俺の【トリコ】OP歌詞好きな所フルコース。""GOD(ソレ)""とかいう神のフレーズ
【トリコ】はある意味でとてもカルト的な作品だ。非常に面白い、だがそれと同じくらいツッコミどころとシュールな笑いが存在している。
でも確かにそれを上回る熱さを面白さを持っている。良くも悪くも古き良きジャンプ作品を踏襲した作品だ。
特にこの作品を語る上でアニメ版のことを欠かせない。賛否両論あるアニメでもOPに関しては圧倒的に力ある曲、そして歌詞であると胸を張って言える。
言うまでもない、かの有名な【ガツガツ!!】と【豪食マイウェイ!!】のことだ。
私は全日本【ガツガツ‼】と【豪食マイウェイ‼】の歌詞の好きなところを語る大会があればベスト36くらいまでは行けるであろうと自負するほどこれらの曲が好きだ。
なのでここにいる。そして昨今の風潮にはシンプルに悔しさを感じつつもある。本当に素晴らしい歌詞のOPなのに近年ネタ的な扱いしか見ない点が。
だが憎いことにネタとして扱っても楽しい良い意味でのチープさもまたトリコ曲の魅力だから絶対に否定はしない。
私は私のフルコースを展開するだけだ。
それでは、トリコの全てに感謝を込めて。
いただきます。
■オードブル(前菜)ー【どんな夢も食える】
あまりにも的確に一言でトリコ世界のなんたるかを表しているとしか言えない。
トリコ世界において夢とは叶えるものではない、その先がある。そう、食べることだ。誰かが言った本当にあるのかわからない食材だって存在するかもしれない、そしてそんな夢は食べることができるのだ。
「食」に重きを置いているトリコだからこそ出せる歌詞であり、夢の表現として唯一無二である。このフレーズが全てであるように、やはりトリコ世界の本質は戦うことでも勝つことでもない。食べることなのだ。
それを一言で表現しておりなおかつサビでこのフレーズが流れるのはあまりにも熱さの本質を宿していると言わざるを得ない。
■スープー【Wow wow wow 山を食え‼】【Wow wow wow 海を食え‼】
【どんな夢も食える】のだから未知のもの全ては食べられる可能性を秘めている。まだトリコにも知らない食材だって無限にある。
それを【山を食え‼】と表現しているのは些かパワー系ではあるがそれがまたトリコらしくて良い。未知なる山に眠る食材を食えと言うのを山そのものを食らえと言ってのけるその豪胆さも本当にトリコらしい。
また【山を食え】というフレーズは「山奥へ」ともかかっている。基本的にはパワー系で真っ向から熱い曲であるが要所で小技を入れてくる粋な部分が本当に愛おしい。
じゃあ「海奥」ってなんだよという風に冷静に考えるとツッコミどころしかないがその圧倒的な勢いとスケールのでかさは本当にトリコという作品そのものに通じている。こういった点で敢えての雑さというか良い意味で大雑把な表現がとてもマッチしている。
■魚料理ー【釘パンチ‼ 無限大‼】
【ガツガツ‼】での釘パンチは【連発で‼】だったのがその次のOPである【豪食マイウェイ‼】では【無限大‼】に変わっている。
言うまでもなくこの演出は本編の進行に応じてどんどん釘パンチの連発数が増えているトリコの進化を表している。
∞釘パンチという釘パンチの終着点に合わせて後期OPとなる【豪食マイウェイ‼】では【無限大】という表現が当てられている。
本当にこういった細かい本編リンクと2つしかない主題歌で更にリンクをさせてくるからトリコ曲はたまらない。
今となってはアニメの主題歌で主人公の必殺技が叫ばれること自体今ではかなり化石の表現となってしまった。だがそこには色褪せない良さは健在だ。
昨今のジャンプアニメ系にありがちなクールでかっこよくオサレ路線も本当に素晴らしい。だがやはりトリコはこうだろという雰囲気の完全合致がここにはある。
こういった点など特に「作品にマッチした歌詞」というよりも「他の作品には絶対当てはめられない」唯一無二性を感じられてこの絶対性に胸が震える。
■肉料理ー【オマエらとなら豪食マイウェイ‼】
【豪食マイウェイ‼】において特筆すべきこととして本編進行度に合わせて映像にゼブラが参加するようになったことだ。遂にサビでは四天王が揃った。
だからこそ、この歌詞が染み渡るわけだ。それが【オマエらとなら豪食マイウェイ‼】である。
【夢】というフレーズは前述した【ガツガツ‼】に出ている。【未来】は後述する【豪食マイウェイ‼】の締めくくりに使われる言葉の一つだ。
これらのフレーズは特に四天王達の関係性を良く表しており個人的に特に好きな部分と言える。
同じ食べ物を求めて敵対し争うことが主となるトリコのストーリーにおいてだからこそ「同じ」ものを食べて分け合える関係にこそ友情は宿る。
そしてこれは同時にトリコから四天王と小松へのでけえ感情を見て取ることを可能とする。【オマエらとなら】なのだ。”なら”である。
他のやつらとでは【豪食マイウェイ‼】できないと言っているわけだ。分かりあえず殺し合い、食材を奪い合う戦いの世界だからこそ【同じ夢】を共に食べられて【同じ未来】を分け合えることにこそ価値がある。
こんなにも熱いのだ。食をテーマに、そしてトリコの世界観を歌詞に落とし込むのがあまりにもうますぎる。それでいてこんなにもストレートな歌詞で熱い。まっすぐさと芸術点を兼ね備えている。
2番にて出される【本当の仲間】という言葉に説得力とそれがなにかを示す裏付けともなっている。
そしてそれは逆説的に同じ夢や未来を分け合えない仲間とは戦うしかない、という本編における一龍や三虎の悲しき戦いを想起させるフレーズとなっている。
■主菜(メイン)ー【GOD(ソレ)は譲れねぇ】
