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ネクラティブ・ブルーは何色か

根暗という言葉を一度は聞いたことがあるのではないか。
最近では陰キャという言葉の方が主流かもしれない。
この言葉にどんなイメージを抱くだろうか。
おそらく根暗も陰キャもいわんとしていることは似ていて、性格が暗いということを指していると思われる。
じゃあ、性格が暗いってなんだろう。
大勢でわいわいするより、1人で過ごす方が好き。友達が少ない。ノリが悪い。
ほか、コミュニケーションを取るのが苦手、などだろうか。
なんとなくだが、根暗と陰キャを比べると、根暗の方が重そうだ。
過去の嫌な気持ちを引きずり、かつその出来事を忘れられずに恨んでいたりしたら、それは立派な根暗かもしれない。
「根」という言葉に重みがある。

では、ネガティブという言葉にはどんなイメージがあるだろうか。
ネガティブ思考、ネガティブな人。物事を悲観的に捉えてしまう。人からの褒め言葉を信じられず、どうせ自 分なんて…と思ってしまう。
自己肯定感が低いなどというのも、ネガティブな人の特徴ではないだろうか。

私にはどちらもある。
私は根暗で、ネガティブな人間だ。

そのほか、私を表す言葉にHSPなんていう言葉をもある。一時よく目にした言葉だ。
ちょっとしたこでも深く考えすぎてしまうし、生活の変化に弱い。人の顔色や機嫌に敏感だ。
こうやって考えてみると、人の性格を表す言葉っていろいろとある。
根暗、陰キャ、ネガティブ、HSP、非リア充…。
反対は根明、陽キャ、ポジティブ、パリピ、リア充、とかだろうか。

それらを自ら名乗る人もいる。
「私、陰キャなんで」
「基本、ネガティブなんですよねー、私」
これらは予防線かもしれない。
人からつまらない奴だな、と思われないよう始めからバリアを張っている。
もともと人付き合いが得意ではないのに、付き合い始めた後から相手にガッカリされたらすごく傷つく。
だから最初から「自分はこんなもんですよ」と自己紹介しておく。
過大評価のイメージを持たれないように、相手を期待させないように。
自分から言っておけば、人から言われるより傷つかない。

私は根暗とネガティブというこの2つの言葉を、人から言われたことがある。
まず根暗。
これは私がどん底だったときを支えてくれた人の中の1人に言われた。
どん底を脱出した2年後だったか。久しぶりに会ってその当時を振り返って話しをしていたときだ。
「でも、もう大丈夫でしょ?」と聞かれた。
それに私は「いや、そうでもないです」と答えた。
「今でもふとしたときに思い出すんです。それで、アノ人なんか、机の脚に小指でもぶつけちまえっ!て、思っちゃうんです」
と言ったら、不安そうな顔から一変して大声で笑われた。
そこで言われた。
「あなたって、そういう根暗なところがあるよね!」と。
このときの私は、年上のお世話になったこの人を笑わせられたことが嬉しかったと同時に、
(あ。私って、根暗なんだ…。そう思ってたんだ)
と、ちょっとショックを受けた。

次にネガティブ。
これはまさに私がどん底だったとき。
その当時、平日は毎朝涙が出ていた。そのときの環境がよくなかったのだ。
それをどうにかしたくて、メンタルクリニックに行った。
そこで一通り話を聞いた先生が、おもむろに言ったのだ。
「あなたみたいなネガティブな人って、世の中には必要なんですよ」
もちろんわかっちゃいたが、真正面からネガティブと言われると、やっぱりちょっとショックだった。

私は昔から傷つきやすく、うじうじ悩みやすい人間だった。
傷ついたらどっぷりその悲しみ浸かる。そして沈んでいく。
寝ころんで目を閉じると、そこは大海原だ。
私はお尻からゆっくり、深海を目指して静かに沈んでいく。
遠くで白い光が見える。おそらく太陽だ。そのまわりを水色のぼんやりした光がゆらめいて、青がそのまわりをまあるく縁取っている。そして、もっと濃い青がゆらめきながら、さらにその青をまあるく縁取って、私はそれをじっと見つめいている。
沈むほどに青は広がり、どんどん濃くなっていく。
そして海の底に到着した私は、体を丸めて静かに眠るのだ。
また白く輝く太陽の下に浮かび上がれる日を待ちながら。
そうやって深く傷ついたときは、青い海を想像してやり過ごしていた。

ゆっくり海の底へ

でもこの2人の言葉にショックは受けたが、そこまで深く傷ついてはいない。忘れはしないだろうが。
片方は大変お世話になった人だし、私のそんなところも肯定してくれる人だった。
先生も、「ネガティブな人にしかできない良いところがある」と話してくれた。
昔は自分のこの性格が本当に好きではなかった。
今でも「もっと明るい性格だったらな」と思うことは無くならない。
だけど、全てひっくるめて私は私なのだ。
それも、私。
最近はそう思うようになった。

根暗でネガティブ。
ネクラティブ。

この言葉だと、ちょっとかカッコよく聞こえる気がするし、響きも良い。
そこに、海のブルーをつけてみよう。
ネクラティブ・ブルー。
インディゴブルーみたいな響きで、これもカッコいい。
インディゴブルーは、濃くて深い青色だ。
ほかにも青色はたくさんある。

コバルトブルーは、鮮やか。明るい強い青。
スカイブルーは、空の青。
ナイルブルーは、くすんだ青緑。

では、ネクラティブ・ブルーはどんな色だろうか。

もしこんな名前の青色があるならば、悲しみの海に沈むときに見上げてみえる、あの太陽のまわりの青色だったらいいなあ、と私は思う。

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