劇場版ヴァイオレットエバーガーデン観賞
元々アニメに興味はなかった自分が何気にアマゾンプライムで初めて観た「けいおん!」の優しくも今を精一杯楽しんで生きる世界に心を射抜かれ、京都アニメーション製作の作品にもっと触れてみたくなった。
昨年夏の痛ましい放火事件の後も気にはなっていたが作品を観てみようとまでは思わなかった。自分のような世代の人間はアニメというだけで少し躊躇してしまう部分があると思う。
ブームの10年以上後、しかもこんなじじいが女子高生の部活動の日常に夢中になること自体が気持ち悪いのは重々わかってはいるが、定番の感動回(2期最後の学園祭後の涙、1人残されるあずにゃんへの曲の贈り物)以外の何気ない会話の部分を見ているだけでも泣けてくるほどなので仕方ない。誰に迷惑をかけているわけでもないからいいか、と思うことにする。
お父さんの部屋からなんか音楽と啜り泣きが聞こえてきて怖い、と娘に言われるがそんなことは気にしていられない位作品が好きなのである。
そんな中で今公開中でもうすぐ終了になる京アニ製作の「劇場版ヴァイオレットエバーガーデン」をレイトショーで観てきた。この作品を見るためだけにNetflixにも入った。
斜め前にヤンキー風のカップルがいたのでうるさかったらやだなと思っていたが、始まると同時にピタっと会話をやめて微動だにせずスクリーンを見入っていたのが印象的だった。京アニを見る人に悪い人はいないという神話が自分の中でできつつある。
実写さながらの風景、いやむしろあれは実写よりも迫力があり美しい。人物描写、あんなに登場人物の涙を見せられたらたまったものではない、脚本だけでも涙腺鼻水ぼろぼろなのに反則だ、というくらいに泣かされた。実際館内のいたる所で啜り泣きが聞こえた。右2つ隣の女性は途中から泣き始めとうとう最後までずっと鼻を啜っていた。自分はそこまでではなかったがずっとスクリーンが涙でぼやけてしまうくらいには目から液体を出していた。
本作の主題は不器用で表現下手が多い日本人には本当に突き刺さるものだと思う。伝えたいのに伝えられないでいる本当に愛する者への思い。これって生きている意味を考えるようなものでもあるんじゃないかと思う。
うわべだけの利害関係のある勤務先などでは人を心配したり気遣ったりできるのに、本当に大事な一番近くにいる人達にはそれができないもどかしさ。なんなんでしょうねこの習性は。手紙をすぐに書こうとまでは思わないが態度や言動を改めようと決心できたし、そもそも本当に大事な人って誰なんだろう?という解っていながら目を背けてきていることに改めて気づかされた。信じられない位いい映画でした。
映画はジャンル問わずいろいろ見てきたけど、京アニ作品はどんな作品にも負けないメッセージ性と美しさ、脚本の良さを兼ねていると思う。そんなことは何年も前からわかっているといわれるかもしれないがこんな歳になってからでも知れたことは幸せだったと思う。今後も死ぬまで応援していきたい。
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