このフルコースのメイン、それは【豪食マイウェイ‼】のサビだ。私はこのフレーズが一番好きである。
なによりもかっこいい。シンプルでまっすぐに飾らない言葉はあまりにもトリコに似合いすぎている。それでいて【GOD】と書いて【ソレ】と読ませるのは本当に熱く胸に来る。これはなんらかの形で歌詞を見ないと気付けないフレーズである。
アニメのOPで最初にこのフレーズとルビを見た時、あまりのかっこよさに全身が震えた。「GOD」という食材はその名が出てからずっとトリコの戦い、ひいてはフルコースの話において切り離せない存在であった。
この作品そのもののキーワードをこのような形で入れてきているのがとても好きだ。そして【譲れねぇ】なのだ。トリコのGODにかける想いをしかと表している。
トリコ世界においては特に「見つける」や「探し出す」といった冒険のイメージが大きい言葉が使われがちである。だがGODに関しては明確に争いの元にもなっており、冒険のイメージよりも戦いのイメージのほうが大きい。
だから後期OPという立ち位置のサビで作品の雰囲気含めて少し毛色が変わってくる演出がとても好きなのだ。
そしてラスサビ前ではこのフレーズの前に【なにがなんでも】という言葉が付け加えられる。このどこまでもひたむきなまっすぐさ、本当に素晴らしい。
【豪食マイウェイ‼】は全てにおいて本当にクオリティが高い。あまりにもまっすぐにトリコという作品に向き合い過ぎている。だからものすごくアクが強い、だからこそトリコが好きであればあるほど沼へハマる。こんなにもトリコを体現している曲は他に存在しない。
■サラダー【待ってろよ メインディッシュ】
もはや説明するまでもない、そう【GOD(それ)は譲れねぇ】との対比だ。【ガツガツ‼】においてはまだ不明瞭で輪郭も見えていなかった「メインディッシュ」に対して【待ってろよ】と言っている。
それが次のOPでは明確に「GOD」というメインディッシュの候補を見据えて【譲れねぇ】という決意と意思の表れとなっている。
これに関しては私があまりにも【GOD(それ)は譲れねぇ】という神のフレーズを好きすぎるが故の評価点である。こういうところからトリコの変化と成長が伺えるの本当に細かいところまで気が回っていて素晴らしいしなによりもやはりトリコのGODへの想いのほどを感じられて良い。
幾度となく言及してきたが【ガツガツ!!】から【豪食マイウェイ!!】で歌詞が本編進行に合わせた変化を利用した演出において、この部分は特にその演出の恩恵を受けていると言える。
メインディッシュというふんわりしたものに輪郭が与えられ、それに対して当てられる言葉が【それは譲れねぇ】というこのかっこ良さ、永遠に擦っていられる良さしかない。
■デザートー【感謝して イタダキマス‼】
サビ前の【感謝】と【イタダキマス‼】のフレーズは2つのOPに共通している。これは本当に素晴らしい。
本編においてトリコは食べる前の「いただきます」と「ごちそうさま」に重きを置く。そして食材への感謝もだ。それは食義のやはり人間としてあるべき美しい食事の姿である。
だからどちらのOPにも共通してこれらのフレーズが入っているのは絶対的な芯が通っており美しい。また、サビ前という盛り上がりの直前に入れてくるところもテンションぶち上げに一役買っており圧倒的に芸術点が高い。
また【豪食マイウェイ‼】においてはこと仲間を想起させるフレーズが多く登場する。それは四天王であったり相棒である小松であったりと仲間の出番、存在が大きくなっていくことが要因となる。
そこで【ウマイモンを分け合うために】と一人で食べるのではないことが強調されている。
だからこそ次の、最後のフレーズでのカタルシスが生まれるわけだ。
■ドリンクー【食卓(テーブル)を囲もうぜ オレたちは未来(あした)のために】
トリコはバトル漫画である。それでも絶対的に揺らいではならない点がある。「食べる為に戦っている」ということだ。戦うことは目的ではない。生きる為、未来の為に食卓を囲む。
トリコの世界観と戦いの理由をやはり的確に表現している。
食べることがゴールではない。未来を生き、また新たな食事をする、その繰り返し。果てにある人生の謳歌こそがゴールとなる。
生きるということは食べるということである。誰かと一緒に食卓を囲みたいと願うことは、その人との関係を続けたいと願うことでもある。
前述の通り【豪食マイウェイ‼】には仲間の存在の大きさを示すフレーズが多く存在する。だからこそ【食卓(テーブル)を囲もうぜ】という提案であり【オレたち】という複数形での締めくくりとなる。
これはトリコ本編、アニメではやっていないが特にラストの結婚式の場面で遺憾なく真価を発揮する。また、この作品を最後までちゃんと読んだ者にのみ訪れる究極の名シーン「おいで 三虎」にもこの言葉の重みは適応される。
トリコという作品が何を重んじていたか、彼らの戦いはなんのためのものだったのか、その全てがこの一言に詰められている。
結婚というのも人生のゴールではない、フルコースの完成だってゴールの一つに過ぎない。なぜならば世界にはまだまだ無限に未知の食材があるからだ。
だから【未来(あした)のために】という歌詞が染み渡る。
本当にトリコのOPはクオリティが高い。こんなにも美しく、かっこよく、なによりも熱い。伝えたい想いの丈は全て叩き込んだ。
これが私のフルコースである。私自身、再度噛みしめることでやはりこの熱さと完成度の高さを再認識した。そして本当に【トリコ】という作品が好きであるということも。
この出会い、そしてこの世の全てに感謝を込めて。
ごちそうさまでした。