転職したくなった人へ
こんにちは。ひとりPR会社を起業した植田聡子です。
私が昨年都庁を退職したのは5月末でした。もうすぐ1年となります。あっという間の1年でしたが、これまでにない濃密な1年であったことも事実です。
そして、このコロナ禍は1年経った今も続いています。環境が激変し、これまでの価値観が変わったり、信頼が揺らいだり、今の会社にいることに疑問を感じ始めた人もきっといらっしゃるだろうと思います。5月病、GWの後、仕事に行くのが憂鬱になって体調が悪くなったり、気持ちが塞いだりすることを指しますが、そんな気持ちの方もいるのかな。
私は複数回転職していますし、転職のしんどさも、転職だけで解決できないことがあるのも理解しています。ご自身のキャリアプランをどう考えるか、転職というのは人生においても重要な転機ですので、その辺りを書いてみようと思います。
転職したい理由と向き合う
「なぜ転職したいのか」
面接でも必ず問われる質問ですね。ここについては、面接用の「外向けの解」ではなく、「自分に向けての解」を必ず持ってください。ホンネとタテマエ、ここがかけ離れている人は、面接でたまたまうまくいってもやっぱり働き始めると、うまくいかなくなってくるものです。自己矛盾を抱えて生きるのはしんどいですからね。
とはいえ、では「人間関係」「給料」「残業時間」「業務内容」など、色々な課題があるでしょうが、そのネガティブな理由をポジティブに変換できないか、は向き合ってみてください。
ポイントとしては、その不満材料に対して、
「あなたはどのようなアクションを起こして、解決を図りましたか?」
この問いに自分で向き合ってみてください。答えられますか?
これに対し、自分で答えられないとするなら、もしかしたら「転職」ではなく、もう少し別の解決策を試みてみることをお勧めします。「転職しても解決できない問題かもしれませんよ」という意味です。
これまでの転職を振り返ると
私も過去、何度か転職をしてきました。体調を崩して続けられなくなったANA 、職場結婚を機にキャリアチェンジを図ったベネッセ、ベルシステム24ではクライアントを通じて多くのことを学びながら、育児との両立に迷い、結果として東京都の職員の中途採用に至ったわけです。
その転職において、一度も「転職しなければよかった・・・」と後悔することはなかったのは本当に恵まれていたと思います、都庁までの転職は。
都庁でも自分なりに居場所を作り、今後管理職としての道は開かれてはいたのですが、私の中では「働いている人たちが全然楽しそうでなかった」のです。この先、ここにいても「自分は誰のために、何のために働くのか」という根本的な部分を満たせないと思いました。それを共有できる人がいなかった・・・
実際、退職した後、「実は・・・」とホンネを話してくれた人はいたので、全くいなかったわけではないと思いますが、現職の時にはそんなホンネを語る雰囲気がなかったんですよね。
企業のホンネは自分で調べるしかない
都庁以降の転職で、私は小さい会社のリアルを体験できました。それはそれとして、今後の危機管理について非常に良い経験になったし、その経験があったからこそ起業に至ったわけです。
公務員から転職を検討した時は、業務内容、年収、休日、ポストなどさまざまな条件を検討しました。
その中で特にこだわっていたのは、「一旦、大企業から離れて、小さい組織で働いてみよう」、転職理由としては、「ずっと大きい組織で限られた役割の中で働いてきたので、経営に近いポストで実務を学びながら組織を作り上げたい」ということでした。
以降、限定されると差し障りがありますので、ふわっとした記載になります(笑)
✔️マスコミにも登場、著書もある女性経営者
✔️組織は社長含め7−8人
✔️社長直下で私ともう一人採用(一人は財務や営業、私は広報マーケティング)
✔️報酬は都庁管理職並み
✔️業務内容はSDGs関連で社会的にも意義のある内容
もう一人の男性も本当に錚々たる経歴で、その時点では「この人と一緒に組織を作り上げていこう!」と思っていました。6月1日入社で、5月中に何度かオンラインで打合せがありましたが、それは全て社長が対応してくださり、ご自身のビジョン、方向性など熱く語ってくれました。
