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クラウドファンディング向き、不向きのパターン<先行購入の場合>
こんにちは。Kiwi PR合同会社の植田聡子です。
クラウドファンディング、関与の度合いは色々ですが、お手伝いをしています。いくつも見ているうちに、どんなプロジェクトはクラファンに向いているかがわかってきましたので、お伝えします。
クラファン向きのプロジェクトの条件
(1)現在の知名度が低い
(2)販路がない
(3)賛同者が多くなった場合でも対応できる体制が整えられる
(1)や(2)については、Makuakeの場合、CanonやLIXILなどの大手が参入しているケースもあり、「本当にそうかな?」と疑問に思いますか?
Makuakeで大手が参入しているケースについて、既存商品の後継機、例えばミラーレスカメラの新商品などでは入ってきません。
企業としての知名度は高くても、全く新しいコンセプトで、まだファンがついていない商品のテストマーケティングとして実施しているわけです。当然、知名度も販路も確立できていません。
(3)の体制づくりは意外とネックになります。
クラファンのリターン設定については、同一商品で展開する場合は割引率を複数設定します。全てが定価よりも安価となる設定です。
例として、
●限定50個は30%OFF
●50個は25%OFF、
●100個は20%OFF、
●300個は10%OFF
などのような段階設定となるわけです。
そうすると、購入を迷っている方にとっては「早く買えばお得!」という心理が働きます。
プロジェクトが希望額に対し、
✔️50%しか集まらない場合、
✔️100%集まった場合、
✔️100%以上集まった場合、
それぞれのパターンでプロジェクト開始当初から設計しておくことが大事です。
生産体制が難しいならリターン数をもっと限定すべき!
なぜならプラットフォーム運営の立場(MakuakeやCampfire)からすれば、お金を集めたのに契約どおりのリターンを返せないのが、一番のリスクなのです。
過去、集めた後、計画的(?)とも思われるような倒産した企業があり、プラットフォーム側の信頼にも関わってくる問題になります。
プロジェクト実施の立場で考えると・・・
一方、プロジェクト実行者の立場で考えるとどうでしょう。
リターン価格は税込、送料込みの設定です。
そして、クラファンの手数料として、おおよそ20%程度必要となります。
一般的には写真や動画の撮影、画像制作など初期の制作費もかかっているはずです。ですから、50個売れただけでは全く意味がないとも言えます。
利益率が少しでも高まる商品を販売できて、初めてプロジェクトを実施している意味があるのです。
ですから、量産体制に対してしっかり対応できる体制が必要です。金額は集まってほしいけど、たくさんの生産となると対応できない、では危険です。
数量限定であれば早々に売切れ完売で終えることもできますが、基本は「集まれば集まるほどありがたい」プロジェクトのほうが向いています。
工場生産の場合、ロットが大きいほど制作費は下がるはずです。少ない発注の場合、在庫をさばききれない、などのリスクが想定されます。
たくさん集まったら困るプロジェクトって何?
多く集まってしまっては困るプロジェクトってどんなものでしょうか?
それは「既に自社で有効な販路を有している場合」です。
通常、クラファンで販売しているものと同時期、同商品を他のプラットフォームで販売することはできません。でも、類似商品、シリーズ商品などを自社サイトやAmazonなど他社サイトで販売していることはあるかもしれません。
その場合、クラファンで話題になることが、自社ブランディングや自社顧客にとって必ずしもプラスととらえないケースもあるのです。
「安売りしているイメージ」
「既存顧客より新規を優先するのか」
などという声が挙がるケースは、ファンが既に存在するブランド、メーカーの場合に起こり得ます。クラファンは他の販路と競合してもダメ、最安値で単独販売(クラファン終了後に販売可能)です。
そうすると、プロジェクト期間中に「一定金額が集まる」「自社の販路が活発になる」と、自社販路の方が利益率が高い分、プロジェクトオーナーのクラウドファンディングへの熱意が一気に下がっていきます。
「もうクラファンはそろそろ中止したい」
と言うこともあります。
それは規約上もしかり、企業としてもかなりイメージダウンとなるので、絶対に避けるべきパターンです。
そうすると、結果としてプロジェクトオーナーは
「もうとにかくプロジェクトが終わるまでおとなしくしているから発信しない」
という、ネガティブな対応に陥りがちです。
これも本当にリスクがある対応です。なぜなら既に応援購入した顧客の気持ちを完全に無視しているからです。
クラウドファンディングは顧客とオーナーのコミュニケーションが比較的オープンで実施されるのが特徴です。
✔️応援コメントを書いてくださるお客様
✔️それに対しコメントを返すオーナー
✔️プロジェクトの進捗状況をレポートするオーナー
✔️プロジェクト以外のSNSなどでも発信していくオーナー
✔️到着を楽しみにするお客様
このような複層的なコミュニケーションが、一般のECサイトとの大きな違いです。
通常ならば、商品と引き換えに支払うべき金額を、前払いで信じて支払ってくださった、ありがたいお客様なのです。
なのに、目の前の販路で「定価で払ってくれているお客様」の方が大切に見えてしまっているのです。
クラファンの購入者の心理
先行購入という名のとおり、商品より先に支払いが発生するクラウドファンディング。「本当に思ったような商品かな」「ハズレじゃないかな」と心配になるのが消費者心理です。
ですから、クラファンの途中あたりに、メディアなどで取り上げられると、新規開拓だけでなく、既存購入者が非常に安心するのです。
「ほら、メディアに取り上げられるくらい、やっぱり自分の選択に間違いなかったんだ」と思えば、今度は口コミしたくなる心理に動いていきます。
クラファンは「始まりました」ではメディアから取り上げられることはほぼありません。一定の成果が出て、状況が落ち着いてきた頃、メディアに出ることで、再度がーんと売上が跳ね上がります。
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もし広告費用が潤沢に用意できるなら、必ずしもクラウドファンディングにこだわらず、広告ベースでの販促もあり得ます。
クラウドファンディングを利用することで、初期費用を抑えられ、かつ一定のコミュニティ(ファン)を獲得できるというのがメリットです。
今回は先行購入のパターンですので、寄付についてはいずれまた。
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