新春 「happyな日本美術」を見に行く
2025年やっと初投稿になります。
すでに小正月も過ぎた週末、縁起かつぎみたいですが「happyな日本美術」を見に山種美術館に行ってきました。
Happyな日本美術 みどころ
第1章 福を呼ぶ 吉兆のかたち
第2章 幸せをもたらす にっこり・ほのぼの・ほんわか
の2部からなる展示でした。
第1章 福を呼ぶ 吉兆のかたち
新春を寿ぐ
瑞夢(富士・鷹・茄子)田崎早雲
福を呼ぶと言えば、富士・鷹・なすびの初夢と言われていますが、実はその作品を見たのは初めてです。なぜ、この3つの物を見ると福を呼ぶといわれているのか 由来には諸説あるようですが江戸時代から。
新年といえばだれでも良い年の初めにしたいと思うもの、あらゆることを縁起担ぎと結び付ける遊び心こそが江戸時代の人の知恵なのですね。
そう思いながら作品を見ると、運気が勝手によくなるのではなくて 運気をよくしようとする心がけ、おめでたいことを喜び楽しもうとする気持ちが大切に思えてきます。
おめでたいトリオ松竹梅
*松竹梅 横山大観・川合玉堂・竹内栖鳳・川端龍子
松は横山大観・竹は川合玉堂・梅は川端龍子、実は年功序列になっているこの3枚の絵を揃えて展示できるのはこちらの美術館ならではなのでしょう。
なぜなら山種美術館が開いた展示会のために1955年頃に描かれた3枚だからなのです。
松(白砂青松)・竹(東風)・梅(紫昏図)の中で私がとても好きな絵が
川合玉堂の竹なのです。
この絵に登場するジョウビタキがなんとも東の風にのって幸せを運んでくるようにしか見えません。
The bird that brings happiness,the Daurian Redstart.
ジョウビタキはその愛らしい姿から幸せを運んでくる鳥と言われていますが、玉堂の絵からも感じられた幸せな瞬間でした。
*老松白藤(下村観山)
素晴らしいなあと息をひそめて見入ってしまった圧巻の展示が老松白藤でした。伏見宮家に奉献するために描かれたというから、その絵を今こうして拝見できること自体素晴らしい事。太く伸びた松には白藤が絡んで美しく咲いており、金の屏風の中で華やかさを出している。
そして可愛らしい熊蜂が!この熊蜂は出世を象徴するモチーフなのだそう。
*生き物に込められた吉兆
おめでたい生き物といえば、鶴や鯛、鯉 そして花となれば白牡丹、葡萄や薔薇。そういったモチーフの作品をみることができました。
*鶴図(伊藤若冲)
その中でも伊藤若冲の筆遣いのすばらしさを感じたのが鶴図でした。
松とともにのびやかに大きく描かれた一つがいの鶴をひと時堪能しました。
*松上双鶴(川合玉堂)
松上群鶴という表現は日本画の中でも松に留まる鶴の群れはおめでたい象徴とされているそう。今回の展示の中ではこの川合玉堂の作品がその表現ですね。
仲の良さそうな多分つがいの鶴を描いた作品が平和な家庭を思い起こさせやはりHAPPYな日本画!と感じる一つでした。川合玉堂、もっと見たくなりました。
聖なる山 蓬莱山と富士山
蓬莱山は中国の伝説上の山で不老不死の仙人が住む霊地であり、鶴が舞い黄金の宮殿がある……そんな伝説的な目で絵を見つつ、それと同じに平安時代から吉祥の山とされた富士山の姿を楽しむ。
横山大観の心神・奥村土牛の山中湖富士・小松均の赤富士が展示されている。
赤富士もたしかにその表現方法とテーマからインパクトがあるが、私には横山大観の心神!の白と黒の世界、雲海の中の富士山の姿が印象的でした。
それにしても、生涯を通してどれほどの数の作品を描いていたのでしょう。
年齢を考えてみると、画家というのは体力気力ともに高齢になってもエネルギーが尽きないことに感服!します。
縁起のよい七福神
*七福神図(狩野常信)
七福神といえば子どもの頃からお正月には宝船にのった姿を様々な媒体で目にしてきたけれどいつのころからかと言えば やはり江戸時代。
そしてこの作品には、私が好きなモチーフ唐子やもちろん松竹梅も描かれているので楽しい絵になっていてこちらは見とれてしまいました。新年からワクワクしてきました!
第2章 幸せをもたらす にっこり・ほのぼの・ほんわか
*百子図(川端龍子)
終戦後、子どもたちの嘆願によってインドから上野動物園に来たインド象。それを楽しそうにとりまく子どもたち。当時としてはこれはかなり平和な景色だったことだと思う。そういう時代を垣間見るような気持ちになる。
この第2章ではやはり伊藤若冲の伏見人形図や柴田是真が際立ってユーモラスでhappyな気持ちを運んでくれました。
*伏見人形図(伊藤若冲)
布袋さんがたくさん並んでいる。みんな同じではないけれど、同じようにして並んでいる。その姿がなんともユーモラスで、思わず頬が緩む。自分が笑っているのに気が付いて、なんだかほっとして嬉しくなりました。
*柴田是真
琵琶を弾いている蛙は、大真面目なのか酔いどれているのか、周りにいる蛙はとてもよく聞いている様子。ばちは銀杏かしら。漆を用いた作品なので艶があってなんともほっこりしました。こんな蛙ならば、夕暮れ時に琵琶の会を開いてくれたらうっとりして幸せな気分になりそうです。
展示会のあとは……
ゆっくりと展示会を見た後は、新春らしいお菓子とお茶を頂いて過ごしました。いくつかあるお菓子の中から選んだのはおめでたい!のピンクの鯛。中の胡麻あんがとても美味しかったですよ。
2025ねんの初投稿はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。HAPPYな日本美術を見た新春、良い1年にしていきたいと思います。