無痛分娩について。
『無痛分娩』という言葉は広く知られ始めている。
生田斗真がこの言葉にSNS上で触れてくれたこともある。あまりいい意味ではなかったが。
広く言われている定義や、知識とは少し異なる部分もあるかもしれないが、一個人の意見としてこの先は文章を作りたいと思う。エビデンスに基づくかは不明である、その点了承して読んでほしい。
わたしの勤務する病院では、
95%程度の妊婦さんが無痛分娩を希望する。
『無痛分娩をしたい』という視点で病院を探して、当院を選ぶ妊婦もとても多い。ほとんどそれなのではと思ったりする。
24時間体制で妊婦希望のタイミングで無痛を入れてくれるという病院はそう多くないのかもしれない。
計画無痛という方法を採用する病院も多いようだ。
そうすると、
「無痛分娩を希望していたけれど、無痛を実施できる医師がいないタイミングで陣痛発来してしまい残念ながらできませんでした。」
「夜間に緊急入院になりお産が進んでしまったので、希望していたけれど無痛を入れてもらえませんでした。」
「深夜に入院になり、無痛入れてもらえないなと泣きそうになっていましたが、運良く麻酔科の先生がいらっしゃったみたいで、夜だけどいいよ〜と入れてもらえました。」などのことが発生する。
その一方で24時間体制であれば、
朝、昼、夜、深夜、時間帯問わずに本人の希望のタイミングで導入を検討してもらえる。
妊婦にとっては大変ありがたい制度である。
産科スタッフとしては、
24時間無痛導入はまあ大変なこともある。
夜勤帯は麻酔科医が少ないため、同時にお産が進めば優先順位を決めて順番に、、ということになる。
無痛導入には助産師も割と時間を取られるので、何人もお産進行者を受け持っていると手が足りなくなる。緊急の帝王切開手術が入れば、麻酔科医が1時間程度戻ってこないこともある。
そういう点で、患者を待たせてしまったり、陣痛にしばし耐えてもらうなども申し訳ないが発生する。
個人的には、無痛は本当に素敵な処置だと思う。
私自身が今後出産する機会を持てるなら、無痛分娩をしたいと思う。
なんといっても痛みが弱くなるのだ。
これはとにかく偉大だ。地獄から天国という表現を使う妊婦が何人もいた。
しかし勘違いしてほしくはないが決して『無』にはならない。耐えられる程度に緩和されるというイメージである。
そもそも痛みの感じ方にも差があるし、効きにも差は出ることがある。
普段から強い生理痛を感じている女性は意外と耐えられたりする。生理痛ほぼなしの人生だった人は序盤から相当苦痛になることもある。なんとなくの私の印象である。また、お産の進みがとにかく早く無痛が追いつかないなんてこともあり得るのだ。
同じように無痛を導入しても、
「痛みがほとんどなくなって、快適でした。無痛にして本当によかったです。」
「全然良くなった感じがありません。効いていたんですか?無痛の代金を支払いたくありません。」
といった患者に出会ったことはある。
無をイメージして無痛分娩に臨むと、相違を感じてしまうのかもしれない。
助産師的にはどちらの患者にも効いていたように思う。
痛みが緩和されると
陣痛中も、お産の瞬間も、産後もある程度落ち着いて過ごせる。
痛くて大パニック、大声で叫ぶ、とにかく取り乱す、なんてことになる可能性は限りなく0に近い。
しっかり自分の力でいきむことができたり、赤ちゃんが出てくる瞬間をしっかり見れたり。
会陰切開をするとなっても、裂傷を縫うとなっても、無痛が効いているので穏やかな表情で過ごせて、医師から言わなければ気付かないと思う。
そして産後の回復が割と早い印象もある。
無痛なしで強烈な痛みに耐え続ける数時間はかなりの体力が削られるのは容易に想像できるだろう。痛みが緩和され、分娩進行中にも適度に休息を取れれば産後に体力が残るわけである。
これがとにかく最大のメリットだと私は思う。
メリットがあれば必ずデメリットもある。
今回はメリットを述べるところでやめておく。
今後デメリットに触れる文章も作るかもしれない。
無痛分娩を選択肢に含めた上で、女性自身が納得のいくお産の方法を検討できるような世の中になればいいなと思う。