京大リレー講義(4) 文化心理学「幸福観の文化差からの考察」内田由紀子先生
京都大学のオンライン公開講義
テーマは、ウィズコロナ時代に必要な「人文学」
8/23(日) 内田由紀子先生「わたしたちはパンデミックにどう向き合うのか?幸福観の文化差からの考察」#文化心理学
この公開講義の中で唯一の女性のプレゼン。柔らかな語り口で、東洋に暮らす私たちがこれからどう暮らしてくのが良いか、提案してくださいました。
北米的な「獲得的幸福観」と、日本的な「協調的幸福観」の違いがあること。それをうまくミックスして、協調的幸福観をベースに、獲得的幸福観を上にのせる二階建てがいい。
農耕民族はあまり移動しなかったけれど、これからは分散してフレキシブルに生きていくことになる。(これって、安宅さんが言っている「開疎化」だね。)だから、村の住民以外を見つけたら警戒するんじゃなくて、ビッグスマイルで「敵じゃないよ」と知らせるような北米的な文化をうまく取り入れていきましょ。
スーパーでレジ係の方に「Hi.」って話しかけて、ひとしきりおしゃべりするような余裕を持ちたいね。忙しくて時間がないって言わず、ゆったりとした時間の流れが持てるといいよね。
文化心理学的視点
様々な文化差
覚醒度の事例:日本人はお風呂で湯船につかって「ああ、極楽、極楽」と言うように、低い覚醒度で幸せを感じます。
幸せは、陰と陽、まわりまわってくる、という考え方なので、「あ、こんなところで運を使ってしまった…」って思ってしまう。
パンデミックへの反応
未来に向けてのレジリエンス
質問タイム
もし、サングラスで感染防御できるなら、日本人もサングラスするのかな?→対策の有無が他者からわかりやすいものなので、浸透するんじゃないかなと思います。
排他的な状況は自分もつらいので、透明性を求めるのだが、それが足りないので、具体的な対策として「検査をしたい」という発想になっているのだと思われる。
マイノリティと定義されるものにも文化差があって、文化心理学の研究対象です。
「つながり」のことを「ソーシャルキャピタル」と呼び、それは資産である。個人の保有物とするだけでなく、「場」のものとすることができる。
事例:ゲートボールに参加できない人がいても、その地域に活動があることで「地域全体の健康状態が良くなる」という現象がある。
ラディカルに幸福観を変えることもあり得る。固執せずに、柔軟に変えていく。いいとこどりしたってかまわない。その時には表面的にならないように考えなければならない。
事例:企業が成果主義を評価に取り入れたときに、社内の助け合いやチームとしての働き方を変えずに、評価だけを変えたらうまくいかなかった。
調査法について:心理学では「質問紙調査」を使ったアンケートをしたり、課題やタスクを出して反応を測定することもある。
他のアジアの国について:家族に対する意識や、協調性に関連するヒエラルキーに対する考え方が違ったりします。
(完)
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