空間をくれて、彼のライブが大好きだった。もっとたくさんの人に見てもらいたいと思っていた。

でも昨日のライブが終わったあと、自分の胸の中には感動や歓喜ではなく、モヤモヤとわだかまった暗い気持ちが残った。大好きな米津さんのライブを見た後なのになんでこんな気持ちになっているんだろうと混乱した。

たぶん、自分が米津さんに求めているものと米津さんがライブで示してくれたものが食い違って見えてしまったことが要因だったのだと思う。

私は、米津さんの“変わり続ける姿勢”をものすごくリスペクトしている。

米津さんの音楽は、初期から比べるととてつもなく変わった。
彼は、『diorama』まではとても個人的で内向的な音楽を作っていたと思う。脳内の住人たちの物語を音楽にしたのが『diorama』というアルバムだ、ということを米津さんも語っているし、そもそもたった1人でボーカロイド曲をアップロードしヒットを飛ばしてたような人だし。それが、『YANKEE』、『Bremen』とアルバムを重ねていくたびに“あなた”のための音楽を作るようになっていき、『BOOTLEG』の頃になると他アーティストとのコラボレーションが軸となり、自分以外の誰かとのつながりの中で音楽を作るようになった。ものすごい変化。アルバムごとに違うのは精神的な面だけじゃない、音作りだって違う。これに関しては曲を聞けばわかると思うし、語れるほど詳しいわけでもないので割愛。彼の音楽を聴いてくれ。

変わり続けるというのは勇気のいる行為だと思う。停滞し続ける方が楽だ。それでも、変わる意志を音楽で示してくれる米津さんが大好きで心からリスペクトしている。彼が生み出す音楽にワクワクしてきた。次は何を聞かせてくれるんだろう。そういう気持ちが、私の彼を追いかけるモチベーションを作っているのだと思う。

ただ、音楽が変わり続けている反面、ライブのやり方は変わっていないように感じた。今回のライブでがっかりしてしまった要因はここにある。

まず気になるのは、初めてのライブから今までずっと、バンド形式でライブを行なっていること。毎回同じサポートメンバーで、彼らと肩を並べるようなポジションに立って、時に煽り合いながらまるで、4人編成のバンドのようなライブをする。なぜ?『YANKEE』の頃の楽曲ならバンドでやっていても違和感がなかった。でも、今の楽曲を4人編成でやる意味とは?打ち込み音が多すぎて4人編成で演奏する旨味なくないか?音楽ジャンルも多様すぎて4人編成でやるには無理がないか?疑問符が止まらない。
ギターの中ちゃんもベースのすってぃーさんも、ドラムの堀さんも、私は大好き。思い入れもある。でも、あくまで見たいのは米津玄師というソロアーティストのライブであって4人編成のバンドのライブじゃない。
客席も舞台も広くなった今、バンド形式でやり続けて、米津さんが場所に固定され続けることに意味はあるのだろうか。そこにこだわらなくてもいいのにと思う。

照明や映像の演出面も変わらない。曲がセットリストのどこに来ようと同じような演出がされる。春雷のバックのペイント映像も、アイネクライネのサビ前の音に合わせて切り変わる照明も、ピースサインで銀テが放たれるのも変わらない。ダンサーさんとドラム隊の皆さんが出てくる曲も変わらないしパフォーマンスも変わらない。予定調和。何回かライブ見たことあるから予想がつく。

セットリストも単調。ライブによって曲の順番は変わってるかもしれないけど、曲間のつなぎがなく曲と曲の間は空白になっているから、一つ一つの曲が“個”にしか聞こえない。ライブという単一の時間の流れの上にある割りにはカタルシスがない。一曲一曲の個性が強いだけにそれが目立つ。

また、ライブが変わらないことによって別の弊害、客のコントロールができなくなったという問題が出てきているように思う。
『lemon』以前はある程度限られたコミュニティ、アニメから知った人やニコ動から知った人や音楽ファンの人々が主な客層だった。みんなライブの楽しみ方をそれぞれに知っていたし、濃く深く彼の音楽を愛している人が多かったからフロアの空気も熱かった。
でも、爆発的に広まる楽曲が出たことによってとんでもなく客層が広くなった。それと同時にライブ会場の一体感が消えた。ライトな層もたくさんくるようになったからか、お客さんが持っている音楽の文脈がそれぞれに違うからか、ライブの楽しみ方を知らないからか、みんな恥ずかしがって遠慮して手を上げようとしないし、ひたすら手を叩く人が増えた。いつ何時も手拍子が聞こえる。正直うるさい。とても居心地が悪い。
きつい言い方をしてしまったけど、私がこの現状を見て批判したいのは、米津さんのライブに最近来るようになった層ではなく、米津さんサイドの方。
一体感がなくなってしまったのはある意味、仕方がないことだと思う。だって、客層が変わったのに米津さんサイドの対応と演出とパフォーマンスは変わらないのだから、そりゃあ客も戸惑って当然。
それにこの感じ、前回の幕張ライブでも感じたんだよね。全然変わってないじゃん。

米津さんが世に発表するものは全て進化し続けていてほしい。ライブも進化するものであってほしい。

ただひたすら悲しい。がっかりなんてしたくなかった。せっかく、自分の誕生日に、アリーナのセンターブロックの柵から4列目とかいう史上最もいい席もらっといて、これだったら映像を家で見てたほうが幸せかもとか思いたくなかった。

これが今回のライブの感想の主だったところ。散々愚痴めいたこと言っておいてなんだけど、あくまでライブに対しての気持ちであって、彼の音楽自体を嫌いになったわけじゃないから米津さんを追っかけるのはやめないとおもう。

まだまだ米津さんはライブ経験が浅いから、これからどんどん進化してほしい。進化すると信じたい。進化してないと感じた時はまた考える。

【セットリスト】
1.Flamingo
2.LOSER
3.砂の惑星
4.飛燕
5.かいじゅうのマーチ
6.アイネクライネ
7.春雷
8.Moonlight
9.fogbound
10.amen
11.Paper Flower
12.Undercover
13.爱丽丝
14.ピースサイン
15.TEENAGE RIOT
16.Nighthawks
17.orion
18.Lemon
EN
19.ごめんね
20.クランベリーとパンケーキ
21.灰色と青

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