2020年5月20日くらいに前任者であり、5月末で退職される取締役の女性と引継ぎがありました。社長からはこの取締役についてあまりポジティブな情報はなかったのですが、たった1日とはいえ、話の内容の濃さ、先々を見据えたアクションの数々に触れ、本当に極めて優秀で素晴らしいビジネスパーソンであることはすぐにわかりました。
詳しくお伝えしたい気持ちはあれど、守秘義務がありますので、そこは差し控えます。いずれにしても申し上げたいことは、転職サイトやエージェントで言っていることは表面であり、裏面の部分は自分で調べるしかないということ。
特に小さい会社の場合、開示されている情報があまりにも少なく、転職の掲示板にもほぼ情報がありません。そして、「こんな会社に勤めていたという自身の黒歴史を人は語りたがらない」ので、離職していった多くの人々は、本人が直接話してくれない限り、情報を出したがらないのです。
「どなたか現場の社員の方とお話しする機会をいただけませんか?」
特に自分が希望する部署に近い従業員との会話で、社内の雰囲気をつかむなどは大事なアクションになります。オンラインで社内の空気が掴みにくい今、経営や人事サイドが「都合の悪い話」をどこまで隠しているか、ダイレクトには探れませんが、社内の雰囲気だけでも相性を探ることはできるかもしれません。
業務委託のフリーランスも気をつけて
最近はパラレルワークも増えており、「副業ではなく複業」というキーワードも見受けられます。私もこの流れには賛成です。一つのところに全てを委ねるリスクというのは、その依存が大きいほど失った時の落差も大きいものです。人生100年時代、長く働き続けるためにも、そのような姿勢はさらに求められていくと思います。
一方、企業側のスタンスで考えれば、「必要な時だけコストを投入」という意味で、フリーランスとの業務委託契約にはメリットがあります。なんといっても、社会保険などを負担することなく、必要な時だけその労働力を活用するというのは機動的です。正社員、契約社員、人材派遣などと比較しても、契約解除が容易であるという点も見逃せません。
私も公務員を辞めて、そのようなプロジェクトベースで個人事業主を活用する企業をいくつか見た中で、本当に「この人たちとなら長く付き合っていきたい」と思える企業さんもいれば、そうでない会社もいます。
フリーランスはサブスクではない
月々安価な契約で大きな成果まで求めてきますが、そこまでの成果を求めるなら「正社員として雇うか、もっと正当な対価を支払う」の2択でしょう。
転職情報の表裏
Wantedlyなどでよく見る企業は、ベンチャー、スタートアップのキラキラした側面が強調されています。あくまで「選考ではなく、その前段階」という位置付けで、採用担当者とカジュアルに話ができるというのは利点です。
ただし、Wantedlyは掲載にあたっての手数料が安価であるため、時にブラック企業も紛れています。企業規模が小さいにも関わらず、大量の職種を募集している、もしくはしょっちゅう採用している、というのは要注意です。よほど大規模、右肩上がりなら別ですが、ウェブサイトやSNSでも実績が読み取れないのに、大量採用の場合、経営者にクセがある、メンバーが定着しないなど必ず「隠れている情報」があります。
またとある会社は転職サイト経由で採用したにも関わらず、「転職サイト経由ではなく、直接採用ということにしてくれ」と内定者に口裏合わせを依頼する悪質なケースもあります。
そんな会社が、従業員に対し誠実な姿勢を取ると思いますか?
ガバナンス、コンプライアンスは中小企業の場合、大企業より整っていないことが多い分、なおのこと、経営者の資質そのものが問われるのです。
「未経験者歓迎」「幹部候補」「アットホームな職場です」「即戦力として活躍できます」「若いうちからどんどん経験を積めます」
事実に即している面、その裏にある背景、両面を見てくださいね。
転職活動の場合、採用する側される側のパワーバランスはあるとはいえ、やはり採用される側ももっと貪欲に企業の内情を知らないと、双方にとってリスクが大きすぎます。転職というのは慎重に、それでも意味があるという確信を持って、進めてほしい、と強く願っています。興味あるというかたはお気軽にご連絡くださいね。
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