英語を話せるようになりたい人へ
もう何年も前のことですが、日本語も含め4か国語を話すフランス人と話をしていたとき、彼がこう言いました。
「ことば覚えて損することは一つもないよ。得することばっかり。」
私も英語を通じて良い経験をたくさんしていますので、彼のいうことを聞いて、「本当にそうだな」と思いました。
もしみなさんが語学の勉強に苦労しているのなら、このフランス人の言ったことをいつも思い出してください。
ことばをある程度使えるようになると、いいことがたくさんあります。そして、上達すればするほど使う機会も増えてくるのです。
みなさんは外国の人と話す機会があったときに、うまく通じなくて悔しい思いをしたことがありますか?最近はスマホのアプリで音声翻訳もできますから、以前ほど困ることは少なくなっているかもしれません。でもやはり言葉が使えると、いろいろな人と交流でき、人の役にも立てるし、自分の視野も広がります。日本や外国についての理解を深めることもできます。考え方や価値観も変わるかもしれません。ことばを勉強すると人生に変化が生じることは多くの人が経験しています。
もしみなさんが新年の誓いとして「今年は英語を勉強しよう」「英語が話せるようになろう」と思っているのなら、ぜひ今のその気持ちを大切にして1年間頑張ってみましょう。そして英語を通じてより広い世界への一歩を踏み出しましょう。
私はこれまでいろいろな年齢や職業の方に英語学習のお手伝いをしてきた経験から、これから英語の勉強を始めようと思っている方のお役に立てればいいなと思うことをお話ししたいと思います。
CONTENTS
1. 目的を明確にする
2. コーチを持つ
3. 学習計画を立てる
4. 一冊を徹底的に
5. 勉強より音楽やスポーツ
6. TV、ラジオ、ネットを利用
7. 初心者が心がけること
8. 参考資料(主に基礎レベルの方向けのものを紹介します。)
―勉強したいけど、どうやったらいい?―
1. 目的を明確にする
英語を使ってどんなことがしたいですか?
まずは英語を使う目的を明確にしましょう。ただなんとなく英語が使えたらいいなと思っているだけではなかなか身に付きません。何のために英語を覚えるのか、英語を使って何をしたいのかを明確にすることが大切です。
日本に来た外国の人に道案内をする、海外で添乗員さんなしで行動する、SNSで英語のメッセージを発信する、など何でも構いません。そして、実際に自分が英語でコミュニケーションをとっている自分を想像してみるといいですよ。
とにかく、最初に言ったように、言葉を覚えて損することは何もありません。プラスになることばかりです。ぜひ頑張って練習しましょう。
2. コーチを持つ
誰か勉強を手伝ってくれる人はいますか?
英語の勉強をするとき、相談できる人や質問できる人(英語の指導者や仕事で英語を使っている人)がいると大いに助かります。
学校やオンラインでレッスンを受けていれば、担当の先生に質問したり学習相談を受けたりできますが、独学の場合でも、友人や知り合いに相談したり、ネットで調べたりして、学習をサポートしてくれる人を見つけましょう。普段は独学でも、必要に応じて時々個人レッスンを受けるというのも一つのやり方です。
3. 学習計画を立てる
いつまでにどんなことができるようになりたいですか?
目的がはっきりしたら、いつまでに何ができるようになりたいかを決めて、それに向けての学習計画を立てましょう。例えば、一年後に海外旅行に行って、現地で添乗員さんがいなくても行動できる、という目標を立てるのです。指導を受けられる人がいる場合はその人に計画を見てもらいましょう。また、自分のレベルを測るために英検®やTOEIC®L&Rテスト、TOEIC®S&Wテストなどのテストを受けることもお勧めです。
https://www.eiken.or.jp/eiken/
https://www.iibc-global.org/toeic.html
4. 一冊を徹底的に
一つの教材をどれくらい使いますか?
レッスンを受けるにしろ、独学にしろ、何か教材を使うことになると思いますが、一つの教材を徹底的に使い尽くすことを目指しましょう。
例文が入っている教材なら、それを全部暗唱できるくらいにまで徹底して練習することが大切です。英検などのテスト対策用の問題集や参考書であれば、練習問題をやって答え合わせをして終わりにするのではなく、英文を音読する、リスニング問題の音源を使ってシャドウイングをする、日本語訳から英文を作る、など多角的な取り組み方をすると、一冊の本の価値が高まります。
5. 勉強より音楽やスポーツ
音楽やスポーツの経験はありますか?
学校の部活や地元のクラブなどで音楽やスポーツを頑張って練習した経験はありますか?言葉を身につける、特に話せるようになるためには、「勉強」というよりも、体を使って「練習」することが必要です。基本例文を何度も声に出して繰り返すのは、音階練習やストレッチングのようなものです。良く使うフレーズはいつでも反射的に言えるようにしましょう。毎日口と舌をしっかり動かしてお腹から声を出すことを心掛けるといいですね。
6. TV、ラジオ、ネットを利用
TVやラジオで英語を勉強したことはありますか?
