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ゲムシェン・ゼ・エムルパ


“Gemshen ze Emlpa” Art Forum Yanaka Tokyo 2000
Showed a novel and some artworks what appeared in the novel.
 この展覧会では「ゲムシェン」という架空の競技で使われる道具や、選手のフィギアなどを実際に立体作品として発表し、さらに、その競技にかける人々を描いた小説も同時に出版しました。


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「あんなに素早い動きは見たことないよ。見事だ」  少年は逃げ足には自信があった。貧しい暮らしの少年は、他人に何かを認められる事に対して敏感に反応する。少し照れたように目を伏せ、口元に微笑みを浮かべた。 「おまえ、ゲムシェンやってみねぇか」 「えっ」  少年は一瞬鋭い目つきでアクレイを見たが、すぐにまた石畳に目を落とした。
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 ゲムシェンの一流選手として活躍した男、アクレイは32年前の世界大会予選で、足首を骨折し引退。スラム街で暮らす彼の目の前に、ある日、万引をしてチーターのようにすばやく逃げる、ずば抜けた運動神経をもった少年エムルパが現れた。アクレイは自らの夢をその少年にたくし、トップゲムシェンアスリートとするべく、執念のトレーニングをはじめる。超人気スポーツであるゲムシェンの地方大会で、新星のごとくデビューし優勝した少年エムルパは、一夜にしてマスコミの脚光をあびてスターになるが、その舞台をのぼるにつれ、厳しい現実が彼の前に高く立ちはだかる。  生まれながら、ゲムシェンの選手としての体格と素質を持ち合わせたうえ、英才教育を施され、各国のジュニア大会で連覇を続けるヨーシング。プロへの近道であるソン=イーボレックカップで、そのヨーシングにエムルパは無惨に敗退する。それ以後、最初は行き違いの多かったアクレイとエムルパに、本当の戦いに向かう時が訪れる。  ゲームソフト製作会社が提供する毎年恒例のエキジビジョンマッチ、”カーリーツ”で ヨーシングとエムルパは再び顔を会わせる。二人の若い才能の対戦に会場は、いや応なく盛り上がる。ゲムシェン史上始まって以来の名勝負の火ぶたがきられた。    注: ゲムシェン 直径2.3メートルほどの木製車輪の中に入り、その中で走る事により、車輪を回転させ、同時にその中で自由な身体表現をし、その美しさと、車輪の回転の速さを共に競う競技。古代メークレンツ起源の伝統的なスポーツ。現在、トップゲムシェンアスリートのフーリックやムワディエの年俸は、300万ヘイグとも言われ。知名度はその国の大統領と並ぶ。

アートフォーラム谷中 2000年 東京


#art #munemasa

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