見出し画像

東松島市~フィールドワークから感じたこと~

 2021年12月19日から20日にかけて宮城県東松島市に訪問してきました。
3月にインターンシップで市の方やチームメンバーと東松島市の活性化に向けて必死で議論しました。ただコロナ禍でオンラインとなり、(まだまだ未熟ながらも)地方創生を志す身としては実際に現地に向かわずして議論の意味があるのかと思いましたが、非常に有意義な時間になったと思います。新しい地方創生の在り方を目の当たりにしたように思いました。
 今回の訪問はオンラインインターンシップから9か月を経て、ようやく現地に向かった際に感じたことを駄文ながらまとめたいと思います。


1.まだまだ色濃い震災の爪痕

 愛媛県出身の私は人生で初めて東北に行きました。東日本大震災の日はまだ小学生で、震災はテレビの中で起きた出来事でした。当時、震災を体験したわけではありませんが子どもながらになにかしなければと思い、学校で募金活動をしたりランドセルを寄付したりしたような記憶があります。今回の訪問で震災の爪痕を目の当たりにしテレビからは当然わからない深い悲しみを感じました。

震災当時から残る旧野蒜駅(筆者撮影)
奥の線路は津波で曲がっている

 今回の訪問で実際に震災遺構である「旧野蒜駅」を訪問しました。駅舎の中の3.7メートルの線、曲がった線路、壊れた券売機、震災当時の映像・写真が津波の激しさを感じさせました。さらに震災の深刻さを感じさせられたのは運河から海にかけて何もない荒野が続いていることでした。震災以前は当たり前の日常がその荒野にあったことを想像し、心が痛みました。
 渥美市長はこれからは「心の復興」だとおっしゃいました。震災から10年鉄道などのインフラや運動公園などは新しく完成しました。しかし、まだまだ心に様々なものを抱えている方々は多いことでしょう。市役所の方や市民の方とお話しましたが、自分なりに気を使いました。平気なように見えたけど、たぶん心の奥深くには傷を抱えているかもしれない。テレビから見ていただけの人間には情けないことにできることが思い浮かびませんでした。安易に同情できない深い悲しみを感じました。

2.市の力強さ

 地方創生インターンシップで私たちのチームは東松島市のスポーツ振興を扱いました。9か月振りにお会いした市の方々からは熱いものを感じました。
 「絵に描いた餅で終わらせない」
 「市民の方々にスポーツ振興を実感していただく」

 その言葉通り私たちが参加した3月のインターンシップから様々なことが前進していました。楽天イーグルスをはじめプロのスポーツ団体と提携し震災から復興した運動公園をスポーツ振興の起点にしようと大きく動き出していました。
 また、市をフィールドワークさせていただいた際、運動公園はもちろん最新の機器を導入した体育館や小山を削って高台に作った小学校、整備された道路などを見て、これらは震災から復興してきた証だと思いました。
 これからも前へ前へと進んでいくことを応援するとともに、私自身はこれからも東松島にかかわり続けていこうと心に刻みました。何でもいい小さなことでもいいから東松島市の一員として貢献していきたい、そう思いました。

3.地方創生の難しさ

 私は地方創生には地域の声に寄り添って丁寧に進んでいく姿勢が非常に大切だと思っています。私自身の失敗経験でもありますが、世の中には「地方や地域のために何かをやってあげている」というような姿勢の方々もいると思います。実際に行動をされているという点で地方にとってインパクトがあると思いますが、独りよがりな活動になりがちな感じがします。独りよがりで自己満足で終わる地方創生ではなく、地域が心から求めていることを実現していく地方創生を目指したい(その実現には痛みが伴うこともあるとは思いますが)この想いから地域に寄り添うことを大切にしたいと考えています。
 東松島市では、津波の被害にあった旧野蒜小学校を残してほしいという声が多かったようです。地域柄、旧野蒜小学校の卒業生の方が多く住まわれており、また小学校で亡くなってしまった子どもたちのことを忘れないためにも旧野蒜小学校の校舎の再活用の方法が模索されたようです。その結果、旧野蒜小学校は「これからの時代を支える子どもたちの未来に命の大切さを伝えたい」という想いから「希望(きぼう)」「防災(ぼうさい)」「未来(フューチャー)」という言葉を組み合わせた「KIBOCHA」という施設になりました。

 地域の期待通り再活用された旧野蒜小学校でしたが、地域からは不満の声もあったようです。一部の方々からすると大切な思い出の地が変わっていくことへの抵抗があったのかもしれません。また、新しくなった体育館に対しても導入された機器がオーバースペックすぎるといった意見もありました。  
 地方創生に限ることではないのかもしれませんが、すべての人の声を須らく聴くことは難しいと思います。どうしても誰かは不満を感じるし、いざ変化が起きてから「こんなはずじゃなかった」と手のひら返しが起こることもあると思います。一つの課題を解決するために何かを変えれば、また新しい不満が出てくる。終わりが見えないように感じますが地道に声に向き合いながら一歩ずつ進み続けることが大切なのだろうと感じました。地方創生の難しさを実感した東松島訪問にもなりました。

4.これからの自分

 今回の訪問を今回だけで終わらせないために、これから自分がどうしていきたいのか考えました。まず今回、東松島市の方々やインターンシップの仲間たちからいただいた熱を原動力にしていきたいです。今、私は愛媛と都会、愛媛とほかの地方をつなぐコミュニティをつくろうとしてします。まだまだ未熟ではありますが、コミュニティの実現に向けて邁進したいと思います。まだまだ地方創生への道は遠いですが、少しずつ1歩でも半歩でも進み続けたいと思います。
 最後にはなりましたが、今回のインターンシップの機会をつくってくださった運営の皆様、東松島市の方々、そしてぶつかりながらともにインターンシップを戦い抜いたチームメンバーに感謝したいと思います。これからも東松島市にゆかりある人間として市に関わっていきたいです。

長文失礼しました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?