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感動する映画は、サラダみたいなもの

※ネタバレ注意※

【ショート版】

「ボヘミアン・ラプソディ」を観てきました。
1973年にデビューしたイギリスの男性4人組ロックバンド、Queen(クイーン)。デビューから、1985年7月13日に行われた「LIVE AID」までの軌跡。

Queenのボーカルであるフレディ・マーキュリーの両親は、インド生まれのペルシャ系インド人。フレディも幼少期をインドで過ごしているが、後にイギリスへ。インドにいた頃からピアノとヴォーカル担当として、複数のバンドで活動していました。
後のQueen結成メンバーとの出会い、アルバム作成から売れるまでの流れは非常に順調であるかのように見えました。しかし、心の内で葛藤していたフレディが抱える秘密、自分がバイセクシャルであるということを恋人のメアリーに告げてから、彼を取り巻く環境は変わり始めます。乱れた私生活を送り、仲間とも軋轢が生じます。そして家族のような存在だった仲間と袂を分かち、ソロ活動へ。がむしゃらに働き、体の不調を実感したときに、再び仲間の元へ戻ることを決めます。そして、アフリカ難民救済を目的とする「LIVE AID」に出演し、彼の歌声は観客を感動の渦に巻き込みます。


【ロング版】

最初の頃は、ただ音楽活動を純粋に楽しんでいたQueenのメンバー達。しかし、フレディがバイセクシャルであることを明らかにし(映画ではバイセクシャルというより、ゲイ扱いされていました)、恋人としてのメアリーが自分の元を去り、他のメンバーもそれぞれの家族を持つようになると、孤独を感じるようになります。それが乱れた私生活を増長させ、エイズを患うようになります。自分にとっての本当の”家族”は誰なのか。友人としていつも心配し心に寄り添い、訪ねてきてくれたメアリーの言葉で、自分の大事な家族は誰かを思い出します。それはQueenの仲間であり、メアリーなのでした。
再結成したQueenはアフリカ難民救済を目的とする「LIVE AID」に出演を決めますが、ボブ・ディランを含む有名なミュージシャン等の出演による萎縮、しばらく演奏していなかったというハンデからグループ内では緊張が高まります。
そんな中、練習中にフレディは、自分がエイズに罹っていることを告白します。自分の残り時間を音楽に捧げたいというフレディの熱い想いに、仲間たちの団結力は高まり、「LIVE AID」当日、Queenは観客と一体になり、フレディの歌声は会場に響き渡ったのでした。


【感想】

久しぶりに感動する映画を観た、と心からそう思いました。
頭に浮かんだのは、ランチに食べたサラダビュッフェ。野菜をいっぱい食べて食物繊維たっぷりのヘルシーな食事をしたと思っていましたが、感動する映画もサラダと同じように、心に多くの栄養を与えてくれました。
Queenのことは、あまり知らないと思っていましたが、映画の中で流れる歌はどれも聞いたことがあるものばかりでした。彼の独特なマイクスタイルの理由、オペラ風曲調のレコーディング風景、「We will rock you」のステップが観客と一つになるため、などQueenがどんどん明らかにされていくのは、観ていて非常に面白かったです。
フレディは音楽の才能あふれる非凡な人だったに違いない。けれど、孤独に弱い人でした。それ故に、家族(仲間)に捨てられる前に自分から捨てるという行動にでました。しかし、エイズに罹って自分の命が長くないと思ったとき、本当の”家族”は誰なのかということを思い出せたのです。
フレディは、自分がエイズに罹っていることを仲間に告白したとき、バイセクシャルだと告白した後の孤独に怯えていた頃とは違う、エネルギーに満ち溢れた彼の姿がそこにありました。「Touch the heaven」と言って仲間を鼓舞し、同情なんかはいらないと「I will decide who I am」と高らかに述べます。ソロ活動を通してフレディは、自分が作りたかったのはQueenで作る音楽だったのだと気づきます。家族が周りにいて「Queen」として機能しているから、フレディも自分を100%表現できていたのです。
いくら才能があってもそれを自分のためだけに使おうとしたり、支えてくれている家族や仲間から孤立して、人は生きていくことができないのだと改めて実感しました。才能ある人は、なぜこうも早くに亡くなってしまうのか。太く短くとは言いますが、フレディもまた全力で走り、周囲に熱狂という熱を与え、一つの時代を駆け抜けたのでした。ロックに興味のなかった私でも、改めてQueenの音楽を聞きいてみたいと思いました。
こちらの作品はぜひ、映画館で見ることをオススメします!そして人気が高いため、席はなるべく早めに予約しておかれたほうが良いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!

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