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足跡の収斂

「あなたはあと何年何か月何日何時間何分何秒生きられます」なんて誰も教えてくれるわけじゃないから、いつ死んでも良いように今を生きられたらいいけれど、そうもいかないから僕らは今日もノラリクラリと過ごしてしまったりするよね。

「WAGON TRACKS」が出ました。

ご存じ僕たちKamisadoの新しいミニアルバムだ。
ついにこの日を迎えた!
どれだけこの日を待ち焦がれてただろう。僕らは早くみんなに聴いてもらいたくてうずうずしていた。
もうこれを読んでいるみなさんは聴いてくれましたか?どんな風に受け取ってくれたかな。
今回からしばらくに分けて、「WAGON TRACKS」が完成するまでの僕の心境や想いなんかをそれぞれの楽曲の話に沿ってつらつらと書いていこうと思います。未だに僕のこの文章を楽しみにしてくれている人がどれくらいいるのか分からないけれど、これが意外と僕自身が楽しんでやっていることなので今回もやってみようと思います。語りたがり書きたがり。


制作の始まりは今年の2月から3カ月にわたってお届けした
「Morning Bell」「Cheese Cake」「Converse」のリリースでした。
この時はまだなにも今作の展望のないまま、なにか新しい曲をリリースしたいという気持ちで動き出した。そしてリリースのあと、4曲入りのEPを出そうという話で一度まとまりました。
前作「our city dawning」が都市に生きる人々の生活を描いた章立てのある物語のようなコンセプトで制作した。なので次は同じような流れではないものを作ろうとしていたんだけど、なかなか良いテーマが決まらず難航。

しかし、少年期と青年期の狭間のモラトリアムを生きる主人公の葛藤を描いた「Converse」という楽曲をヒラノが作ってきたあと、僕はひとつヒントを得たんだ。
そうだ、「成長」がひとつのテーマにならないだろうかと。
このあと僕が書き上げたのが「HELLO, NEW WORLD」の原曲にあたる「October Rain」という仮題のついた楽曲。歌詞はまさしく幼さには戻れない年齢になっていく自分を描いた歌でした。

だけど出来上がった歌詞に僕自身がなにか違和感を感じ始めてしまった。それこそ25歳という年齢と歌の内容に埋めがたい距離感のようなものがあるように思えたのと、単純に突き抜けない感じを。
その後「HELLO, NEW WORLD」へと歌詞を書き換える頃に頭に浮かんだのは「時間の流れ」というテーマ。過去・現在・そして未来における自分自身のことを時に振り返り、時に向き合うことでなにか生み出せないだろうか。
むしろ「成長」を見せていくために、今僕らは「これまで」を作品にできたらいいんじゃないかな、と思いました。

こうして生まれてきたのが残りの5曲。
ざっくりと分けると過去が
「HELLO, NEW WORLD」「Amnesia」「No way out」、
現在が「放熱」、そして少しだけ未来を感じさせるのが「ナイトダイバーズ」だろうか。

既存3曲も収録しないのはもったいないと感じていたので幅を持たせるために入れることにした。そして7曲のつもりが「ナイトダイバーズ」が完成したため8曲へと、どんどん作品の規模感は大きくなっていきましたが最終的には音楽的・精神的には芯の通ったものになったなと感じています。
これが今の僕らの姿であり、我々の足跡の収斂なのです。


新曲については個別に書いていくつもりなので、既にリリースされていた4曲について改めて少し述べてみます。

#1 HELLO, NEW WORLD

シングル3曲と今回の制作を分けて考えるとすれば、これが始まりになった曲。自分がこのバンドに提供した曲の中では「バックアレイ」と同じくらいバンドの顔になれる曲が作れた!と感じた。
この曲が浮かんでくるまでの期間、若干スランプになっていたんですがこれを完成させたことで「オレはまだまだ良い曲が書ける」と信じれるようになった。

#2 Morning Bell

ヒラノはストイックなギターリフで曲を構成するのが僕よりも上手い。ギタリストであるが故だろうけど、この手の曲は僕には書けないね。リリースの後しばらくライブを重ねていたので、今回ボーカルを録り直したかったんですが時間の都合でできず残念。この曲はライブでやるたび良くなっています。

#3 Cheese Cake

「HELLO, NEW WORLD」の主人公がある種の陽性を気取っているとして、その姿に少しの不誠実さを感じてしまうとしたら、彼の正体は「Cheese Cake」の主人公とイコールだと言いたい。「Amnesia」「No way out」「放熱」の歌詞はすべて「見つけようハローニューワールド 星のない夜も怖くないよ」と声高に歌うヤツの影を描き出すために書かれたが「Cheese Cake」もそのテーマに沿っていると言える。
時に甘さも酸っぱさもほろ苦さもあるチーズケーキは僕らの生活の縮図だろう。
幸福というものは誰かに連れてきてもらうものではなく、結局は自分でなるものだ。この歌の主人公は「誰か」が自分自身で幸せになるための「きっかけ」を探しているだけ。それは大きなお世話かもしれない、という自己矛盾を薄ら抱えながら彼は今日も歌わざるを得ない。

#6 Converse

これはヒラノの秘蔵っ子だね。この歌にKamisadoらしさを感じている人も多いんじゃないかな。涼しさと焼け付く暑さをどちらも感じる曲。さっきも話した通り「WAGON TRACKS」の結果的なスタートになったと言える曲。
時間をかけてバンド全員が大好きになったため、とうていセトリから外れることはないね笑
この曲はステージで演奏すると、フロアのみんなになにか大きな熱の塊を投げ込んだ気持ちになってとても気分がいいんだ。
今まで真面目なMVも変なMVも作ってきたけど、僕は「Converse」が一番のお気に入り。

シングルで出ていた3曲は今回ミニアルバム収録に際して、マスタリングをやり直しています。楽器、特にギターの音が少し立って聴こえるようになったかな。もしよかったら聴き比べてみてね。


「WAGON TRACKS」リリースパーティー大阪編が今週金曜に迫っています。
まだチケットを持っていない方はこちらをチェックしてね。

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