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ある人の自死から。②

人間のこと社会のこと、己れのことに希望を持てずに死んでいった人たちがいる。自殺する子供の増加とか、気にせず生きていけたら良いんだろうけどさ。「死にたい」の感情と出会わず、当たり前のように生きることができていたらよかった。自分の中にずっとずっと前からある、社会にたいする赦せない感情がこれを書かせている。

もちろん他者の希死念慮をすべて知って理解することはできないけれど、自ら死んでいった人たちの気持ちをいくらか「すくう」ことができるとしたら。

死んで土や大気や水に還り、自然に散っていく。死によって生が成り立つ循環のなか、自分も死んだら地球上に散らばって別の何かに成り変わる。かたちを変えて生まれ変わったときに、この世界が生きるに値するものと思えるようになっていたら、それはきっと自分自身をすくうことにもなる。だから、生きていて良かったと思えるように生きていたい。

もう他者の言うあれこれはみな、森で聞こえてくるさまざまな生き物の声と同じだと考えてみよう。「善く生きる」とか「人間を好きになる」とか、自分にはわからない。
水が流れたい方へ流れてどこまでも染み渡ろうとするように、自分もそう存在していたい。

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