TVやラジオには英語学習に役立つ番組がたくさんあります。インターネットにも数多くの英語学習サイトがあります。無料で利用できるものはどんどん活用しましょう。自分のレベルに合ったものを選んで、その番組を見る、聴く、読むなど、毎日の勉強に習慣化して取り入れていきましょう。リアルタイムで視聴できないものは録画・録音して時間のあるときにまとめて見たり聴いたりするのも効率的です。
7. 初心者が心がけること
発音記号を知っていますか?
書籍でもネットのサイトでもかまいませんが、発音の教材を使って一つ一つの母音と子音をまず確認しましょう。できるだけ早く発音記号を覚えてしまうと便利です。付属のDVDやサイト内の動画で口の開け方や舌の位置がわかるものがいでしょう。
中学の教科書をまだ持っていますか?
英語の基礎は中学で習う英語です。中学3年分の教科書とCDをまだ持っていれば活用しましょう。持っていなければ購入するか、中学英語の内容を勉強できる書籍を購入するのがお勧めです。CDやダウンロードなど音源があることが必要です 。
8. 参考資料(主に基礎レベルの方向けのものを紹介します。)
【書籍】
「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。改訂版」 著者:山田暢彦 発行:Gakken 価格:2,530円(税込)
*上で述べたように、中学英語の内容をやり直すことは重要です。こういう参考書が易しすぎると思ったら、一般向けのものを使いましょう。
中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。改訂版 | 山田 暢彦 |本 | 通販 | Amazon
「急に英語がうまくなる!アルファベットから始める発音トレーニング」 著者:山下まさよ 発行:講談社 価格:1,430円(税込)
*最初にアルファベットの発音から確認することができます。意外とやらないことですが大事です。
急に英語がうまくなる! アルファベットから始める発音トレーニング | 山下まさよ | 英語 | Kindleストア | Amazon
「英検®3級過去6回全問題集」 発行:旺文社 価格:1,540円
*参考書の説明をじっくり読むのが苦手という方は、英検などテストの問題をクイズ感覚でどんどん解いていくのがよいと思います。中学英語の内容がわかっているかどうかを確認するなら英検3級の問題を解いて、80%以上の正答率であれば、基本的なことは大体わかっているといえるでしょう。難しければ4級を、それでも難しければ5級の問題から始めていきましょう。
【音声アプリ・ダウンロード付き】2022年度版 英検3級 過去6回全問題集 (旺文社英検書) | 旺文社 |本 | 通販 | Amazon
【ラジオ】
NHKの「小学生の基礎英語」「中学生の基礎英語」「英会話タイムトライアル」など種類が豊富です。いろいろ試しに聴いてみて自分の目的、レベルに合ったものを選びましょう。
英語のテレビ番組・ラジオ番組 | NHKゴガク
【テレビ】
Eテレの「エイゴビート」「キソ英語を学んでみたら世界をつながった」「大西泰斗の英会話☆定番レシピ」など、中には難しい内容が入っているものもありますが、気楽に見て学ぶことができます。
英語のテレビ番組・ラジオ番組 | NHKゴガク
【アプリ】
NHKゴガク:NHKのラジオ番組を毎回リアルタイムで聴いたり、録音するのが面倒という方はこのアプリを使ってスマホで学習することができます。単語テストなどもついています。
NHKゴガク | NHKゴガク
*このサイトを開くと、Google PlayまたはiOSからダウンロードできるようになっています。
*その他、ウェブサイトやアプリは種類が多く、選ぶのに苦労するかもしれませんが、相談できる人がいれば助言を求め、自分の学習目的とレベルにあっているものを選ぶようにしましょう。発音・文法・単語などテーマを決めて選ぶのも一方法です。
—あたりまえだけれど大切なこと―
英語を身につけたい、話せるようになりたいと思っているのなら、最も大切なことは英語を声に出して練習することです。あたりまえじゃないか、と思われるかもしれませんが、これが意外とできていないのです。
学校の英語では読むことが中心で、音声面での練習が少ないことも影響して、英会話の勉強も、教材を声を出さずに読んで目で覚えようとしている人が多いのが現実です。
もちろん、文法を理解したり単語のスペリングを覚えたりするにはテキストを読んで勉強することは必要ですが、話すということになると文字からの勉強だけでは無理です。文字を離れて音声だけで練習することもやっていかなければなりません。音楽でいうと、楽譜を見ながら歌うのではなく、暗譜をして人前で歌うというイメージです。
実際の会話では文字はありません。相手の話すことを音でとらえて理解し、こちらからも瞬時に音を発することができなければなりません。
ラジオやテレビの英語番組を利用するときも、出演者のスピーキングを真似てどんどん口に出して練習していきましょう。
Just go for it!