悪性リンパ腫になった話⑥治療開始

1.抗がん剤治療開始

抗がん剤はR-CHOP療法を21日間×6コースすることになり、1回目は入院、2~6回は通院で行いました。

【R-CHOP療法のスケジュール】

1日目︰①~④の抗がん剤を順番に投与
1~5日目︰飲み薬で⑤を服用
6~21日目︰休薬期間

①リツキシマブ(リツキサン)
②ドキソルビシン(アドリアシン)
③ビンクリスチン(オンコビン)
④シクリホスファミド(エンドキサン)
⑤プレドニゾロン(プレドニン)

【R-CHOP療法の主な副作用】
嘔気や嘔吐、骨髄抑制、便秘、手足のしびれなどの末梢神経障害


午前中から15時くらいまで時間をかけて、順番に投与が始まりましたが、こんなものかと思うくらい、何事もなく、食事も普通に食べました。

副作用っていうけど、この調子なら乗り越えられそうだ。と余裕さえありました。

しかし、夕食以降から、胸のムカつきが始まりました。
水を飲んでも吐き気が襲うので、ベッドでエビのように丸まり、ジッと耐えましたが、最終的に嘔吐しました。

抗がん剤を投与するのは1日目のみで、1~5日目にプレドニンを錠剤で飲んだあと、21日目までは休薬期間でしたので、一見楽かと思いきや、実際は、次から次へと発生する副作用との戦いでした。
特に血液がんは他のがん治療と比較し、使う抗がん剤の数が多い為、抗がん剤ひとつひとつに異なる副作用がありました。

2.最もしんどかったのは、吐き気



1~5日目に飲むプレドニンは制吐剤でもあったのですが、水であろうと口に入るもの全てに吐き気があった上、このプレドニンは一度に10錠飲むノルマがあり、舌に少しでも触れると吐き出しそうになるほど苦い錠剤でした。
飲んだ後すぐ気持ち悪くて吐いてしまうので、より強力な制吐剤を点滴で併用しました。

ただ、制吐剤は胃腸の動きをとめる働きがあるので、副作用で便秘になり、お腹がはりました。
腸の手術後なので、また腸閉塞にならないか心配でした。
その対処法として、下剤を飲みました。
副作用のイタチごっこです。

3.血管炎


腸の入院中ずっと点滴針を腕に留置していたので、元から腕が痣だらけだったのですが、抗がん剤はきつい薬の為、血管炎になり、血管がかたくなりました。
食事が出来ず、点滴で栄養を取っていたのですが、なかなか刺せないし、使える血管がどんどんなくなり、あらゆる箇所に点滴針を刺したのもいい思い出です。

4.骨髄抑制による白血球低下


抗がん剤で骨髄を攻撃されるので、1週間を経過したあたりから白血球の数値が下がりはじめ、3桁台になりました。

白血球が下がると、免疫力が低下します。
白血球が下がってもそれほど実感はないのですが、
些細な感染が重症化するので、身の周りを清潔にし、面会者も制限されました。
また倦怠感や発熱もあり、口内炎も出来やすい時期でした。

5.周りの患者さん


血液がん専用の病棟にいた為、周りはみんな血液がんの方ばかりです。

白血球が低下してる期間は、ベッドや無菌室で過ごす人が多いですが、それ以外は食堂でごはんを食べたり、フロアを歩いたり出来ました。

はじめての抗がん剤治療だった私は、不安も大きく、右も左もわからなかったのですが、私が吐き気で苦しんでいる時、向かいの患者さんが「これ少し楽になるよ」とアイスキャンデー(ほんとにオススメ)をくれたり、食堂で少し会話したり、色々と助けられました。

がん治療は孤独な戦いです。
私はお見舞いに来てもらえるのが、何より楽しみで元気の源でした。
周りの人もそうだったと思います。
実際、お見舞いに来てくれる人の前では明るく振る舞うのに、一人になると、「死にたくない」と泣く人もいて、みんな死の恐怖と戦っているんだと実感しました。

私は1回目の抗がん剤治療のみ入院でしたが、治療法を探りながらずっと入院が必要な方もいて、効果がある結果を約束された人ばかりではありません。
そこには生きたくても生きれない人もいました。

私自身も、とは無縁の生活の中から、このままだと死ぬんだという、リアルを受け入れるには時間がかかりました。

そんな入院生活を経て退院し、自宅療養と通院での抗がん剤治療が始まります。

続く

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