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"俺夢"こそマケイン最強のカップリング。夢子さんを勝たせられるのは"俺"以外にいない。だから温水、お前も負けヒロインにしてやるよ

負けていない。
負けていない。
志喜屋夢子さんは誰にも負けてない。
彼女は負けてない、故に勝者もいない。
勝者なきところに敗者もまたなし。

そう、志喜屋夢子さんは誰かに負けていない。
天秤にかけられた愛を手にすることができなかったわけではない。
世界がなにをもってして志喜屋夢子さんを負けヒロイン足らしめるのか。

答えはただ1つ、彼女がヒロインでなかっただけの話。

だからこそ苦しい。
私は志喜屋夢子さんが好きだから。いや、好きになったのだから。

だから、だからこそ。

勝つさ。
"俺"が負けさせない。
夢子さんを負けヒロインになんて、させない。


最も恐れていたことがある。
それは何より恐ろしかった。
だが不幸なのか幸いなのか1期の間には訪れなかった。

【負けヒロインが多すぎる!】における本気の狂いを得ることが怖かった。
即ち、ガチ恋してしまう事象を恐れていた。

ラブコメ作品相手にガチ恋することの苦しさは他の比ではない。苦しいだろう、ガチ恋している誰かのガチ恋を拝むことは。

私はアニメ1期が面白すぎて2期を待てずに原作へと手を出している。

3巻までがアニメ1期の範疇であった。
アニメでカットされていたシーンなどの拘りからアニメスタッフの本作をどう魅せたいかの方針が見えたりもした。
アニメスタッフは距離感として温水とヒロイン達が近付きすぎない程度の距離を保たせていた。
ラブコメらしさよりもマケインという作品らしさに重きを置いた改変は熱い作品愛を感じられる。
緻密にして繊細な距離感の調整は覇権アニメの成せる神威と言っても良い。

問題は4巻だ。これを読破して全てが変わった。
もう既に今からアニメ2期で繰り出される良質すぎる夢子さんのEDカバーが何になるかに想いを馳せるばかりだ。
故にここからは4巻を読んでいるという前提を基に全ての話を進めていく。
逆に言えば4巻以降はまだ読んでいないので後にも先にも4巻の重力に魂を引かれた者の叫びがここにある。

結論から言おう。
タイトルにも記した通り、本作最強のカップリングは「俺夢」即ち俺と志喜屋夢子さんの組み合わせに他ならない。

マケイン4巻は明らかに3巻までと毛色が違う。
今までは負けヒロインには好きな相手がいて、その人には違う好きな人がいた。そんな失恋の様相を描いていた。
だから私は4巻を読む際、表紙を見て志喜屋さんは誰に恋して負けているのだろうかと考えながら読み始めた。

あまりにも浅はかであった。
アニメ1期の時点でその手の匂わせがなかった時点で全てを察するべきだった。いつだって俺が気が付くのも判断も遅い。

八奈見、焼塩、小鞠。この3人は好きな人から天秤にかけられて負けたヒロインだった。言うまでもなくマケインだがヒロインではあった。
対して志喜屋夢子、ひいては4巻の内容は全く方向性が違う。
こいつがヒロインレースで勝てるわけないだろという方向性。あるいはヒロインでもなければどのレースへの参加権を持っていない。
この方向性での負けヒロインとして描かれている。

4巻は全体的にラブコメ作品としてのギアを格段に上げてきている。
今までの温水は第三者であり彼の介入は根本的な解決にもトラブルにもなっていない。あくまでも負けヒロインたちを綺麗に成仏させてあげるための存在であった。

4巻で志喜屋夢子さんは温水に振られているからラブコメとしてのギアが上がっているのだ。
あの体育館での質問で夢子さんが負けたと捉えるのが自然だ。なぜならばあの時温水が首を縦に振っていたら恐らく2人は付き合っていたから。
客観的に温水が夢子さんをフったという事実が産まれていることは否定できない真実なのだ。

温水もまた負けヒロインを生み出す側に回っているという事実に肝が冷えた。
この展開は佳樹編までやらないのかと思っていたから。じゃあ逆に佳樹編どうなっちまうんだというのは脱線である。

前述の通り私はまだ4巻までしか読んでいない。なのでもうこんなんどっからどう見ても温水は天愛星ちゃんとくっつくのが正しい在り方であるとしか解釈していない。

ではなぜ志喜屋さんのカップリング相手が俺である必要があるのか。
答えは簡単。温水がフったからだ。

温水、俺がお前をも負けヒロインにしてやる。
その想いだけがこの肉体を駆り立てる。

温水には遠い未来なのか遠くない未来かで必ず一度は後悔する時が来る。あの時首を縦に振っておけば良かった、と。
そうなった時、お前は真の意味でマケイン達に肩を並べられるようになる。
あるいはああしていれば得られていた未来があったかも……と。
だがその時に夢子さんの隣にいるのは俺だ。

夢子さんについてあまりにも掘り下げられていない知らないことが多い。
古都と出会うまではどうしていたのか。
クラスではどうしているのか、今までどうしてきたのか。疑問は尽きないけどね。

