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助産師になったわけ。
世の中には助産師として活躍している人が沢山いる。みんなそれぞれ助産師になろうと思った理由を持っているはずだ。今回は私の助産師になったわけを綴ってみようかと思う。
最初に断っておくが、私の持っている理由はどちらかというと不純で、他者に紹介するほど美しくない。
それでもちゃんと今日まで働くことは出来たので、必ずしも立派な理由がなくても助産師にはなれるということをお伝えしようかという意気込みである。世の中にはこんな助産師もいるよ〜、、という程度に眺めて頂けたらと思う。
看護師や助産師は人の命に関わるこの世になくてはならない、素晴らしい職業だ。
私は小さい頃に入院を経験した。
その際に看護師さんはお医者さん以上に自分の近くで何から何まで様々なことをして下さり、自分を支えてくださった。それがきっかけとなり看護師に強い尊敬と憧れを抱き、『看護師になりたい』と思った。
それからは他の職業に見向きもせず、看護師になるために一直線に走り続け、大学の看護学部に無事入学した。
ここまではよかった。私の思い描いた通りだった。
大学に入り、色々な専門分野を学ぶうちに、看護師にはなりたかったけど、
興味のある分野は何か?
何科がいいのか?
何が自分に向いてるのか?
そもそも自分に看護師できるのか?
色々なことが全くわからなくなった。
1年生、2年生、、と実習をするたびに
高齢者の患者相手に看護を展開することがほとんどであり、病棟にいる患者も高齢者が大半だということに気が付いた。
それと同時に高齢者と関わること、高齢者看護が苦手だということにだんだんと気付いてしまった。
自分は俗にいうコミュニケーション能力の低いタイプで、高齢者と関わるとスムーズにコミュニケーションを取れないことが多々あった。
何度も聞き返されたり、意図する意味をとってもらえなかったり、向こうからよくわからない内容を伝えられたり、、。
その度に「あ、、、どうしよう、、、。」と焦ってしまい、その後の言葉が続かなかった。
もちろん患者さん全員が全員そういうわけではない。看護するこちら側が工夫をしたり、相手の個別性を捉えて関わることが出来れば、相手の持つ力を最大限発揮してもらうことができる。看護師としてそうすべき、ということは授業でも散々習ったし理解してはいたつもりだが、どうしても自分には難しいと感じてしまい、苦手意識が大きくなった。
そして、高齢者相手だと「看護」に加えて「介護」味が増えてしまうという印象もあった。
必要な治療に応じて、点滴や内服薬の管理など医療的な介入を実施することはもちろん大切だが、ADLが自立していない患者も多い。
そのため、
食事の介助
清潔行動の介助(シャワー浴、清拭、洗髪など)
排泄関連介助(おむつ交換、トイレ付き添いなど)
移動の介助(付き添い歩行、移乗など)
といった、本来看護師でなくてもできる業務も多い。少子高齢化が取り沙汰される世の中で、こういった業務の需要は今後も増えるだろうし、とても大切なことではあるが、看護師になって私がやりたいことはこれなのか?と疑問符が自分の中で浮かんでしまった。
一般病床であればどこに行っても、高齢者に出会うだろうなと思い、私はこれを仕事として毎日毎日繰り返しできるのだろうかと迷いながら日々過ごしていた。
そんな中、突如出会ったのが母性看護学に欠かせない助産師という職業である。
正直、大学2年生になるまで助産師について、全く興味なく、助産師という単語しか知らなかったに等しい。
入学した大学が4年間で助産師の資格も取れる大学であると後から知ったのだ。高校生でありながらそれを目当てに入学する人もいたのだが、私は全く知らずに入学してしまった。
自ら希望を出し、選抜試験を通過できれば助産師養成課程に進めるという訳だった。
ここで私は
成績がまあまあ良かったので、選抜試験を受験すれば受かる可能性があると思ったこと
多くの場合妊娠前後の若い女性と新生児が看護の対象であること
自分が今後出産の機会を持った場合に役立ちそうだと思ったこと
の3つの理由だけで、助産師志望願書を提出した。
私の中の志望理由は本当にこの3つだけだったので、選抜試験において実施される面接で、志望理由を聞かれても困るな、、と思った、、。挙げ句の果てに助産師課程に既に進んでいた先輩に『志望理由って何にしましたか?』と尋ねて、それを丸ごと面接で答えてしまう始末だった。
こんな人が志望するのは、大層真剣な同級生たちにも失礼に当たりかねないので、助産師への強い希望があるっぽい雰囲気は、周りの友人たちにも、先生たちにも感じてもらえるような演技はしておいたつもりだ。
結果的に選抜試験を通過出来、助産師の資格を取得し今に至る。
以上の通り、こんな理由で助産師になったが、自分に向いているのかどうかは正直わからない。
お産をとりたい!という気持ちもないし、
一生助産師としてやっていきたい!という気持ちもない。ただ、医療従事者として働く上で、産科は興味深い分野だなとは一個人的に、一女性的に思う。
今は大学病院で勤務している訳だが、将来的に助産師資格を持っていれば、働く場も働き方もたくさんあると思うし、助産師になって後悔したことは今のところ何一つない。
その点においては、やる気に満ち溢れていないのにこの選択をした当時の自分を誇りに思う。