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カップリング曲(B面)が大好き! サザンオールスターズ/冷たい夏

「カップリング曲」という言葉は、今となってはもはや死語のような気がする。

昨今では音楽を聴く際は、多くの人はCDではなくサブスクなどで聴いており、配信でのシングルは正しく言葉通り一曲のみで公開されることが増えた為、シングルに対してのカップリング曲という概念、そして存在が消えつつある。

そんな中、私はカップリング曲という存在が好きなのだ。

シングルのような派手さはなく、アルバムにも収録されないがためにファンからも忘れられてしまう、しかしそんな陰に隠れた曲たちの良さに気づけた時、私はとても得した気持ちになる。有名な曲、人気な曲よりもちょっとさえない感じのものに惹かれる私の天邪鬼な性格によるものもあるが、そんな時代に埋もれていきそうなカップリング曲に注目していきたい。

サザンオールスターズ/冷たい夏(ネオ・ブラボー!! c/w)

この曲は、サザンオールスターズが1991年に唯一発売したシングル「ネオ・ブラボー!!」のカップリング曲である。

このシングルは収録された二曲とも夏をテーマにした曲であり、サザンといえば夏という世間のイメージにぴったりなポップなA面「ネオ・ブラボー!!」に対して、こちらの「冷たい夏」はスローテンポな涼しげな曲となっている。

当時のサザンは90年に発表した同名の映画のサウンドトラックも兼ねたアルバム「稲村ジェーン」の作風から見られるように、ラテン音楽を積極的に取り入れていた時期であった。このアルバムではタイトル曲や「愛は花のように (Olé!)」では曲調もラテン調かつ全編スペイン語の歌詞で歌っていたり、インスト曲「美しい砂のテーマ」ではガットギターを全面的に使うなど、かなり挑戦的な作品となった。

この曲もその延長線上にあるのか、どこかボサノバ的な、哀愁ある雰囲気も感じる内容となっている。ボーカルのファルセットを多用した切なげなサビや全体的に使われているハーモニカも印象的。当時の社会情勢に影響を受けた、暗喩表現が多く使われている歌詞のA面に対して、こちらの歌詞はとても詩的で美しいものになっている。メンバーからも気に入られた曲なのか、この時期のバラードをまとめたベスト「バラッド3」にも収録された。

更にこのシングルの面白いところは、両曲ともオリジナルアルバムには未収録となっており、更にB面がA面を差し置いてベストに収録されているという点である。

通常、シングル曲はその時期のアルバムにも収録されるというのが大半だが、このシングル曲は次のアルバムどころか、後続の全てのベストアルバムからも総スカンを食らっているという珍しい曲である。

実はサザンはそういったオリジナルアルバムに収録されなかったシングルはかなり存在するが、ベストを含め全くアルバムに収録されていないシングルはこれと1984年に発売された「Tarako」、2000年に発売された「この青い空、みどり ~BLUE IN GREEN~」の三曲のみである。という訳でA面の「ネオ・ブラボー!!」は正真正銘このシングルでしか聴けないレア曲となる。

まとめ

個人的な偏見だが、B面となったバラード曲には外れが無いと思っており、この曲もその一つだと感じている。曲調も相まって「知ってる人だけがわかる隠れた名曲」感があってなんとなく愛着が湧いてしまう。シングルを差し置いてベストにも収録されたという点からもメンバーからの評価の高さが伺えるところもいい。是非とも暑い夏の日に聴いて涼みたい名曲だ。

レア度

★★★☆☆

名曲度

★★★★☆

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