ただ1つ、確かなことがある。

夢子さんの中には「憧れ」がある。
自分の中の喜怒哀楽が良く分からない、それを出せる人はキラキラしている。そうなりたいと彼女の口から出たこの言葉だけはリアルだ。
俺がこの宇宙で最も好きな言葉であり性癖の形である「コンプレックス」だ。これが彼女を突き動かしていたことは確かだ。
結局のところ人間の原動力とはこれに尽きる。

「憧れ」がオリジンだと仮定すれば見えてくるものは多大にある。

「君は私と……付き合いたいの…?」
特にこの言葉に関しては情報が少ないからこそ考察と解釈によって各々抱く答えが違ってくる。
これは志喜屋夢子の始まりのエゴだ。

特定の誰かに憧れるだけの時期は終わった。
イヴの夜を経て慎太郎と古都のように誰かと付き合うということによって生まれる化学反応へ真の意味で興味を持ったと解釈できる。

故に「付き合いたい」と思われることは夢子さんにとって初めて認知する世界だ。
即ち、憧れるだけの人間が憧れられることに興味を抱いたということだ。

伝えたい。笑おうとしているあなたが一番素敵だと。見よう見まねとは、誰かの模倣とは自分にとって未知の可能性へと挑戦である。それを続ける夢子さんが魅力的だと。

なによりも、付き合いたいのだと。

悔しい。幸せになってほしい。
否、幸せにしたい─────笑ってほしい。
これ以外の感情などこの世には必要ではない。

イドレベルの話であるが人間は普段不愛想で無表情だけは俺にだけは笑ってくれる女の子が好きだ。
平成の亡霊を見ろ、綾波レイや長門有希が引き起こしたムーブメントがその全てを物語っている。
【アルエ】を聴け。BUMP OF CHICKENの藤原氏が罹っているのだからこれはもう誰にも避けられない。

志喜屋夢子さんとは令和の世にあってそれはもうそれはもうこの欲求をカリカリに駆り立てる存在である。
だから俺も言わなければならない。
俺夢だと。俺がいい。俺のために笑ってほしいんだと。誰かの為でない、俺自身の願いの為に。

夢子さんが作中で見せた初めての笑顔、これは温水に取られた。
口の端を持っての笑顔、あれは本当にプレシャスという他にない。
だが、まだだ。まだ真の笑顔、自然に生まれる笑顔は残っている。

これこそが俺夢の神髄である。
並の作品であればカタルシスに用いられる究極の一撃だ。だが夢子さんはマケインの烙印を押されたばかりに真の救済を得ることは叶わなかった。
欲しい、見たい。夢子さんの幸せを目の当たりにしたい。
結局のところこれが全てだ。
人類補完ならぬ脳内補完を行わねばならぬ。志喜屋夢子の真の笑顔を。誰にも負けヒロインだと言わせない世界を。

志喜屋夢子さんが自分の中に渦巻く感情が恋だと自覚するところが見たい。それが恋だと認識しながら今までと同じように飄々と接してくるのか。
実家が太いと言っていたがどのレベルなのか。家ではどんな生活を送っているのか。
俺のこの自分以外の人間に世話されてほしくない感情にどう向き合うのだろうか。疑問は尽きないけどね。

答えの全てはこの世に存在しない。探してもない。

ならば創るしかないだろうが。頭の中で、俺の考えた最強の志喜屋夢子を。
だから今ここにいる。最強のカップリングがこれだと言うことは俺夢を信じる自分の魂を裏切らず救うことに等しい。私は文字でぶん殴る。

今後の展開など今は知らない。
答えがあるかどうかは些事に過ぎない。
大切なのは真実に向かおうとする意思だ。

例えばなぜ彼女はギャルになったのか。
これは恐らくはトレース元がいると考えられる。
であれば中学生の頃かあるいはもっと前か。
彼女をギャルになりたいと思わせる何かとの出会いがあったのか。それとも食堂にいた友達にコーデをされ続けいつの間にかギャルになっていたのか。

感情表現が豊か、という観点で見れば確かにトレースするならギャルだな。と納得を得られることはできる。
真の理由をその口から聞くまで考えながら生きていくしかないのだ。

しかしてその時間こそが人生を豊かにする。
俺の知らない夢子さんのことを探訪する時間にしか人生の本質は宿らない。

笑うか? 俺を。笑うがいい。無様でいい。
しかし戦わなければ男は負け犬にもなれやしない。

そうでなければ対等な立場になれない。
勝てなかったというだけでマケインの烙印を押された志喜屋夢子さんに寄り添えない。

何度でも言おう。夢子さんは負けていない。
そして、夢子さんが負けていないという事実を作ってくれたことに感謝をしている。

マケインはフラれてなんぼの作風である。
となればやはり我々も応援者的な目線であったり温水寄りの観点での視聴が主になる。
そんな中でガチ恋需要をも満たせる戦いが用意されていたこと、それだけでも魂を燃やすに値する。

その相手が志喜屋夢子さんであること、本当に喜ばしい。俺はまだまだ強くなれる。強がる俺もまた最強。

俺は先に行く。この先夢子さんがどうなるのか見なければならない。

俺の勝ちヒロインである彼女、その可能性を。

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