【旅】マケドニア滞在期 その2
友人の実家を囲むその土地一帯に親戚が住んでおり、
親戚で「村」を構成しているような状態だった。
実家の庭や畑を抜けると、兄弟の家に行ける感じ。
畑の真ん中には屋根のついたベンチがあり、
そこで女性たちは談笑し、子どもたちは庭で遊んでいた。
村中の親戚の家に上げてもらい、紹介してもらった。
親戚の中には何人か新婚さんがおり、
その夫婦の寝室まで見せてくれた。
ええんかいな、と思いながらも
せっかくなので覗かせてもらった。
どの寝室にも必ず、聖書があった。
イスラム教徒の生活の指針なのだと理解した。
若いお嫁さんのヒジャブが美しかった。
親戚ではなかったように思うが
ある人の家にはぶどうが豊かに実っており、
気前よくとらせてくれた。
ある日、ショッピングモールに行ったとき、
地震が起こった。
フードコートのようなところで食事をしていると、
突如地響きがして建物が大きく揺れた。
私はまだ小さかった友人の甥っ子を
咄嗟にかばい、みんなで建物から逃れた。
ショッピングモールの前は人だかりができていた。
なんとスコピエで53年ぶりの地震だったそうで、
「さとみが日本から地震を連れてきた」と
笑われる始末だったが、
咄嗟に甥っ子をかばったことで
その後英雄扱いされた。
笑い事で済む震度で助かった。
ある時、友人が「木苺を取りに行こう」と言って
家からほど近いところにある
裏山のようなところに連れて行ってくれた。
草木をかき分けると、小川が流れていた。
道がないので、細いせせらぎに
サンダルの足を突っ込んで歩いた。
透き通った水は氷みたいに冷たかった。
子どもを片手で抱っこして
ぐんぐんと進む友人のたくましい背中に
ひたすらついて行った。
緑の豊かさに圧倒された。
昔、ハンターに行く祖父に
連れて行ってもらった山の景色と
なぜか重ならないのは
やはり国土や気候が違うからなのか。
戻ってくると、日は暮れかけて、
隣の家の庭の羊がこちらを見ていた。
小川で足首を濡らし、冷えたせいで
軽い膀胱炎になってしまった。
そのことを伝えると、友人のお母さんが
ハーブティーを出してくれた。
説明書がマケドニアの言葉で
さっぱりわからなかったが、
どうやら膀胱炎に効くとのことだった。
飲んでみたところ、てきめんに効いて
その後すぐに症状がなくなっていた。
日本に帰ってからiherbで調べてみたけど
見つからなかった。
日本では薬事法など厳しく、
この薬効のレベルのハーブティーを
手に入れることは難しいのかもしれない。
帰国の日が近づいていた。